1.植物性タンパク質の特徴
私たちがイキイキと過ごすためには、体を動かすための「筋肉」が必要です。筋肉はタンパク質で作られ、体内では常に合成と分解が行なわれているため、食事からしっかりとタンパク質を補給しなければなりません。
タンパク質には植物性と動物性の2種類がありますが、ここでは植物性タンパク質の特徴を見ていきましょう。
1-1.動物性タンパク質に比べて脂質が少ない
植物性タンパク質食品は、動物性タンパク質食品に比べて低脂質です。
肉類中心の欧米食では、植物性タンパク質が少ない傾向にあります。肉類中心の高脂肪の食事は、脂質異常症など生活習慣病の原因になるケースがあるため、注意が必要です。
1-2.たっぷりと食物繊維を含んでいる
植物性タンパク質食品には、食物繊維が豊富に含まれています。一方で、魚や肉といった動物性タンパク質食品には、あまり食物繊維が含まれていません。
近年、日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあり、不足しがちです。食物繊維は、生きるうえで必要な栄養素ではありませんが、健康な体づくりには役立つため、積極的に摂りたい栄養成分です。
1-3.植物性タンパク質食品は地球に優しい
植物性タンパク質食品は、動物性タンパク質食品に比べてエコロジーです。
牛や豚などの家畜を育てるには、広大な土地や水が必要になり、また大量の排泄物が発生します。大量の排泄物による水質汚染や悪臭は、問題となっています。さらに、牛が排出するゲップには、温室効果ガスとして知られるメタンが含まれているため、地球温暖化の一因といえるでしょう。
その点、植物性タンパク質食品を生産する過程では、家畜に比べて土地・水を多く必要としません。また、温室効果ガスを抑制できるため、環境に優しいといわれています。
2.植物性タンパク質を多く含む食品
植物性タンパク質は、大豆製品をはじめとした豆類や穀類に多く含まれています。ここでは、大豆製品・大豆以外の豆類・穀類に分けて、食品を紹介します。
【植物性タンパク質を多く含む食品可食部100g中のタンパク質含有量】
分類 |
食品名 |
タンパク質(g) |
大豆・大豆製品 |
黄大豆(乾燥) |
33.8 |
油揚げ |
23.4 |
ひきわり納豆 |
16.6 |
がんもどき |
15.3 |
厚揚げ |
10.7 |
木綿豆腐 |
7.0 |
おから(生) |
6.1 |
絹ごし豆腐 |
5.3 |
大豆以外の豆類 |
そら豆(フライビーンズ) |
24.7 |
エンドウ(塩豆) |
23.3 |
グリンピース(揚げ豆) |
20.8 |
ひよこ豆(フライ・味付け) |
18.8 |
ささげ(茹で) |
10.2 |
こしあん(小豆) |
9.8 |
穀類 |
車麩(焼き麩) |
30.2 |
オートミール |
13.7 |
ロールパン |
10.1 |
フランスパン |
9.4 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
3.植物性タンパク質を含む食材を使った料理レシピ
ここでは、植物性タンパク質を多く含む食品を使った、ヘルシーなレシピを紹介します。
3-1.大豆とおからのキッシュ
まず紹介するのは、植物性タンパク質が豊富な大豆とおからをたっぷり使った「大豆とおからのキッシュ」です。
【材料】(直径20cmの型1台分)
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・大豆 1/2カップ
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・おから 200ml
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・玉ねぎ 1/2個
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・ブロッコリー 1/4個
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・ミニトマト 6粒
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・ベーコン 2枚
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・バター 10g
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・冷凍パイシート 2枚
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・牛乳 200ml
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・固形スープの素 1個
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・卵 2個
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・ピザ用チーズ 60g
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・トマトケチャップ 適量
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・ベビーリーフ 1袋
【作り方】
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1. 大豆は水洗いして、たっぷりの水に浸けて一晩置きます。厚手の鍋で、やや歯応えがある硬さにゆでたら、ザルにあげます。
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2. 耐熱容器におからを入れ、パラパラにするために、電子レンジで3~4分ほどラップをせずに加熱します。
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3. 冷凍パイシートを解凍し、パイ型に敷き詰めます。
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4. 玉ねぎは粗みじん切りにします。ブロッコリーの茎は1cm角に切り、つぼみの部分はほぐします。ミニトマトは半分に切り、ベーコンは1cm角に切ります。
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5. バターをフライパンに入れて溶かし、4の玉ねぎの色が透き通るまで中火で炒めます。4のブロッコリー・ベーコン・ミニトマト・1を入れ、固形スープの素と牛乳を加えます。さっと煮立てたら、火を止めて2を入れてよく混ぜます。
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6. 5の粗熱が取れたら、卵を割りほぐして、半量のピザ用チーズとともに加えて混ぜ、3に入れます。上からピザ用チーズの残りを散らして、1000Wのオーブントースターで10~15分加熱します。
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7. 表面がグツグツとして、きれいな焦げ色がついたら完成です。冷ましてから切り分けて皿に盛り付け、ベビーリーフ・トマトケチャップを添えましょう。
3-2.定番の炒り豆腐
次に紹介するのは、植物性タンパク質が豊富な木綿豆腐を使った「定番の炒り豆腐」です。
【材料】(2人分)
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・木綿豆腐 1丁
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・干ししいたけ 2枚
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・にんじん 4cm
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・鶏もも肉 100g
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・卵 1個
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・サラダ油 大さじ1
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・刻みねぎ(あれば) 適量
<A>
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・干ししいたけの戻し汁 大さじ2
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・しょうゆ 大さじ1
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・砂糖 小さじ1
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・みりん 小さじ1
【作り方】
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1. 木綿豆腐をキッチンペーパーで包んで耐熱皿に載せ、600Wの電子レンジで2分ほど加熱します。豆腐を取り出したら、新しいキッチンペーパーに包んで粗熱を取ります。
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2. 水で戻した干ししいたけとにんじんは細切りにします。鶏もも肉は1cm角に切ります。
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3. サラダ油を熱したフライパンで鶏もも肉を炒め、色が変わったら、干ししいたけ・にんじんを加えてさらに炒めます。
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4. にんじんがやわらかくなってきたら、1を食べやすいサイズにちぎりながら加え、<A>も加えてまた炒めます。
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5. 汁気がほぼなくなったら、溶き卵を回し入れて炒めます。
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6. 皿に盛り付け、刻みねぎを散らしたら完成です。
植物性タンパク質食品を積極的に食べて明るい未来へ
近年、「植物性タンパク質」を含む食品は、健康面と環境面で世界中から注目を集めています。低脂質で食物繊維が豊富な植物性タンパク質食品は、肥満や食物繊維不足、生活習慣病を防ぐためにも、積極的に摂りたいものです。
また、動物性タンパク質食品である肉に比べて、生産過程での環境負荷が少ないため、「持続可能な開発目標(=Sustainable Development Goals:SDGs)」に寄り添った食品の一つともいえるでしょう。
植物性タンパク質は、大豆製品をはじめとした豆類や穀物に多く含まれています。ぜひ、今回紹介したレシピも参考にして、植物性タンパク質食品を積極的に活用してはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。