「葉酸」の働きとは?役割や含まれる食べ物、一日の摂取量について解説

ビタミンB群の一種である葉酸は、体内のさまざまな反応に関わる必要不可欠な栄養素です。葉酸が不足すると、貧血などにつながる可能性があります。

この記事では、葉酸の働きや多く含まれる食べ物、一日の推奨される摂取量などを紹介します。

1.葉酸とは

葉酸は水溶性ビタミンに分類される、ビタミンB群の一種です。ほうれん草から成分が発見されたため「葉酸」という名が付けられましたが、植物性食品だけではなく、動物性食品にも含まれています。

食品中に含まれる葉酸は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が複数結合しており、この構造を「ポリグルタミン酸型」といいます。食事から葉酸を摂取すると、消化管の消化酵素の働きによって、1つのグルタミン酸が結合した「モノグルタミン酸型」に変換され、小腸から吸収されます。

一方、加工食品やサプリメントなどに含まれている葉酸は、もともとモノグルタミン酸の構造をとっているのが特徴です。

2.体内における葉酸のおもな働き

葉酸は、アミノ酸の一種である「ホモシステイン」を、必須アミノ酸である「メチオニン」に変換するための酵素反応をサポートしています。メチオニンはタンパク質の合成に必要な物質であり、細胞分裂の核となるDNAの合成にも関与しています。つまり、 葉酸はタンパク質やDNAの合成に必要なビタミンだといえるでしょう。

また、同じくビタミンB群の一種であるビタミンB12とともに、赤血球の産生にも関与しており、造血機能を担っています。

3.葉酸の一日摂取目安量

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、性別や年齢別に以下のような一日の摂取基準が設定されています。

【葉酸の食事摂取基準(μg/日)】

性別 男性 女性
年齢等 推奨量 目安量 上限量 推奨量 目安量 上限量
0~5 (ヶ月) 40 40
6~11 (ヶ月) 60 60
1~2 (歳) 90 200 90 200
3~5 (歳) 110 300 110 300
6~7 (歳) 140 400 140 400
8~9 (歳) 160 500 160 500
10~11 (歳) 190 700 190 700
12~14 (歳) 240 900 240 900
15~17 (歳) 240 900 240 900
18~29 (歳) 240 900 240 900
30~49 (歳) 240 1,000 240 1,000
50~64 (歳) 240 1,000 240 1,000
65~74 (歳) 240 900 240 900
75以上 (歳) 240 900 240 900
妊婦 (付加量) +240
授乳婦 (付加量) +100


※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4.葉酸を含む食べ物

葉酸は、以下のような食品に多く含まれています。

4-1.植物性食品

食品名 葉酸含有量 (100gあたりμg)
味付け海苔 1,600
煎茶 1,300
玉露茶 1,000
ブロッコリー(焼き) 450
ドライマンゴー 260

(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)

4-2.動物性食品

食品名 葉酸含有量 (100gあたりμg)
干しさくらえび 230
鶏卵(ゆで) 48
ヨーグルト 11
牛乳 5

(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)

植物性食品では、海藻類やお茶などに多く含まれています。日々の飲み物を煎茶や玉露茶にするなどすれば、摂取しやすいでしょう。

動物性食品では、干しさくらえびや鶏卵などに多く含まれています。ただし、葉酸は熱に弱いため、調理方法によって葉酸の量は変わる点に注意してください。

葉酸は水溶性ビタミンのため、調理の過程での損失が大きいとされています。スープなどにして茹で汁もいっしょに摂取する、茹でるのではなく電子レンジで短時間だけ加熱するなど、調理方法も工夫するとよいでしょう。

食品やサプリメントなどから葉酸を上手く取り入れよう

葉酸はビタミンB群の一種で、タンパク質やDNAの合成などさまざまな働きを持っている栄養素です。

食品やサプリメントなどから、上手に葉酸を取り入れてみるとよいでしょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。