腎臓にとって良くない食べ物や食生活とは?
慢性腎臓病を予防するためのポイント

「塩分を摂り過ぎると腎臓に良くないと聞いたことがあるけれど、本当?」
「慢性腎臓病を予防するには、どのような食生活を送ればよいのだろうか?」
このように腎臓をいたわる食生活に興味を持っている方は多いかもしれません。

腎臓は飲食物の影響を受けやすい臓器のため、腎臓の負担を和らげるには食事内容を見直すことが重要です。

今回は慢性腎臓病を予防するためのポイント、腎臓にとって良くない食べ物や食生活を解説します。

1.慢性腎臓病について

慢性腎臓病とは、腎機能の慢性的な低下が見られたり、継続的に尿タンパクが出現したりする病態のことです。慢性的な腎機能低下とは、腎機能が慢性的に通常の60%以下に低下したり、尿タンパクが慢性的に出現したりしていることを示します。慢性腎臓病は英語表記「Chronic Kidney Disease」の頭文字をとり、CKDとも呼ばれることもあります。

腎臓は一日あたり150~200L程度の血液をろ過して、血液中の老廃物を尿として排泄する役割を担っています。その他、ナトリウムやカリウムのようなミネラルのバランス調整や、血液を産生するホルモンの分泌なども腎臓の働きの一つです。このように腎臓はさまざまな機能を果たす重要な臓器であるため、慢性腎臓病が進行するとあらゆる病気につながるおそれがあります。

腎機能は、少し低下する程度では自覚症状がありません。そのため、慢性腎臓病と診断された時点では自覚症状を感じない場合も多く、病状を軽視してしまう方もいます。一方で、腎機能低下の発見が遅れて、気付いたときには重症化しているケースもあるため、注意が必要です。

日頃から自分の腎臓をいたわる生活習慣を意識して、慢性腎臓病を予防しましょう。

2.慢性腎臓病を予防するにはどうしたらよいのか

慢性腎臓病を予防するには、バランスの良い食事や適度な運動を生活に取り入れるなど、生活習慣を見直して腎臓への負担の少ない生活を送ることが大切です。血圧や血糖値の高い方、脂質異常を指摘されている方は、積極的に改善していきましょう。

肥満は腎臓の機能を悪化させます。肥満を避けるためには、エネルギーの摂取量を適正範囲内に留めることが重要です。肥満解消や血圧管理などのためにも、運動を習慣付けることが大切です。また、アルコールの摂取を節度ある適度な量に留めたり、禁煙したりするのも腎臓をいたわる生活習慣につながります。

3.腎臓にとって良くない食べ物や食生活

腎臓は飲食物の影響を受けやすい臓器であるため、腎臓に良くない食べ物を避けると腎臓への負担を減らせます。慢性腎臓病を予防するための食生活で、特に重要なのが減塩です。

食塩の過剰摂取は血圧上昇の原因にもなるため、一日3g以上6g未満にすることが大切です。しょうゆや味噌、ソースのような調味料を気軽にかけると、塩分の摂り過ぎにつながります。これらの調味料はかけずに、つけて食べましょう。また、コショウやカラシ、お酢のような、塩分を含まない調味料を意識的に用いたり、減塩しょうゆや減塩味噌に置き換えたりするのも、減塩に効果的です。

漬け物やインスタント食品、ハムやちくわなどの加工食品にも塩分が多く含まれているため、食べすぎないように気を付けましょう。

日常の食べ物を見直して腎臓をいたわろう

腎臓は血液中の老廃物を尿から排泄したり、ホルモン分泌やミネラルバランスの調整などに関わったりするなど、さまざまな役割を果たしています。

腎機能が低下するとあらゆる病気につながるため、日頃から自分の腎臓の状態に注意することが大切です。腎臓に負担をかけにくい生活習慣を取り入れ、検診などで腎機能の低下を指摘されたらきちんと再検査を受けて、慢性腎臓病の悪化を防ぎましょう。

塩分の過剰摂取は高血圧へとつながり、腎臓の負担が増えます。そのため、腎臓に優しい食生活を心がけ、減塩を徹底することが重要です。肥満解消や運動なども意識して、生活習慣を整えて腎臓を守っていきましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。