栄養価の高い野菜を栄養成分ごとに紹介

近年の栽培技術の進化により、多くの野菜が季節を問わず食べられるようになりました。いつでも食べられる野菜ですが、実は食べる時期によって栄養価が異なることをご存知でしょうか。

この記事では、栄養価の高い野菜について栄養成分ごとに紹介します。

1.野菜の栄養価が高いのは「旬」

野菜が大量に収穫できる旬の時期は、野菜の栄養価が高くなります。さらに、旬の時期に収穫された野菜は栄養価が高いだけではなく、他の時期の同じ野菜よりも味が良いのが特徴です。特に、カロテンとビタミンCの含有量は、時期によって大きく変動します。

まずは、カロテンの含有量の差について、下表で見てみましょう。

野菜 含有量が最大の月 含有量が最小の月 含有量の差
トマト 7月 11月 約2倍
にんじん 6月 1月 約2.5倍
ブロッコリー 3月 8月 約4倍

次にビタミンCでは、以下のように含有量の差が大きくなります。

野菜 含有量が最大の月 含有量が最小の月 含有量の差
ほうれん草 12月 9月 約4倍
ブロッコリー 2月 10月 約2倍

旬の時期以外でも栄養価の高い状態の野菜を食べるためには、冷凍野菜を活用するのも良い方法です。

市販の冷凍野菜は、価格の安い旬の時期に大量に仕入れ、熱湯処理後に瞬間冷凍しています。冷凍野菜のビタミンは、約1年間ほぼ同じ量を保っており、ミネラルも壊れていません。そのため、旬を過ぎた時期に購入した生の野菜より、冷凍野菜のほうが栄養を多く含んでいることがあります。

一度に多くの野菜を食べられない高齢者や子供などは、より栄養価の高い冷凍野菜を食べることで効率的に栄養補給が可能です。

また、市販の冷凍野菜でなくとも、旬の時期に購入した野菜を自宅でサッとゆでて冷凍するのもよいでしょう。水溶性のビタミンCは解凍中に溶け出すため、カットできるくらいまで解凍できたら、食べやすい大きさに切って凍ったまま調理するのをおすすめします。

2.【栄養成分別】栄養価の高い野菜

ここからは、栄養成分ごとに栄養価の高いおすすめの野菜を紹介していきます。

2-1.βカロテン

βカロテンを豊富に含む身近な生野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

しそ 11,000μg
モロヘイヤ 10,000μg
パセリ 7,400μg
にんじん(皮付き) 6,900μg
バジル 6,300μg

βカロテンは、抗酸化作用がある栄養素です。体内でビタミンAに変化するため、プロビタミンAとも呼ばれています。

βカロテンの一日の摂取推奨量は、女性の場合18~29歳で650mg、30~74歳で700mg、75歳以上で650mgです。男性では、18~29歳で850mg、30~64歳で900mg、65~74歳で850mg、75歳以上で800mgです。

2-2.ビタミンB1

ビタミンB1を含む生野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

グリンピース 0.39mg
えだまめ 0.31mg
豆苗 0.24mg
芽キャベツ 0.19mg
にんにく 0.19mg

ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種で、最初に発見されたビタミンです。ブドウ糖をエネルギーに変える際に重要な働きを持ちます。

ビタミンB1の一日の摂取推奨量は、18~74歳の女性で1.1mg、75歳以上の女性で0.9mgです。男性の場合、18~49歳は1.4mg、50~74歳は1.3mg、75歳以上になると1.2mgと定められています。

2-3.ビタミンB2

ビタミンB2を含む生野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

モロヘイヤ 0.42mg
しそ 0.34mg
豆苗 0.27mg
パセリ 0.24mg
芽キャベツ 0.23mg

ビタミンB2は、ビタミンB1と同様に水溶性ビタミンの一種であり、リボフラビンという化合物です。一日に摂取する目安量は、性別や年齢で異なります。女性の場合18~74歳で1.2mg、75歳以上は1.0mg、男性の場合は18~49歳では1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです。

2-4.ビタミンC

ビタミンCを含む生野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

赤ピーマン 170mg
芽キャベツ 160mg
黄ピーマン 150mg
ブロッコリー 140mg
パセリ 120mg

ビタミンCは、コラーゲンの生成や免疫機能に関与する働きがあります。

一日の摂取推奨量は、18歳以上の男女ともに100mgです。

2-5.カリウム

カリウムを含む野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

切り干し大根(乾) 3,500mg
かんぴょう(乾) 1,800mg
パセリ 1,000mg
ほうれん草 690mg
みつば 640mg

カリウムの一日の摂取目安量は、18歳以上の女性で2,000mg、男性で2,500mgです。

2-6.カルシウム

カルシウムを多く含む野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

切り干し大根(乾) 500mg
パセリ 290mg
モロヘイヤ 260mg
かんぴょう(乾) 250mg
バジル 240mg

カルシウムは、歯や骨など体の芯となる部分を構成する重要な栄養素です。

一日の摂取推奨量は、18~74歳の女性の場合で650mg、75歳以上で600mgと設定されています。一方、18~29歳の男性は800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgが推奨です。

2-7.鉄

鉄を含む野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

パセリ 7.5mg
切り干し大根(乾) 3.1mg
かんぴょう(乾) 2.9mg
こまつな 2.8mg
えだまめ 2.7mg

鉄は、酸素を全身に運ぶヘモグロビンを作る重要な役割があります。

一日の摂取推奨量は、月経のない18~64歳の女性で6.5mg、65歳以上で6.0mgです。18~74歳の男性の場合は、7.5mg、75歳以上で7.0mgと定められています。

2-8.食物繊維

食物繊維を含む野菜は次のとおりです。

※可食部100g当たり

かんぴょう(乾) 30.1g
切り干し大根(乾) 21.3g
らっきょう 20.7g
グリンピース 7.7g
しそ 7.3g

食物繊維は、腸内環境や便通改善の効果が期待できます。

一日の摂取目安量は、女性の場合18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上、男性は18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です。

栄養価の高い旬の野菜を食べましょう

野菜は旬の時期になると、栄養価が高い傾向にあります。特に、ブロッコリーに含まれているカロテンの量は、旬の時期になると約4倍にもなるのです。

旬に収穫された野菜を冷凍していれば、栄養価の高いまま通年通して食べられます。冷凍野菜は市販でも購入できるため、うまく活用して栄養が豊富な旬の野菜を食べましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医