流動食とは?流動食の特徴や
作り方・注意点について解説

食事にはさまざまな形態があり、体の状態や機能によって最適な食事の形態は異なります。代表的な食事の形態として挙げられるのは、食べ物をペースト状にしたミキサー食や食べ物を小さく刻んだきざみ食、噛まずに食べられる流動食などです。

なかでも今回は、流動食の特徴や作り方・注意点について解説します。

1.流動食とは

流動食には、大きく分けて3つの種類があり、それぞれ異なる特徴があります。ここでは、流動食のタイプや特徴について解説します。

1-1.流動食について

流動食とは、固形物をこすことでトロトロの液タイプにした食事のことです。例えば、具なしのスープ・重湯・ヨーグルト・茶わん蒸しなどがあります。

流動食には、おもに普通流動食・特殊流動食・濃厚流動食の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

普通流動食は、手術の影響や絶食後などで通常の食事が摂れないときに、一時的に食べるものです。おかゆの上澄み液である重湯が主食になり、水分を多く含むため水分補給が容易にできます。消化が良く、消化機能が低下しているときでも摂取しやすいでしょう。

特殊流動食とは、病気によって食事制限が設けられている方向けの食事のことです。病気に応じて、低脂肪食や低タンパク質食、ナトリウム制限食があります。

濃厚流動食は、1mlで1kcal以上のエネルギーが摂れる高エネルギー食のことです。栄養バランスが良く、タンパク質やビタミンなども豊富に含まれています。ちなみに、市場に流通している濃厚流動食では、1本200ml当たり200~400kcalの摂取が可能です。

1-2.流動食の特徴

流動食のおもな特徴は、次のとおりです。

  • ・噛まずに食べられる

  • ・消化に良い

  • ・口あたりが良い

  • ・低刺激

  • ・味が淡泊

流動食の一番の特徴は、食べるときに噛む必要がないことです。スープや茶碗蒸しなど、そのまま飲み込めるため消化が良く、胃の機能が低下した方に適しています。

また、病院では術後や絶食後の方へ一時的に提供されています。

2.流動食の作り方

流動食の主食には、おかゆを作ったときの上澄み液にあたる重湯を使います。重湯だけではエネルギーが不足するため、他の食材で補うことが大切です。

例えば、エネルギーやタンパク質を補うためには、卵黄・牛乳・豆乳・乳製品などを加えましょう。さらにタンパク質を増やしたい場合は、白身魚・卵・豆腐・ゼラチンなどを重湯に混ぜます。

3.流動食を作る際の注意点

流動食を調理する際は、誤嚥を防ぐためにしっかりとこして、皮や粒などの固形物を取り除くことが大切です。さらに誤嚥を防ぐためには、とろみ剤を使用してとろみをつけるとよいでしょう。

基本的に流動食は、低カロリー・低栄養のため、長期的に摂取する場合は栄養バランスに注意しなければなりません。一日3回しっかり食べても、流動食だけでは500~800kcalです。一日に必要なカロリーは成人男性で2,200~3,000kcal、成人女性で1,400~2,200kcalとなるため、不足しています。

さらに、流動食だけでは摂取できるタンパク質が5~20gとなり、一日に必要なタンパク質(成人男性:65g、成人女性:50g)に対し、足りません。そのため、食事だけではなく、間食もするようにしてエネルギー補給をする必要があります。

しかし、自宅で流動食を作るケースでは、一日に必要な栄養素を補うことは難しいでしょう。そこで、栄養価の高い市販の濃厚流動食を活用するのも良い方法です。

基礎代謝は年齢や性別によって異なりますが、一日の基礎代謝を超えるように、濃厚流動食で栄養不足を補ってバランスの取れた食事を心がけましょう。ただし、栄養価が高い分、使いかけのまま保存はできないため、一度開封したらすべて使い切る必要があります。

また、どのような食事にする場合でも、摂取や嚥下がスムーズにできるよう工夫しましょう。

流動食を上手に取り入れて食事を楽しみましょう

噛まずに食べられる流動食は、胃の調子が悪いときや術後の食事として活用されています。水分を多く含むため、食事とともに水分補給も可能です。

しかし、普通流動食の場合はメインの食材が重湯になるため、低カロリーかつ低栄養になります。そのため、長期間流動食だけで過ごす場合は、栄養のバランスに注意しましょう。

重湯だけではなく、他の食材や栄養豊富な濃厚流動食を取り入れ、しっかりと栄養を摂取できるようにしましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。