ヨガには自律神経を整える効果が期待できる?
ヨガを行なう際のポイントとは

古くから行なわれているヨガは、健康法の一つとして知られています。独特のポーズをしたり呼吸法を行なったりすることで、体の調子を整えていくものです。

ヨガには自律神経の働きを整える効果があるといわれていますが、はたして本当なのでしょうか。

今回は、ヨガが自律神経を整える効果、ヨガを行なう際のポイントを紹介します。

1.ヨガとは?

ヨガとは、約4,500年前に生まれた心と体の両方を鍛錬していく健康法の一つです。現代では単なる健康法として行なわれていることもありますが、ヨガはとても奥深いことでも知られています。もともとヨガは古代インドで誕生し、当時は健康法というよりも修行法として知られており、少しずつ変化を経て現代のようなヨガになったのです。

「ヨガ」という言葉には、「結び付ける」という意味があります。つまりヨガとは、心と体を結び付けることで、自分自身について見つめ直すためのものです。

ヨガの実践法を記した「ヨガ・スートラ」は、2世紀頃にはすでに作られています。あまり関係がないように見えるかもしれませんが、座禅はこのヨガ・スートラがもとになったものです。

現在行なわれているヨガは、13世紀頃に生まれた「ハタ・ヨガ」というものが起源です。姿勢と呼吸に注目しながら行なうハタ・ヨガは、フィットネスエクササイズとして多くの方に親しまれています。

2.ヨガは自律神経を整える効果が期待できる

ヨガで意識をしながら呼吸を行なうことにより、自律神経を整えることができます。自律神経とは、交感神経と副交感神経のことです。

交感神経は体を活発に動かすとき、副交感神経は体を休めるときに働きます。通常は交感神経と副交感神経はバランスを取りながら働いていますが、不規則な生活やストレス、更年期などの理由によりバランスが崩れることがあるのです。

この状態が続くと、自律神経失調症、イライラや冷え、のぼせなどさまざまな不調が出現します。ヨガは自律神経を整えるほか、次のような状態の改善が期待できます。

  • ・凝り固まった筋肉をほぐす

  • ・血行を良くする

  • ・ストレスを緩和する

  • ・気持ちを晴れやかにする

  • ・心血管や呼吸機能の維持

  • ・フレイルの予防

  • ・転倒リスクの軽減

高齢者がヨガを行なうことにより体のバランス能力や持久力が向上するため、フレイルの予防につながると考えられています。

フレイルとは、要介護になる一歩手前の状態です。筋力が衰え、心理的にも負担がかかることで健康障害を起こしやすい状態のことをいいます。フレイルになると、食事が十分に摂れず免疫機能や体力が低下しやすくなるため、注意しましょう。

3.ヨガで自律神経を整えるためのポイント

ヨガで自律神経を整えるためには、次のポイントを押さえることが大切です。

  • ・ポーズを取ることだけに集中しすぎない

  • ・ゆっくりと呼吸法を行なう

  • ・自分を客観視し、体や心の声に耳を傾ける

ヨガにはいろいろなポーズがあるため、ついついポーズを取ることだけに集中してしまうことがあります。しかし、ポーズを取ることが本来の目的ではありません。ポーズを取ることだけでなく、自分自身としっかり向き合うように心がけましょう。

また、呼吸を行なうときは、吸うときに体にエネルギーが溜まるようにし、吐くときに考えや感情を出すように意識することが大切です。このとき、ゆっくり吸ってゆっくり吐くことで、自律神経をより整えやすくなります。

呼吸をしながら、自分自身を外から眺めるように客観視すると、体や心の声に気付きやすくなるので意識してみてください。

ヨガで自律神経を整えよう

ヨガは古くから行なわれている歴史ある健康法の一つです。自律神経を整える働きがあるといわれています。このほか、筋肉をほぐしたりストレスを緩和したりすることも可能です。

ヨガで自律神経を整えるためには、ポーズを取ることだけを意識せず自分自身としっかり向き合い、ゆっくりと呼吸法を行なったり、自分を客観視したりする必要があります。

ヨガは安全にできる健康法として知られていますが、無理はせず心地良いと感じる範囲で行なっていきましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医