肥満度(BMI)の計算方法とは?
成人・子どもの判定基準について

健康な毎日を過ごしていくうえで、肥満の予防はとても大切です。厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査報告」では肥満者の割合はここ10年横ばいで、減少していない傾向にあります。

今回は、肥満かどうかを判断するために必要なBMIの計算方法や、子どもの肥満を判定する基準について解説します。

1.肥満度(BMI)の計算方法

BMIとはBody Mass Index(ボディ・マス指数)のことです。肥満度を表す指標として、日本だけでなく世界中で用いられています。[体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}]で計算することが可能です。

身長は「cm」ではなく「m」で計算する必要があるので、注意してください。例えば身長170cmで体重が75kgの場合は、[75(kg)÷{1.7(m)×1.7(m)}]で、BMIは25.95です。

BMIは22が最も標準とされていますが、BMI22の方は高血圧や脂質異常症などの状態になりにくいといわれているためです。

BMIは肥満度の指標としてよく使われますが、実は万能な数字ではありません。身長と体重から単純に計算するものなので、脂肪ではなく筋肉が多い方でもBMIは高く出てしまうことがあります。BMIは便利な指標ですが、あくまでも目安として参考にしましょう。

2.成人の肥満度判定について

日本肥満学会では、次のように肥満度を分類しています。

BMI 判定
18.5未満 低体重
18.5以上25.0未満 普通体重
25.0以上30.0未満 肥満(1度)
30.0以上35.0未満 肥満(2度)
35.0以上40.0未満 肥満(3度)
40.0以上 肥満(4度)

BMIが18.5未満は低体重、18.5以上25.0未満は普通体重、25.0以上が肥満です。肥満であっても、どこに脂肪が多くついているのかで健康への影響が大きく変わります。内臓脂肪がたまっている方は血糖値や血圧が上がりやすくなりますが、下半身に脂肪がたまっている方では血糖値や血圧の上昇は特に見られません。

ちなみに「メタボリックシンドローム」は、内臓脂肪がたまって、血糖値・血圧・脂質代謝などに異常がある状態のことです。

3.子どもの肥満度判定について

基本的にBMIは、成人の肥満判定にしか用いられません。6~18歳の子どもの場合、BMIに代わって使用されているのが「肥満度」です。

肥満度は [100×(現在の体重‐標準体重)/標準体重]で計算できます。標準体重は以下の表にある数字を使って計算できるので、確認してみてください。[a×身長(cm)‐b]で計算したものが標準体重です。

男児の場合は肥満度が25%以上、女児の場合は11歳未満なら30%以上、11歳以上なら35%以上になると肥満とみなされます。

年齢 男子 女子
a b a b
6歳 0.461 32.382 0.458 32.079
7歳 0.513 38.878 0.508 38.367
8歳 0.592 48.804 0.561 45.006
9歳 0.687 61.390 0.652 56.992
10歳 0.752 70.461 0.730 68.091
11歳 0.782 75.106 0.803 78.846
12歳 0.783 75.642 0.796 76.934
13歳 0.815 81.348 0.655 54.234
14歳 0.832 83.695 0.594 43.264
15歳 0.766 70.989 0.560 37.002
16歳 0.656 51.822 0.578 39.057
17歳 0.672 53.642 0.598 42.339

参照:日本学校保健会「児童生徒等の健康診断マニュアル平成27年度改訂

4.肥満を予防するための方法とは?

肥満を予防するためには、以下のことに気をつけることが大切です。

  • ・食べ過ぎない

  • ・運動を継続的に行なう

  • ・食事のリズムを見直す

  • ・睡眠をしっかり取る

特に小児の場合では、睡眠不足が肥満を招きやすくなることがわかっています。遅寝遅起きの子どもが多いため、早寝早起きを心がけましょう。

成人の場合は、アルコールの量にも注意することが大事です。アルコールを飲むと知らず知らずのうちにエネルギーを過剰に取っていることがあるため、節度ある適度な量を守るようにしましょう。

適度な体重維持を心がけよう

成人の場合はBMI、6~18歳の子どもは肥満度を使って肥満かどうかを計算できます。BMIは25.0以上になると肥満です。子どもの場合は男児なら肥満度が25%以上、女児なら11歳未満で30%以上、11歳以上で35%以上になると肥満とみなされます。

肥満を予防するためには、食べ過ぎに気をつけ、運動を定期的に行なったり睡眠をしっかり取ったりすることが大切です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医