目次
1.モリブデンとは
モリブデンは、輝水鉛鉱(きすいえんこう)という鉱石から見つかった元素です。硫黄と結合しやすい特徴があり、工業的にはステンレスなどの合金鋼の材料や電子材料として利用されています。
モリブデンは、体内で代謝に関する反応を触媒する酵素の構成材料として利用されているものです。人体には、肝臓や腎臓に多く分布しています。
モリブデンは重金属に分類されていますが、比較的毒性が低いため過剰症を起こすことはほとんどないとされています。
モリブデンは、金属素材の一つというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、健康維持に必要なミネラルの一つでもあります。そのため、モリブデンなどのミネラルが不足しないように食事の栄養バランスを考えることが重要です。
今回は、モリブデンの役割や含まれる食べ物、摂取量の基準などを解説します。
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モリブデンは、輝水鉛鉱(きすいえんこう)という鉱石から見つかった元素です。硫黄と結合しやすい特徴があり、工業的にはステンレスなどの合金鋼の材料や電子材料として利用されています。
モリブデンは、体内で代謝に関する反応を触媒する酵素の構成材料として利用されているものです。人体には、肝臓や腎臓に多く分布しています。
モリブデンは重金属に分類されていますが、比較的毒性が低いため過剰症を起こすことはほとんどないとされています。
モリブデンは、体内に存在するアルデヒドオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼなどの酵素を活性化させるために必要な構成成分です。
モリブデンは、一般的な食事をとっていれば不足することはほぼありません。しかし、モリブデンが配合されていない高カロリー輸液での静脈栄養療法を長期間行なった場合、モリブデンが欠乏する可能性があるので注意が必要です。
モリブデンが欠乏すると、脈や呼吸が速くなることがあります。モリブデンの不足にともなう症状が見られた場合には、医療機関を受診したほうがよいでしょう。
モリブデンは、過剰摂取によって健康に悪影響が生じる可能性があるため、食事摂取基準が設定されています。上限量があるので基準を超えるモリブデンを摂取する場合には、過剰摂取に注意が必要です。
モリブデンは、穀類や豆類に多く含まれているため、穀類や豆類の摂取の多い日本人は、欧米人に比べると摂取量が多い傾向にあります。
【モリブデンの食事摂取基準 (μg/日)】
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢等 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 |
0~5 (ヶ月) | ─ | 2 | ─ | ─ | 2 | ─ |
6~11 (ヶ月) | ─ | 5 | ─ | ─ | 5 | ─ |
1~2 (歳) | 10 | ─ | ─ | 10 | ─ | ─ |
3~5 (歳) | 10 | ─ | ─ | 10 | ─ | ─ |
6~7 (歳) | 15 | ─ | ─ | 15 | ─ | ─ |
8~9 (歳) | 20 | ─ | ─ | 15 | ─ | ─ |
10~11 (歳) | 20 | ─ | ─ | 20 | ─ | ─ |
12~14 (歳) | 25 | ─ | ─ | 25 | ─ | ─ |
15~17 (歳) | 30 | ─ | ─ | 25 | ─ | ─ |
18~29 (歳) | 30 | ─ | 600 | 25 | ─ | 500 |
30~49 (歳) | 30 | ─ | 600 | 25 | ─ | 500 |
50~64 (歳) | 30 | ─ | 600 | 25 | ─ | 500 |
65~74 (歳) | 30 | ─ | 600 | 25 | ─ | 500 |
75以上 (歳) | 25 | ─ | 600 | 25 | ─ | 500 |
妊婦(付加量) | ─ | ─ | ─ | +0 | ─ | ─ |
授乳婦 (付加量) | ─ | ─ | ─ | +3 | ─ | ─ |
※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
モリブデンは過剰摂取してもすぐに尿から排泄されるため、健康な人であれば過剰症になる心配はありません。
しかし、人工透析を受けている方や慢性腎臓病の子どもは、血液中のモリブデンが上昇するとされているため、腎機能が低下している場合には注意が必要です。
モリブデンは多くの食材に含まれているため、一般的な食事をしていれば、欠乏症はほとんど見られません。また、多くの場合、過剰症になることも考えにくい栄養素です。
とはいえ、健康維持のためには、食事の栄養バランスを整える必要があるので、モリブデンを含む食べ物をここで押さえておきましょう。
食品名 | モリブデン含有量 (100gあたりμg) |
---|---|
糸引き納豆 | 290 |
湯葉 | 270 |
焼き海苔 | 220 |
ケール青汁 | 130 |
オートミール | 110 |
(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)
食品名 | モリブデン含有量 (100gあたりμg) |
---|---|
脱脂粉乳 | 35 |
鶏つくね | 12 |
アイスクリーム(高脂肪) | 7 |
(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)
モリブデンは、酸化還元反応を触媒する酵素であるアルデヒドオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼの構成成分としての役割があります。
普通の食生活では、モリブデンが不足することはほぼないため、欠乏症についての報告はあまりありませんが、モリブデンが欠乏すると頻脈、多呼吸などの症状が現れることがあります。
また、モリブデンを過剰摂取した場合では、尿と一緒に速やかに排泄されるため、健康な人で過剰症はまずおきません。しかし、人工透析を受けている方や慢性腎臓病の子どもは、モリブデンがうまく排泄できないため、過剰症が見られることがあります。
過剰症になると下痢や関節痛などの症状が現れるので、腎機能に問題がある場合には摂取量に注意が必要です。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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