緑黄色野菜の種類や栄養素、摂取する際の注意点について解説

野菜のなかに、「緑黄色野菜」と呼ばれる種類があることをご存じの方は多いと思います。では、日頃食べている野菜を見て、どれが緑黄色野菜か判断できるでしょうか。

実は、緑黄色野菜は、緑色や黄色の見た目だけでなく、カロテンがどのくらい含まれているかによって定義されています。

今回は、緑黄色野菜の種類や栄養素、摂取する際に注意したいポイントを解説します。

1.緑黄色野菜とは?

ここでは、緑黄色野菜の定義と摂取するメリットを解説します。

1-1.緑黄色野菜の定義

緑黄色野菜とはにんじんやほうれん草、かぼちゃなど色が濃い野菜のことで、可食部100g中にカロテンを600μg以上含む野菜の総称です。

トマトやピーマンなどは可食部100g中に含まれるカロテンが600μg未満ですが、家庭での摂取量や頻度が多いため、緑黄色野菜と定められています。

1-2.緑黄色野菜を摂るメリット

緑黄色野菜に含まれるカロテンは、「抗酸化作用」という体内の活性酸素を減らす働きがあります。活性酸素は微量なら私たちの体に対して有益な作用がありますが、過剰にあると過酸化脂質を生成し、老化や免疫機能の低下に関わるといわれています。

また、緑黄色野菜には体の調子を整えるもとになる役割を担っているビタミンやミネラルが多く含まれています。

2.緑黄色野菜の種類

ここからは、緑黄色野菜の種類とそれぞれの特徴を説明します。

2-1.にんじん

にんじんの大きな特徴は、ビタミンAの豊富さです。ビタミンAには、目や皮膚の健康を守り体の抵抗力を強める働きがあります。

紫にんじんや黒にんじんには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれ、赤い金時にんじんにはリコピンが豊富に含まれています。アントシアニンとリコピンはどちらも抗酸化作用があり、老化予防などが期待できる栄養素です。また、黄色の島にんじんにはカロテンの仲間で、強い抗酸化作用を持つキサントフィル類が豊富に含まれています。

カロテンは皮の部分に一番多く含まれているため、調理するときは皮ごと使ったきんぴらなどのメニューがおすすめです。

一方、にんじんにはビタミンCを破壊する、アスコルピナーゼという酵素が含まれています。にんじんをすりおろすと酵素の活動は活発になるため、すりおろすときは食べる直前にし、レモン汁を加えたり加熱したりと酵素の働きを抑える工夫をしましょう。このようなひと手間を加えることで、ビタミンCの損失を最小限に抑えられます。

2-2.トマト

トマトは、果実の色によって「ピンク系」と「赤系」に分けられます。赤系トマトにはリコピンが多量に含まれているため、ケチャップなどの加工用のほか、生食用としても利用が広まっています。

旬を迎える時期は、夏場の5月〜7月です。栄養成分の含有量は季節によって異なり、出まわり期の7月はカロテンの含有量が11月に比べて2倍以上にもなります。

2-3.ほうれん草

ほうれん草は野菜の中でも鉄分が多く、鉄分の吸収をサポートするビタミンCも豊富に含まれています。その他、カロテンやビタミンB1、ビタミンB2、葉酸、食物繊維なども豊富に含まれているため、栄養価の高い食品といえるでしょう。

ほうれん草の旬は、冬の11月〜1月です。ビタミンCの含有量は季節により異なり、夏場に採れるほうれん草よりも、冬場に採れるほうれん草のほうがより多くのビタミンCが含まれています。

2-4.ピーマン

ピーマンにはビタミンCやβ-カロテンが豊富に含まれており、加熱してもビタミンCが失われにくい特徴があります。

緑色のピーマンは未熟な状態で収穫したものであり、完熟すると緑色から赤色に変化します。ほかには紫色や茶色、黒色のピーマンも存在しており、食卓に彩りを与える野菜です。

2-5.かぼちゃ

かぼちゃには、抗酸化ビタミンであるビタミンA・ビタミンC・ビタミンEが豊富に含まれています。かぼちゃに含まれているβ-カロテンやビタミンEなどは油に溶けやすい性質があるため、天ぷらなど油を使った料理をして食べると吸収しやすいです。

昔の人の知恵として、寒さが厳しくなる冬に風邪をひかないように、栄養のあるかぼちゃを冬至に食べると良いといわれています。

3.緑黄色野菜を摂るときの注意点

ビタミンAは脂溶性のため、成人が過剰摂取すると頭が痛くなったり、気分が悪くなったり、目がかすんだりするなど、健康障害を引き起こす可能性があります。

ただし、β-カロテンはビタミンAが体内で不足したときのみにビタミンAへと変換されるプロビタミンAと呼ばれる成分であるため、通常の食事で摂取する量では過剰症が起こることはまれです。

また、ほうれん草やパセリなどの「シュウ酸」を多く含む緑黄色野菜を使用して作ったジュースを食事代わりに大量に摂取した人が腎障害を発症したという報告があります。特に腎臓の機能が弱っている方や高齢者の方は、腎臓の働きが悪くなるため、注意が必要です。

体にうれしい緑黄色野菜を摂ろう

緑黄色野菜とは、抗酸化作用を持つカロテンを多く含む野菜です。緑黄色野菜であるほうれん草やにんじん、かぼちゃなどには、それぞれ体にうれしい栄養素が含まれています。

ただし、ビタミンAなど過剰症が知られている栄養素も含んでいるため、健康障害を引き起こす可能性があります。腎臓の機能が弱っている方や高齢者の方は、ほうれん草やパセリなどの「シュウ酸」を多く含む緑黄色野菜を使用して作ったジュースは避けましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。