ピラティスとは?特徴やヨガとの違いについて解説

近年、リモートワークの推進や外出自粛の影響から、思うように運動できていないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、自宅でも簡単に取り組めるおすすめのエクササイズが「ピラティス」です。姿勢保持や内臓機能に関わるインナーマッスルを鍛えられ、健康な体づくりに役立ちます。

今回の記事では、ピラティスの基礎知識を踏まえつつ、ピラティスのおもな特徴やヨガとの違いについて解説します。

1.ピラティスとは?

ピラティスとは、ヨガや太極拳の動きを取り入れたエクササイズの一種です。

ピラティスの歴史は古く、第一次世界大戦(1900年代初頭)までさかのぼります。ドイツの従軍看護師であるジョセフ・H・ピラティス氏が、負傷兵のリハビリ方法として考案したのが誕生のルーツです。

本来は、ベッドの上でも実践できるリハビリ方法として生み出されたものですが、インナーマッスルが鍛えられることから、現在はトレーニング方法としても活用されています。

2.ピラティスの特徴

ピラティスが注目を集めている理由は、インナーマッスルを鍛えられるという特徴にあります。

インナーマッスルは、バランスや姿勢の保持に欠かせない体幹部にある深層筋を指します。しなやかな動作でインナーマッスルを強化し、歪みのない正しい姿勢をつくって内臓を正しい位置に戻し活性化させることが、ピラティスのおもな目的です。

ピラティスで特に重要視されている筋肉は、背骨中央付近の「コア」と呼ばれるインナーマッスルです。外腹斜筋・内腹斜筋・腹直筋・腹横筋などが該当しますが、これらは背骨だけで体を支えている腹部から臀部にあり、背骨の安定に深く関与しています。

コアを鍛えると、安定した正しい姿勢を保持できるうえに、内臓本来の機能も引き出せます。

安定した動作で歩くためには、アウターマッスルだけではなく、インナーマッスルの力も欠かせません。例えば、インナーマッスルの一部である大腰筋が衰えると、足を持ち上げにくくなり、いわゆるすり足歩行になるとされているので注意しましょう。

体幹・下肢を鍛えるピラティスを以下で紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

バードドッグ(体幹・多裂筋のトレーニング)

  • 1. 四つ這いの姿勢になる

  • 2. 左手と右足を上げて10秒間キープする

  • 3. 右手と左足を上げて10秒間キープする

机スクワット(大腰筋のトレーニング)

  • 1. 立ったまま机の天板に両手を置く

  • 2. 膝が足先より出ないよう腰を落とす

  • 3. 立ち上がって2に戻る

3.ピラティスとヨガの違い

ピラティスはヨガの要素を含むこともあり、両者は同じものだと思う人もいるかもしれませんが、呼吸法や動きの性質などに違いがあります。

ピラティスは、胸式呼吸で交感神経の活性化を図るものです。流れるような体の動きが特徴で、身体面からのアプローチを重視しています。

それに対し、ヨガは腹式呼吸で副交感神経の活性化を図るのが目的です。静止するポーズを多く取り入れているのが特徴で、瞑想なども行ない精神面からのアプローチを重視しています。

体幹やインナーマッスルを重点的に鍛えたいならピラティス、ストレス解消や自律神経の調整を求めるならヨガが適切といえるでしょう。

ピラティスは健康を促進できるエクササイズ

ピラティスはインナーマッスルを鍛えるエクササイズで、100年以上の歴史があります。歪みのない姿勢をつくるとともに内臓の活性化を図れるため、運動不足の解消はもちろん、健康づくりの一環としてもおすすめです。

ただし、持病や怪我を抱えている場合は転倒などのリスクも考えられるので、まずはかかりつけ医に相談しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医