貧血に良い果物とは?おすすめの果物を栄養成分ごとに紹介

動悸や頭痛、疲れやすさなどの症状が出る貧血で悩んでいませんか。

貧血は女性に多い傾向にあり、特に若年層から中年層までの女性で起こりやすいのが特徴です。

ほとんどの貧血は鉄不足で起こる貧血のため、毎日の食事から鉄をしっかり摂る必要があります。

この記事では、貧血と栄養の関係や貧血に良いおすすめの果物を紹介します。

1.貧血と栄養の関係について

ここでは、貧血になる原因や栄養との関係について解説します。

1-1.貧血とは

貧血とは、赤血球に存在するヘモグロビン濃度が低くなった状態のことです。貧血の原因はさまざまですが、鉄不足が原因で起こる鉄欠乏性貧血が大半を占めています。

血色素であるヘモグロビンは、タンパク質と鉄を主成分にしているヘムによって構成されています。そのため、鉄分不足になるとヘムも足りなくなり、ヘモグロビンの血中濃度が下がって貧血を招きます。ヘモグロビンは全身に酸素を届ける働きがあるため、ヘモグロビンの血中濃度が低下すると酸素不足になります。

貧血で酸素が足りない状態になると、おもに次のような症状が現れます。

  • ・頭痛

  • ・息切れ

  • ・動悸

  • ・疲れやすさ

  • ・めまい

  • ・顔色が悪くなる

1-2.貧血と栄養について

鉄欠乏性貧血のおもな原因は、偏食や食事を摂らないなど、栄養バランスの乱れによるものです。造血に必要なタンパク質・鉄・B6・B12・葉酸、鉄の吸収を良くするビタミンCなどが不足すると貧血になります。そのため、毎日3食しっかり食べることを心がけ、主食・主菜・副菜をそろえて栄養バランスの整った食事を摂りましょう。

また、鉄の吸収や利用を良くする食べ物を摂ることも大切です。例えば、梅干し・みかん・酢など酸味がある食材や香辛料を摂取すると胃液が出やすくなるため、より鉄の吸収・利用が良くなります。ビタミンCを多く含む果物を摂ることでも、鉄の吸収を促します。

一方で、緑茶やコーヒー、紅茶などに含まれているタンニンは鉄の吸収を妨げるため、食事中に摂取することは避けましょう。

1-3.鉄の摂取目安量

鉄分の一日の摂取目安量は、18歳以上の成人女性で月経がない場合は6.0~6.5mg、月経がある場合は10.5~11.0mg、18歳以上の男性は7.0~7.5mgです。

毎日の食事では、から栄養バランスを考えて十分な鉄分を摂取することが大切です。妊娠中や授乳中の方は、多くの鉄分を摂取する必要があります。

2.貧血に良いといわれている果物

ここでは、貧血に良いといわれている栄養素を含んでいる果物を紹介しましょう。

2-1.鉄分を多く含む果物

鉄分を多く含むおもな果物は、以下のとおりです。

※可食部100g当たり

干しブドウ 2.3mg
プルーン 1.1mg
アボカド 0.6mg
干し柿 0.6mg
いちご 0.3mg

参照:文部科学省「食品成分データベース

鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は赤肉や赤みの魚にも多く含まれ、非ヘム鉄は野菜や卵などに含まれているという特徴もあります。

2-2.タンパク質を多く含む果物

タンパク質を多く含む果物は、以下のとおりです。

※可食部100g当たり

干しブドウ 2.7g
プルーン 2.4g
アボカド 2.1g
干し柿 1.5g
バナナ 1.1g

参照:文部科学省「食品成分データベース

タンパク質は、鉄分と同様にヘモグロビンの材料になる栄養素です。

2-3.ビタミンCを多く含む果物

ビタミンCを多く含むおもな果物は、以下のとおりです。

※可食部100g当たり

キウイフルーツ(黄肉種) 140mg
レモン 100mg
キウイフルーツ(緑肉種) 71mg
70mg
いちご 62mg

参照:文部科学省「食品成分データベース

ビタミンCは、タンパク質や鉄分の吸収を高める作用があるため、積極的に摂取しましょう。

2-4.葉酸を多く含む果物

葉酸を多く含む果物は、以下のとおりです。

※可食部100g当たり

ライチー 100μg
いちご 90μg
マンゴー 84μg
アボカド 83μg
キウイフルーツ(緑肉種) 37μg

参照:文部科学省「食品成分データベース

葉酸は、赤血球を作る際に必要な栄養素です。

2-5.ビタミンB6を多く含む果物

ビタミンB6を含む果物は次のとおりです。

※可食部100g当たり

バナナ 0.38mg
プルーン 0.34mg
アボカド 0.29mg
干しブドウ 0.23mg
キウイフルーツ(黄肉種) 0.14mg

参照:文部科学省「食品成分データベース

2-6.ビタミンB12を多く含む果物

果物ではほとんど摂取できないため、魚介類やチーズなどから摂取しましょう。ビタミンB12を多く含む果実以外のおもな食材は、以下のとおりです。

※可食部100g当たり

しじみ(水煮) 82.0μg
味付けのり 58.0μg
かたくちいわし(煮干し) 41.0μg
削り節(かつお類) 22.0μg
さんま(焼き) 16.0μg

参照:文部科学省「食品成分データベース

ビタミンB12は、葉酸と同様に血を作るために大切な栄養素です。

貧血に良い果物で健康的に過ごしましょう

貧血のおもな原因は、鉄不足による鉄欠乏性貧血です。そのため、必要な量の鉄を毎日の食事から摂取する必要があります。

しかし、貧血予防のためには鉄だけではなく、タンパク質やその他のビタミンなどの栄養素をバランス良く摂取することが大切です。

今回紹介した果物を毎日の食事に取り入れ、貧血予防をしながら健康的に過ごしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医