一日に必要な栄養素の量はどうやって計算する?
エネルギー量から計算する方法を解説

毎日の食事で必要とされる栄養素の量についてご存知でしょうか。エネルギーを作る栄養素には、タンパク質・脂質・炭水化物の3つがあり、これらをバランス良く摂ることで健康的な体を維持できます。

この記事では、一日に必要なエネルギー量や栄養素の量を求めるための計算方法について解説します。

1.一日に必要なエネルギー量

一日に必要となるエネルギー量は、年代・性別・身体活動レベルによって異なります。

ちなみに、身体活動レベルとは、活動量を1~3で区別したレベルのことです。動いていない状態よりも多くのエネルギーを使う、すべての活動を身体活動といいます。

次のようにレベルが分けられ、数字が大きくなるほど活動量が増えるのが特徴です。

  • ・レベル1:座って過ごす時間がほとんどであり、あまり動かない

  • ・レベル2:座って活動する時間のほうが長いものの、通勤や家事など日常生活で動くことがある

  • ・レベル3:立って活動する時間がほとんどであり、運動習慣がある

身体活動レベルの数値は男女ともに同じで、年齢によって次の表のように異なります。

年齢 身体活動レベル1 身体活動レベル2 身体活動レベル3
18~29 1.50 1.75 2.00
30~49 1.50 1.75 2.00
50~64 1.50 1.75 2.00
65~74 1.45 1.70 1.95
75以上 1.40 1.65 該当なし

参照:日本医師会「1日に必要なカロリー 推定エネルギー必要量

この活動レベルと性別、年齢を組み合わせると、一日に必要なエネルギー(kcal/日)がわかります。

男性の場合の必要なエネルギー量は、次のとおりです。

年齢 身体活動レベル1
(kcal/日)
身体活動レベル2
(kcal/日)
身体活動レベル3
(kcal/日)
18~29 2,300 2,650 3,050
30~49 2,300 2,700 3,050
50~64 2,200 2,600 2,950
65~74 2,050 2,400 2,750
75以上 1,800 2,100 該当なし

女性の場合の必要なエネルギー量は、次のとおりです。

年齢 身体活動レベル1
(kcal/日)
身体活動レベル2
(kcal/日)
身体活動レベル3
(kcal/日)
18~29 1,700 2,000 2,300
30~49 1,750 2,050 2,350
50~64 1,650 1,950 2,250
65~74 1,550 1,850 2,100
75以上 1,400 1,650 該当なし

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)

女性は、妊娠や授乳など時期によって求められるエネルギー量が異なります。妊娠初期であれば、平常時より50kcal足した数値が目安になり、妊娠中期になると250kcal多く、妊娠後期では450kcalがプラスで必要です。

授乳中の方は、通常よりも350kcalプラスして考えましょう。

2.一日の必要エネルギー量から栄養素の量を計算する方法

ここでは、一日の必要エネルギー量から栄養素の量を求めるための計算について解説します。

2-1.タンパク質

タンパク質の目標量は、男女とも変わらず18~49歳だとエネルギーの13~20%になり、タンパク質1gのエネルギー量は4kcalです。

タンパク質の目標量は次の計算式で求められます。

タンパク質の目標量=一日の必要エネルギー量×13~20%÷4

例えば、30~49歳で身体活動レベル2の女性の場合、タンパク質の目標数値は次のようになります。

2,050×(13~20%)÷4=約67~103g

2-2.脂質

脂質の目標量は、18歳以上の男女でエネルギーの20~30%になり、脂質1gに対するエネルギー量は9kcalとなります。

脂質の目標量を求める計算式は次のとおりです。

脂質の目標量=一日の必要エネルギー量×20~30%÷9

例えば、30~49歳で身体活動レベル2の女性の場合、脂質の目標数値はこのようになります。

2,050×(20~30%)÷9=約46~68g

2-3.炭水化物

炭水化物の目標量は、男女とも18歳以上でエネルギーの50~65%になり、炭水化物1g当たりのエネルギー量は4kcalとなります。

炭水化物の目標量を求める計算式は次のとおりです。

炭水化物の目標量=一日の必要エネルギー量×50~65%÷4

例えば、30~49歳で身体活動レベル2の女性の場合、計算式に数値を当てはめると以下のように算出できます。

2,050×(50~65%)÷4=約256~333g

3.1食当たりのエネルギー量や栄養素の計算方法

1食当たりのエネルギーの目安量は、一日の必要エネルギー量を3で割ると求められます。
同様に、1食当たりの栄養素の目安量も、前の段落で算出した目標量を3で割ると求められます。

ここでは前の段落でも参考にした、30~49歳で身体活動レベル2、2,050kcalが必要な方を想定して、1食当たりの目安量を算出してみましょう。

タンパク質の場合:一日に必要な量は約67~103gのため、1食当たりの目安約22~34g
脂質の場合:一日に必要な量は約46~68gのため、1食当たりの目安約15~23g
炭水化物の場合:一日に必要な量は約256~333gのため、1食当たりの目安約85~111g
ここで算出した数値は、あくまで目安です。1日や1週間など中長期的に調整できれば良いため、毎食必ず守らなければならないとプレッシャーを感じる必要はありません。

必要な栄養素を計算して日々の食生活に反映しましょう

健康的な体を作り、維持するためには、タンパク質・脂質・炭水化物をバランス良く摂取することが大切です。そのためには、まず自分に必要な一日のエネルギー量を知り、食生活を見直しましょう。

その数値をもとに、毎日に必要な栄養の目安量を知り、1食当たりの栄養素を計算してみてください。そうすることで、健康的な体を維持できるでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医