「平滑筋」とは?平滑筋の特徴や働きについて解説

腹筋や腕・脚などの筋肉を付けるために筋肉トレーニングをしたり、プロテインを飲んだりして筋肉キープを心がけている人は多いのではないでしょうか。

筋肉は、美容や健康作りのために重要です。お腹や腕・脚などの筋肉が注目を集める一方で、目立たない場所で私たちの命を支えている筋肉があります。それが「平滑筋」です。

今回は、「平滑筋」について解説します。平滑筋の特徴や働きに加えて、筋肉の種類についても説明するので、参考にしてみてください。

1.平滑筋の特徴とは

平滑筋は、血管の壁や内臓の壁に存在しています。平滑筋は、自律神経に支配されているため、自分の意志によって動かすことはできません(不随意筋)。

また、横じまの模様がある横紋筋とは違って、平滑筋は横じまの模様がないのが特徴的です。

2.平滑筋の働きとは

平滑筋は、収縮したり緊張を保ったりすることで「血管や内臓の働きを維持」しています。

血管は、外膜・中膜・内膜の3つの層から作られており、平滑筋が存在するのは中膜です。中膜では2種類の繊維と平滑筋によって、血管を伸縮させています。血流が速いときに血管の内皮細胞は、血管拡張物質である一酸化炭素を放出するのです。すると、中膜にある平滑筋の緊張が緩み、血管を拡張させます。

また、内臓にある平滑筋は、腸の蠕動運動や出産などで活躍しています。腸の蠕動運動は、腸にある平滑筋の伸縮によるものです。例えば、出産では子宮にある平滑筋が収縮することで、分娩が促進されます。

3.その他の筋肉の種類

筋肉は、体重の4~5割を占める重要な器官です。筋肉には、「エネルギーを貯蔵する」「体を支える」「体を動かす」という働きがあります。筋肉には、「平滑筋」「骨格筋」「心筋」の3つの種類があり、それぞれ違った働きを担っているのです。

3-1.骨格筋

骨格筋は、私たちの体の骨格に沿って付いている筋肉です。単に「筋肉」と呼ばれるものは多くの場合、骨格筋を指します。例えば、腹筋・背筋・腕や脚の筋肉などは、骨格筋の一種です。収縮することで体を支え、姿勢を保ったり体を動かしたりする役割を担っています。

骨格筋は、“運動神経”によって支配されているので、自分の意志によって動かすことが可能です(随意筋)。

また、筋繊維(細長い繊維状の細胞)が集まってできており、横じまの模様が見られる「横紋筋」の一種になります。

3-2.心筋

心筋は、心臓だけに存在する筋肉で、横じまの模様がある「横紋筋」の一種です。心筋は心臓の壁を作り、絶え間なく心臓を動かし続けるポンプの役割を担っています。

構造は骨格筋に似ていますが、平滑筋と同じく“自律神経”に支配されているので、自分の意志によって動かすことはできません(不随意筋)。

筋肉の役割を理解して健康的な毎日を

筋肉は、体重の4~5割程度を占める重要な器官であり、「骨格筋」「平滑筋」「心筋」の3つに大別されます。広く「筋肉」と呼ばれているものは、腹筋や腕・脚などにある「骨格筋」です。

一方で、「平滑筋は」外観からは見えない血管や内臓の壁に存在しています。自律神経に支配されているため、自分の意志によって動かすことはできません。

平滑筋は、血管や内臓の働きを維持しています。具体的には、血管に存在する平滑筋が伸び縮みすることで血液を運んだり、腸にある平滑筋が伸縮することで腸の蠕動運動を行なって消化物を運んだりしています。また、出産の際は子宮にある平滑筋が収縮することで分娩を促しているのです。

このように、私たちの命を支えるために、さまざまな筋肉が働いています。筋肉はタンパク質からできているので、毎日タンパク質を補給して健康的な毎日を送りましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医