エクササイズとは?健康づくりのために必要な身体活動について解説

近年は社会情勢の変化によって、家で仕事をする機会が増えたり出かける機会が減少したりして、運動不足を感じている人も多いのではないでしょうか。しかし、適度な運動は健康のために必要不可欠です。

では、健康維持のためには、いったいどのくらい運動をすればよいのでしょうか。

今回は、国が提唱している「エクササイズ」について解説します。適正な運動量を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.エクササイズとは?

エクササイズとは、厚生労働省が公表している「健康づくりのための運動指針2006」で定義された、運動と活動量を示す単位です。

具体的には、運動強度の指標である「メッツ」に活動時間を乗じた量の単位を表します。正しい単位は「メッツ・時(METs・時)」ですが、一般の人にもなじみやすいように「エクササイズ」と名付けられました。

身体活動や運動、生活活動などは以下のように定義されています。

  • 身体活動

    安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費するすべての動きのことを指します。

  • 生活活動

    身体活動のなかで運動に相当しないものを指し、仕事上必要な活動も含まれます。

  • 運動

    身体活動のなかでも体力の維持・向上を目的としたものであり、計画的・意図的に行なうものを指します。

  • メッツとは

    身体活動の強度が安静時の何倍に当たるかを表している単位です。じっと座っている状態を1メッツとし、普通に歩く状態は3メッツとなります。

  • エクササイズとは

    身体活動の量を表し、「身体活動の強さ×身体活動を行なった時間」で求められます。強い身体活動を行なうほど、少ない時間で1エクササイズに相当します。

2.健康づくりのためには週23エクササイズ以上の身体活動が必要

身体活動量をもとに考えると、健康づくりのためには1週間で23エクササイズ以上の活発な身体活動を行ない、うち4エクササイズ以上は活発な運動に充てるのが望ましいとされています。

上記を達成するには、例えば以下のような内容になります。

<例>

1週間のうち、ウォーキングを毎日8,000~1万歩、ジョギングを35分行なう

ここで注意したいのは、3メッツ以上でないと活発な身体活動とは該当しないということです。先述したように、じっと座っている状態は1メッツのため、活発な身体活動には該当しません。

なお、上記の目標は、生活習慣病の予防に必要な身体活動量や運動量をもとに設定されています。つまり、生活習慣病の予防には、ある程度負荷がかかる活動を行なうのが有効だといえるでしょう。

ただし、どういった運動を行なうかは、自分の健康状態や体力に合わせることが大切です。無理なく継続できるように、楽しめる運動を取り入れるとよいでしょう。

3.1エクササイズに相当する身体活動一覧

ここからは、身体活動の強さ(メッツ)ごとに、1エクササイズに相当する活動内容を紹介します。

  • 3メッツ(それぞれ20分)

    ウォーキング、バレーボール、ボーリング、フリスビー、軽めの筋力トレーニングなど

  • 4メッツ(それぞれ15分)

    速歩、自転車をこぐ、子供と遊ぶ、水中での柔軟体操、水中での運動、ゴルフ、卓球など

  • 5メッツ(それぞれ12分)

    犬の散歩、野球、ソフトボール、かなり速いウォーキングなど

  • 6メッツ(それぞれ10分)

    軽めのジョギング、歩行とジョギングによる運動、ジャズダンス、エアロビクス、高強度のウェイトトレーニング、バスケットボール、ゆっくり行なうスイミングなど

  • 7メッツ(それぞれ9分)

    サッカー、テニス、ジョギング、水泳(背泳)、スキー、スケートなど

  • 8メッツ(それぞれ7~8分)

    ランニング、サイクリング(約20km/時)、重い荷物を運ぶ、水泳(ゆっくりしたクロール)など

適度に運動を取り入れて健康維持を目指しましょう

運動不足を感じているという人は、今回紹介した内容を目安に運動を習慣化して、生活習慣病の予防を行ないましょう。

ただし、無理な運動は怪我のもとです。安全に運動できるよう、体力や体調、天気なども考慮して行なってください。

健康的な体を維持するためにも、周りの人も誘って楽しめる運動内容を見つけてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医