突発性難聴とは?
特徴や原因、発症前に起こりやすいおもな症状を解説

ある日突然、音が聞こえなくなる突発性難聴。原因は明確になっておらず、さまざまな要因が組み合わさって発症するものと考えられています。

突発性難聴は、早期発見と早期治療が重要な病気です。完治のためには早めに治療を開始する必要があります。

早期発見には、症状や発症前の前触れを知ることが大切です。この記事では、突発性難聴の症状や原因、発症前に現れやすいおもな症状を解説します。

1.突発性難聴とは?

突発性難聴とは、音が聞こえにくくなる難聴の一種で、原因がはっきりしない難聴を指します。ここでは、突発性難聴の症状や特徴を紹介しましょう。

1-1.おもな症状

突発性難聴のおもな症状は、左右の耳のどちらかが突然聞こえにくくなることです。稀に、両耳に症状が出る場合もあります。

前触れなく急に症状が出ることもあり、症状の重さは人によってさまざまです。例えば、音が何も聞こえなくなるケースもあれば、高音のみ聞こえなくなることもあります。

高音だけ感じ取れなくなる場合は、日常生活には支障がほとんどないため、難聴だとすぐに自覚できません。症状が出るのは一度だけのため、再発することはありません。

1-2.特徴

突発性難聴は、30~60歳代に多く、特に50歳代で発症するのが特徴です。性別によって発症率の差はほとんどありません。

2001年に厚生労働省が実施した調査によると、日本国内で突発性難聴を患っている方は年間で約3万5,000人にのぼるという結果が出ています。

突発性難聴では、改善や悪化などの症状の波はなく一定です。耳鳴りや耳の詰まった感じ、めまいや吐き気をともなうことがありますが、耳以外に手足の麻痺や意識障害などの神経症状は現れないのが特徴です。

突発性難聴を発症した方は、症状が現れたときの状況を覚えていることが多い傾向にあります。そのため、発症時期がわからない場合や徐々に音が聞こえなくなった場合は、突発性難聴以外の病気である可能性が高いでしょう。

突発性難聴は再発しない特徴もあるため、再発する場合は他の病気が疑われます。

聴力は、発症してから約1カ月するとその状態で固定されてしまうため、早めに病気を発見して早めに治療するのが大切です。突発性難聴が治る割合は、完治する方が3分の1、難聴が残る方が3分の1、症状が回復しない方が3分の1です。

次に該当する方は治療しても完治が難しい可能性があります。

  • ・難聴の症状が重い方

  • ・発症後2週間以上経っている方

  • ・ぐるぐる回転するようなめまいがともなう方

  • ・10歳以下の子どもや高齢者

突発性難聴は発症から7日以内に治療を受けることが重要です。難聴を感じたら、すぐに専門医へ相談しましょう。

2.突発性難聴の原因

突発性難聴は、いくつかの原因によって起こると考えられています。

まず、有毛細胞の機能低下が原因として考えられます。耳の奥で音を認識して脳に伝達する有毛細胞がダメージを受けて壊れると、音を感じ取れなくなり、難聴を発症します。

有毛細胞へダメージを与える原因には、血流障害やウイルス感染などが考えられていますが、いまだに明らかになっていません。過労やストレス、睡眠不足などを感じている方、血糖値の高い方は突発性難聴が起こりやすいと考えられています。

3.突発性難聴の発症前に現れやすい症状

突発性難聴は、突然発症する病気ですが、発症と前後して次のような症状を併発する方もいます。

  • ・耳が詰まるような耳閉感

  • ・耳鳴り

  • ・めまい

  • ・吐き気など

その他、発症前に精神的なストレスや肉体的な疲労を感じている方も起こりやすいとされています。突発性難聴になったら、精神的・肉体的ストレスをなるべく溜めず、安静にすることが大切です。

診断では、聴力検査や画像診断、問診などで症状を確認しなくてはなりません。症状が出てから時間が経ってしまうと、難聴や耳鳴りといった症状が残ることもあります。最悪の場合、聴力を失うリスクもあることから、難聴を疑う症状を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

突発性難聴は早急な治療が大切

突然発症する突発性難聴には、明確な原因がなく、さまざまな要因によって引き起こされると考えられています。30~60歳代の男女で発症しやすい傾向にあり、特に50歳代に多いのが特徴です。

突発性難聴は、治療開始が早ければ早いほど予後が良くなります。発症してすぐに治療を受けないと、難聴や耳鳴りなどが残る可能性があるでしょう。そのため、症状が出たらなるべく早く医療機関を受診し、治療を始めることが大切です。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。