鉄分不足を予防できる食べ物とは?
鉄分の概要や不足した際のおもな現象を解説

日本人が不足しやすい栄養素の一つに、「鉄分」があります。鉄分が不足すると貧血など、さまざまな現象を引き起こす可能性があるため、健康的な生活を過ごすうえで重要な栄養素です。

そこで今回は、一日に摂るべき鉄分の量や、鉄分が不足した際に起こる現象、鉄分不足を予防できる食べ物・栄養素を解説します。鉄分不足を予防したい方や、鉄分不足の予兆がある方は、ぜひ参考にしてください。

1.鉄分について

はじめに、鉄分の特徴や一日の摂取推奨量を紹介します。

1-1.鉄分とは?

ミネラルの一種である鉄分は、成人の場合、体内に3~5g程度存在するといわれています。なかでも、赤血球中の「ヘモグロビン」に多く存在し、酸素の運搬に関わっています。

1-2.鉄分の一日の摂取推奨量

鉄分の一日の摂取推奨量は、性別や月経の有無によって異なります。具体的には、次のとおりです。

<男性>

  • ・18~74歳:7.5mg

  • ・75歳以上:7.0mg

<女性(月経あり)>

  • ・18~49歳:10.5mg

  • ・50~64歳:11.0mg

<女性(月経なし)>

  • ・18~64歳:6.5mg

  • ・65歳以上:6.0mg

※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が一日の必要量を満たすと推定される一日の摂取量

2.鉄分が不足するとどうなる?

鉄分が不足すると、赤血球中のヘモグロビンが減り、酸素を運搬する能力が低下することで細胞に効率よく酸素がとりこめず、めまいや立ちくらみなどの現象を招きます。他に代表的な現象は、次のとおりです。

  • ・集中力の低下

  • ・頭痛

  • ・食欲不振

  • ・息切れ

  • ・顔色が悪い

鉄分は筋肉中の「ミオグロビン」にも多く存在します。そのため、鉄分が不足すると、筋力低下や疲労感などの現象が起こる出ることもあります。

3.鉄分不足による貧血を予防する食べ物や栄養素

鉄分不足の場合は、鉄分を含めた必要な栄養素を意識し、食生活を見直すことが大切です。ここでは、鉄分不足を予防する食べ物や栄養素を紹介します。

3-1.鉄を含む食べ物

貧血を予防するためには、体の代謝によって失われる鉄分を、食べ物からしっかりと摂らなければなりません。

食べ物に含まれる鉄は、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は、赤身の肉や魚に多く含まれ、非ヘム鉄は、豆乳や納豆などの大豆製品・小松菜・春菊・ひじきなどに多く含まれるのが特徴です。

3-2.ビタミンCは鉄の吸収を高める

鉄分はミネラル全体で見るとそこまで吸収率は高くありません。

そのため、鉄分の吸収率を高めるビタミンCを一緒に摂るのがおすすめです。ビタミンCは、ほうれん草・かぼちゃ・ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、キウイフルーツ・レモン・いちごなどの果物に多く含まれます。

3-3.タンパク質はヘモグロビンの材料になる

赤血球中のヘモグロビンは、鉄分を含む「ヘム」とタンパク質が結合してできています。そのため、鉄分と同様に、食べ物から十分なタンパク質を摂ることも大切です。

タンパク質は、肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品のほか、植物性食品である大豆製品にも多く含まれます。特定の食べ物に偏らないよう、バランス良く摂取しましょう。

3-4.赤血球の生成に関わる栄養素

その他、赤血球の生成に関わる栄養素として、葉酸やビタミンB12があります。葉酸は、藻類・緑黄色野菜・大豆製品などに多く含まれる栄養素です。ビタミンB12は、肉・魚・チーズなどに多く含まれる一方で、植物性食品には含まれていません。

貧血予防に良い食べ物をバランス良く摂りましょう

鉄分が不足し貧血になると、集中力が低下したり、頭痛や食欲不振を引き起こしたりするなど、健康に悪影響をおよぼします。

鉄分不足による体調不良の予防には、鉄・ビタミンC・タンパク質・葉酸・ビタミンB12といった栄養素が効果的です。

これらの栄養素を含む食べ物を意識し、一日3食バランスの良い食事を摂りましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。