1.バナナに含まれる糖分(炭水化物)の量はどれくらいなのか
バナナに含まれる糖分(炭水化物)の量を紹介します。
1-1.バナナの糖分(炭水化物)について
炭水化物とは、ブドウ糖や果糖などで構成される栄養素の総称です。生のバナナに含まれる炭水化物は、可食部100g当たりで22.5gです。そのうち、ブドウ糖は2.6g、果糖は2.4gです。
炭水化物は、エネルギー源である糖質と体内に吸収されず、エネルギー源にならない食物繊維に分けられます。炭水化物は、血液中にブドウ糖として存在していることが多いのが特徴です。血液中のブドウ糖濃度のことを血糖値と呼びます。
血糖値は食事で変動し、血糖値が低くなりすぎると低血糖になり、高すぎると高血糖になります。低血糖になると、血糖値を上昇させるためのホルモンの影響で震えや動悸などが現れるほか、脳がエネルギー不足の状態になって意識レベルが低下することもあります。
一方、高血糖は血糖値が高い状態を指し、高血糖状態が続くと血管へのダメージが大きく、さまざまな病気にかかりやすくなります。
1-2.バナナの糖分とほかの果物に含まれる糖分の比較
ここでは、キウイフルーツ・柿・さくらんぼ・ぶどうに含まれる糖分とバナナに含まれる糖分を比較します。
※可食部100g当たり
食品名 |
ブドウ糖 |
果糖 |
バナナ(生) |
2.6g |
2.4g |
キウイフルーツ(緑肉種) |
3.7g |
4.0g |
キウイフルーツ(黄肉種) |
5.0g |
5.5g |
柿(甘柿) |
4.8g |
4.5g |
さくらんぼ(米国産) |
7.0g |
5.7g |
ぶどう(皮なし) |
7.3g |
7.1g |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
このようにバナナは、キウイフルーツや柿、さくらんぼ、ぶどうなどと比べ、ブドウ糖や果糖が少ないのが特徴です。
2.バナナに含まれる体にうれしい栄養素
バナナに含まれるおもな栄養素は、次のとおりです。
食物繊維のおもな作用は、便秘改善といった整腸作用や血糖値の上昇抑制、血中コレステロールの低下などがあります。脂質やナトリウム、糖を排出するほか、肥満や特定の病気の予防にも効果が期待できるでしょう。
食物繊維は、多くの人が不足しがちな栄養素であるため、意識的に摂取することが重要です。一日に目標とされる食物繊維の量は、年齢や性別で異なります。男性の場合、18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上、女性では18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です。しかし、食物繊維の過剰摂取は、ミネラルの吸収を阻害するため注意しましょう。
カリウムは必須ミネラルの一種であり、ナトリウムの排出を促して、血圧を下げる働きがあります。
オリゴ糖は腸内細菌である善玉菌の栄養源です。善玉菌を増やす働きがあり、食物繊維同様、整腸作用を持っています。
3.血糖値に配慮した場合バナナは一日1本が目安
バナナはビタミンやカリウム、食物繊維を効果的に補給できるのが魅力です。しかし、果物を食べ過ぎると果糖の過剰摂取となるため、中性脂肪の増大や肥満などで太りやすくなります。果物を食べる際は、摂取量に注意しましょう。
血糖値を考えた場合の目安量は、生のバナナであれば一日あたり1、2本です。
一日1本のバナナで健康になろう
果物からは、水分・ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養が多く摂取できます。しかし、果物の食べ過ぎは果糖の過剰摂取となり、健康を害することもあるため、注意が必要です。
血糖値を配慮した場合、生のバナナであれば、一日に1、2本が目安です。バナナは、キウイフルーツや柿、さくらんぼ、ぶどうに比べると果糖が少ないため、血糖値が気になる方におすすめです。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。