中性脂肪を減らすための
運動方法・食生活のポイントについて解説

健康診断の結果で、中性脂肪の数値が気になるという人も多いのではないでしょうか。

中性脂肪の数値は、メタボリックシンドロームの判定にもかかわってくるため、できるだけ低く抑えたいと考える方は少なくありません。

今回の記事では、中性脂肪の基礎知識とともに、中性脂肪を減らすために有効な運動や食生活について解説します。

1.そもそも中性脂肪とは?

中性脂肪とは、食品に含まれている脂質や、体脂肪の大半を占めている物質です。一般的に「脂肪」と呼ばれるものは、中性脂肪を指します。

中性脂肪は「脂肪酸」で構成されており、「脂肪酸」は動物性脂肪に多い「飽和脂肪酸」と、植物性脂肪に多い「不飽和脂肪酸」に分類されます。バターやラードなどのように常温で固体として存在するものは飽和脂肪酸です。

中性脂肪は、生命維持のための重要なエネルギー源になり、また、脂溶性ビタミン(水に溶けず脂肪組織などに貯蔵されるビタミン)や必須脂肪酸(体内で合成できないため、外から摂取する必要がある脂肪酸)の摂取にも必要な物質です。

しかし、中性脂肪を摂りすぎると肥満の原因となって脂質異常症をはじめとした生活習慣病を引き起こすため、注意が必要です。

2.中性脂肪を減らすためには有酸素運動がおすすめ

中性脂肪の数値が高くなる「脂質異常症」の改善には、運動療法が効果的です。特に、やや強めの有酸素運動を定期的に行なうことがおすすめです。

2-1.有酸素運動とは

有酸素運動とは、筋肉への負荷が比較的軽く、長時間継続して行なう運動のことです。

筋肉を動かすと、血糖と一緒に体脂肪がエネルギー源として使われる状態になります。その際に大量の酸素が使われることから、有酸素運動と呼ばれています。

2-2.中性脂肪が気になる方におすすめの有酸素運動

中性脂肪が気になる方、数値を下げたい方におすすめの有酸素運動には、次のようなものがあります。

  • ウォーキング

    長時間継続して歩くウォーキングは、手軽で始めやすい有酸素運動です。できるだけ長時間続けることで体脂肪が燃えやすくなり、中性脂肪の数値や肥満、心肺機能の改善など、さまざまな健康効果が期待できます。

  • エアロバイク

    負荷が軽めで長時間行なえる有酸素運動としては、エアロバイクもおすすめです。下半身の筋肉をダイナミックに動かす運動で、ウォーキング同様、中性脂肪や体脂肪の減少が期待できます。エアロバイクがない場合は、自転車で買い物に行くなど、日常生活のなかで同様の効果が得られるものを始めてみましょう。

  • 水泳

    水泳も代表的な有酸素運動の一つです。抵抗のある水の中で全身の筋肉を使って行なうことができ、浮力で足や腰などへの負担を減らしながら取り組むことができます。

2-3.有酸素運動は一日30分以上が目安

中性脂肪の減少を目的とする場合、有酸素運動は一日30分以上を目安として行ないましょう。毎日続けることが理想ですが、少なくとも週に3日は取り組むのがおすすめです。

運動の時間をまとめて30分取れない場合は、10分程度の運動を一日3回など、回数を分けて行なってもよいでしょう。

3.中性脂肪を減らすための食生活のポイント

中性脂肪を減らすには、食生活の工夫も大切です。以下のようなポイントに注意してみましょう。

3-1.バランス良く食べる

基本的なことですが、まずは栄養バランスの良い食事で、適度なエネルギー摂取を心がけるようにしてください。

3-2.青魚を積極的に取り入れる

イワシやサバなどの青魚には、中性脂肪を下げる働きがあります。日々の食生活に、積極的に取り入れましょう。

3-3.糖分・脂肪分の多い食品を控える

中性脂肪が高くなる原因は、糖分や脂肪分などによるエネルギーの摂りすぎです。当分の多く入ったソフトドリンクやお菓子・果物は、糖分を摂りすぎる原因になります。また、脂肪分の多い肉や、揚げ物などの油分の多い食事は見直すようにしてください。

中性脂肪が高い場合は、有酸素運動や食生活の工夫を取り入れましょう

中性脂肪が高くなってしまった場合でも、日々の生活に注意することで、改善できる可能性があります。

一日30分のウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動や、青魚の摂取や糖質・油分の多い食生活の見直しなどを行い、中性脂肪対策を行ないましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。