1.肝臓の働きが低下する原因とは?
肝臓には、体内に入った有害物質の分解をはじめとして、多くの役割があります。
ここでは肝臓の働きについて解説し、肝臓の機能を低下させる可能性がある生活習慣についてピックアップしていきます。
1-1.肝臓の働き
肝臓には、大きく分けて3つの働きがあります。
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有害物質の分解
肝臓は体内に入った有害物質やアルコール、薬などを分解し、体外に排出できる形に変化させます。また、古くなった赤血球の成分などの老廃物も、絶えず処理・排出しています。
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栄養素の貯蔵
肝臓は、胃腸から吸収した栄養素を体が利用できる成分に変化させて貯蔵し、必要に応じて全身に送ります。
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胆汁の生成と分泌
肝臓は、胆汁の生成・分泌を行なっています。胆汁は、脂肪の消化と吸収において必要なものです。
1-2.肝機能が低下する原因
肝臓の機能は、いろいろな生活習慣により低下してしまいます。代表的な肝機能低下の原因には、以下のようなものが挙げられます。
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・暴飲暴食
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・運動不足
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・肥満
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・過労
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・ストレス
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・睡眠不足
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・喫煙
2.肝臓に良い食べ物とは?
肝臓の健康を保つには、良質なタンパク質やビタミン・ミネラルなどの摂取が効果的です。
2-1.大豆製品
豆腐や納豆などの大豆製品からは、良質なタンパク質を摂取できます。また、大豆製品には細胞膜を活発にさせるレシチンが含まれ、これにより肝臓の細胞も活発になり肝機能の保護につながります。レシチンは、肝臓の脂質代謝にも関与している成分です。
2-2.貝類
カキなどの貝類に多く含まれる亜鉛は、肝臓が関わっているタンパク質合成や脂質代謝に必要な成分です。
2-3.長芋
長芋から分泌されるネバネバには、肝臓や胃などの内臓の機能向上や粘膜保護といった働きがあります。
3.肝臓をいたわる料理レシピ
ここからは、肝臓に良い食材を使ったおすすめのレシピを紹介します。
3-1.あさりと豆腐の煮もの
肝臓をいたわってくれる食材として、あさりと豆腐を組み合わせたお手軽メニューです。あさりの代わりにハマグリを使ったり、にんじんやほうれん草などの野菜と組み合わせたりするなどのアレンジも可能です。
【材料】2人前
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・あさり(砂抜きしておく) 300g
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・木綿豆腐 1/2丁
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・しめじ 1/2株
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・にら 1/2束
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・しょうが 1/2片
【A】
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・水 大さじ4
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・酒 大さじ2
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・しょうゆ 大さじ2
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・みりん 大さじ2
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・砂糖 大さじ1/2
【作り方】
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1. あさりはあらかじめ砂抜きをしておき、殻をこすり合わせて洗っておきます。木綿豆腐は4等分に切り、しめじは石づきを落として小房に分けます。しょうがは皮をむいて薄く切り、にらは5cm程度の長さでざく切りにします。
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2. フライパンにあさり・木綿豆腐・しめじ・しょうがを入れ、【A】をすべて加えて煮込みます。
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3. あさりの口が開いたら、にらを加えて軽く火が通ったら、皿に盛り付けて完成です。
3-2.納豆と長芋の磯辺焼き
肝機能の向上をサポートしてくれる納豆と山芋を使ったレシピです。ビタミンやミネラルを摂取できる焼きのりと組み合わせて、さらに栄養価を高めましょう。
【材料】2人前
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・長芋 250g
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・納豆 1パック
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・刻みねぎ 適量
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・しょうゆ 小さじ1
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・片栗粉 大さじ1と1/2
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・焼きのり(八つ切り) 8枚
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・サラダ油 小さじ1
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・白ごま 適量
【作り方】
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1. 長芋の皮をむいてすりおろし、そこに納豆・刻みねぎ・しょうゆ・片栗粉を入れて、よく混ぜます。
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2. サラダ油をフライパンに入れて熱しておきます。焼きのりに適量の1を載せ、載せた面を下向きにして焼き、焼き色が付いたら裏返して軽く焼きます。
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3. 焼けたら皿に盛り付け、仕上げに白ごまを散らして完成です。
肝臓の健康は生活習慣と肝臓に良い食べ物で守りましょう
肝臓は、摂取した栄養素や体内にためた栄養素を、生命維持に必要な物質に変換したり、有害物質を分解したりするなどと、重要な役割を持っています。健康維持のためには、多くの代謝機能を担っている肝臓の負担をできるだけ減らしたいものです。
この記事で紹介した、肝機能の低下を招く生活習慣を見直しつつ、肝臓をいたわる食べ物を食生活に取り入れるようにして、肝臓の健康を守りましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。