えのきだけに含まれる栄養素とは?
栄養素の働きや栄養を効率良くする食べ方を紹介

えのきだけは、免疫機能の向上を含め、血液サラサラなど健康のサポートに効果的な食品とされています。しかし、えのきだけには、どのような栄養素が含まれているのかは、あまり知られていません。

そこで本記事では、えのきだけにどのような栄養素が含まれているのかを、詳しく見ていきましょう。今回は、えのきだけに含まれる栄養素の種類や、それらを効率良く摂取する食べ方を紹介します。

1.えのきだけに含まれる栄養素とその働き

まず、えのきだけに含まれる栄養素について見ていきましょう。

1-1.食物繊維

えのきだけは、可食部100gあたりに食物繊維を3.9g含んでいます。このうち、0.4gが水溶性食物繊維、3.5gが不溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維には、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を低下させたり、食後の血糖値を上昇しにくくしたりする働きがあります。また、ナトリウムを排泄する働きも期待されています。

一方の不溶性食物繊維は、おもに便のかさを増やして便通を良くする働きが期待される成分です。

水溶性食物繊維・不溶性食物繊維ともに、分解されたあとは腸内細菌のエサとなることで、腸内環境を改善に導くとされています。

1-2.カリウム

えのきだけには、100gあたり340mgのカリウムが含まれています。カリウムは、細胞の浸透圧を保つために必要なミネラルの一種で、心臓や筋肉の働きの調節、神経刺激の伝達にも関わっています。

カリウムが不足することはあまりありませんが、お腹をこわしたり、汗を多くかいたりして

脱水を起こしている場合は欠乏することがあるので注意しましょう。

1-3.リン

えのきだけは、100gあたり110㎎のリンが含まれています。

リンは、歯や骨の発達に欠かせない成分で、カルシウムと一緒に働くと骨や歯を丈夫にしてくれます。また、体液のpHを調整したり、腎臓・心臓の働きを保ったりすることなどにも関係しています。

1-4.ビタミンB1

えのきだけは、100gあたり0.24mgとビタミンB1も豊富に含んでいます。

ビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、摂取したブドウ糖からエネルギーを作り出す際に必要な成分です。具体的には、エネルギーを作り出すクエン酸回路を機能させるのに、ビタミンB1が補酵素として必要になります。

また、100gあたり0.17mgと微量ではありますが、えのきだけにはビタミンB2も含まれています。

1-5.ナイアシン

ナイアシンは、100gあたり6.8mgが含まれています。水溶性ビタミンの一つであるナイアシンは、DNAの修復・合成、細胞の分化、脂肪酸の合成などさまざまな反応に関わっている栄養素です。

ナイアシンとは、ニコチン酸とニコチンアミドを総称したものを指し、植物性食品ではニコチン酸、動物性食品ではニコチンアミドとして存在しています。

ナイアシンを少しでも多く摂りたい方は、えのきだけを油炒めにすると吸収がさらによいでしょう。

1-6.βーグルカン

えのきだけは、β-グルカンと呼ばれる成分も含んでいます。β-グルカンとは、野菜や果物などの植物性食品に含まれている成分です。厳密にいえば「栄養素」という分類には当てはまりませんが、ファイトケミカルの一種として知られています。

ファイトケミカルとは、植物が有害なものから身を守るために生み出した辛味やネバネバなどの成分のことです。β-グルカンには、感染予防や免疫力・抵抗力の向上の効果があるという報告もされています。

1-7.ギャバ

えのきだけには、ギャバも含まれています。ギャバはアミノ酸の一種で、リラックス効果が期待できる物質として知られています。ストレス緩和にも効果があるといわれている成分です。

2.えのきだけの栄養を効率良くとる食べ方

えのきだけの栄養素を効率良く摂取するためには、「えのき氷」を活用するのがおすすめです。えのき氷は、生のえのきだけをペースト状にして煮詰め、冷凍して作られます。

えのきだけは、そのまま食べても細胞壁が固く栄養素が吸収しづらいため、えのき氷として活用するのが効率的です。煮物や汁物などにそのまま入れて食べるだけで、えのきだけの栄養素を手軽に摂取できます。

えのきだけで栄養素を豊富に摂りましょう

えのきだけには、食物繊維・カリウム・リン・ビタミンB1・ナイアシン・β-グルカン・ギャバなど、豊富な栄養が含まれています。

えのきだけの栄養素を効率良く摂取したい方は、えのき氷を活用するのがおすすめです。えのき氷にすること、栄養素が吸収しやすくなります。

えのきだけを普段の食卓に取り入れて、栄養素をたくさん摂取しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。