1.アミラーゼとは?
アミラーゼの特徴や目安となる基準値について解説します。
1-1.アミラーゼについて
アミラーゼとは、膵臓や唾液腺に含まれている消化酵素のことです。ジアスターゼとも呼ばれ、糖類であるα-グルカンを加水分解する働きがあります。膵臓や唾液腺に炎症や異常がある場合は、血清アミラーゼの数値が上昇します。
アミラーゼの検査は、血液や尿から濃度を測定することででき、数値によって膵臓に異常がないかチェックするのがおもな目的です。
自覚症状があまりなく血清アミラーゼの上昇が続く場合は、命に関わる可能性があります。症状がわかりにくい病気を見つけるためにも、血清アミラーゼの検査が重要です。
1-2.基準値
アミラーゼの基準値は50~200U/Lですが、血液中と尿中の濃度によって基準値が変化します。血清の場合は44~132U/L、尿中の場合は50~500U/Lです。基準値から高いか低いかで、疑われる病気は異なります。
アミラーゼは、糖質制限の食事や絶食などの影響によって数値が低くなり、タンパク質や脂質を摂った場合は高くなるのが特徴です。極端に数値が低下している場合では、膵臓の大部分がダメージを受けている可能性があります。
2.アミラーゼの数値が高くなる原因について
アミラーゼの数値が高くなる原因は、おもに次の5つが考えられます。
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・膵臓の病気
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・耳下腺の病気
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・腎臓の病気
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・ストレス
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・タンパク質や脂質の摂取
唾液腺や膵臓に障害がある場合、アミラーゼが血液中に出てくるため、唾液腺や膵臓に関わる病気の可能性があります。
また、アミラーゼはストレスを受けると上昇するため、唾液アミラーゼ活性の数値を見れば、ストレス度合いをチェックできます。
唾液アミラーゼ活性の特徴は交感神経の状態を示し、身体と精神の刺激を短時間で反応することです。例えば、ストレスになる刺激を受けると唾液中の数値が上がり、心地良い刺激であれば下がります。このように数値の推移を観察することで、どのくらいストレスを受けているのかがわかるのです。
一方、検査結果の数値が基準値より低いときは、重度の血糖が高い状態が疑われます。精密検査や治療が必要と診断された場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
3.アミラーゼが高い場合の対処法とは
アミラーゼの数値が基準より高いと検査で出た方は、必ず精密検査を受けましょう。もし病気になっていたときは、適切な治療を受け、しっかり治すことが大切です。
病気になっていない健康な場合でも、数値が上昇することもあります。特に唾液腺型アミラーゼの検査では数値が高く出ることが多いため、しっかりとした精密検査を受けて問題が見つからなければ、過度に心配する必要はないでしょう。
アミラーゼを正しく理解して、健康維持に活かしましょう
膵臓や唾液腺におもに含まれているアミラーゼは、膵臓や耳下腺など体のコンディションを知るために重要な存在です。
アミラーゼの数値が基準値より高い場合は、膵臓や唾液腺の病気、ストレスを感じている可能性があります。反対に基準値より低いときは、重度の血糖が高い状態であるケースもあります。
アミラーゼの検査は、自覚症状が乏しい病気の発見に役立ちます。体に異常がない場合でもアミラーゼが上昇することがあるため、きちんと検査を受けて健康であれば、特に問題はありません。
目安となる基準値をきちんと守り、いつまでも健やかな日々を送りましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。