ギャバ(GABA)とは?
期待できる効果や多く含まれる食材を紹介

近年、チョコレートやドリンク・サプリメントなど「ギャバ(GABA)」が配合されたさまざまな商品を店頭で見かけるようになりました。ギャバは、現代人のニーズにマッチした効果が期待できるとされる成分です。

今回は、ギャバの効果や効率的な摂取方法を紹介します。あなたの食生活にも積極的にギャバを取り入れて、健康的な毎日を目指しましょう。

1.ギャバ(GABA)とは?

ギャバ(GABA)は、Gamma Amino Butyric Acidの頭文字をとった略称です。日本語で「γ-アミノ酪酸」といいます。アミノ酸の一種ですが、タンパク質の素にはならない非タンパク質性アミノ酸です。水に溶ける性質を持っているため、腸管から素早く吸収されます。

人間をはじめとした哺乳類動物の脳や脊髄に多く存在し、興奮を抑える抑制性の神経伝達物質として働くのです。

近年、美容・健康への意識が高まり、機能性表示食品や特定保健用食品などの機能性食品として、ギャバを含んだ商品が人気を集めています。

2.ギャバ(GABA)に秘められた効果

ギャバ(GABA)の一日の摂取目安量は28㎎以上であり、摂取によりさまざまな効果が期待できるとされています。具体的な効果は、以下のとおりです。

2-1.ストレスを緩和する

複数の研究により、ギャバ(GABA)はストレスを緩和する働きがあることがわかっています。

ユニークなものとしては、京都女子大学と静岡県立大学の共同研究により行なわれた日本一長くて怖い生活橋を使った実験(※1)です。奈良県にある高さ54m、全長300mにものぼる吊り橋を渡り、中間地点での被験者にかかるストレス指数(IgA)を計測しました。

事前にギャバを摂取した被験者では、ギャバを摂取しなかった被験者と比べて、明らかにストレス指数が低値を示したのです。これにより、吊り橋でのストレス軽減にギャバが有効である可能性が示唆されました。

2-2.疲労感の軽減

ギャバ(GABA)には、疲労感を軽減させる働きがあることも実証されています。

2019年に公益社団法人日本農芸化学会(※1)から、28㎎のギャバが入ったコーヒー飲料を使った実験結果が報告されました。

実験内容は、ギャバ入りコーヒーを飲んだ被験者とギャバ無配合のコーヒーを飲んだ被験者に対して、計算問題によるストレス負荷をかけるというものです。

その結果、主観的な疲労感の値(クロモグラニンAおよびVAS)がギャバ入りコーヒー飲料を飲んだ被験者で優位に低下しました。これにより、ギャバは疲労感を緩和させる効果があると示唆されました。

2-3.睡眠の質の改善

2019年の公益社団法人日本農芸化学会による報告(※1)によると、ギャバ(GABA)の摂取は睡眠の質を上げることも示唆されています。

実験は、介護老人保健施設に入所している高齢者に対して行なわれました。夜寝る30分前に100㎎のギャバを摂取してもらい、入眠のタイミングやノンレム睡眠時間・朝起きたときの気分について小型脳波計などを用いて調べたものです。その結果、GABAを摂取していないグループと比べて睡眠の質の改善がみられました。

2-4.血圧を下げる

ギャバ(GABA)を摂取すると血圧を下げる働きがあることは、古くから知られています。これは、ギャバが臓器の末梢血管にある交感神経系の伝達を抑えて、血管の収縮を緩やかにするからだと考えられているのです。

※1:
出典:公益社団法人 日本農芸化学会「GABAの生産技術の確立と高機能食品の市場開発ユニークな機能性食品素材“GABA”はどのようにして生まれたか?」

3.ギャバ(GABA)を効率的に摂取する方法

ギャバ(GABA)は穀物や野菜・果物などに含まれており、決して特殊な成分というわけではありません。そのため、意識せずとも何らかの形でギャバを摂取していると考えられます。ここからは、効率的にギャバを摂取する方法を紹介します。

3-1.ギャバ(GABA)を含む食材を摂取する

天然由来のギャバ(GABA)を含む食材を紹介します。

  • ・発芽玄米

  • ・お茶

  • ・キムチ

  • ・トマト

  • ・米

  • ・大豆

  • ・じゃがいも

  • ・かぼちゃ など

3-2.サプリメントや機能性食品で摂取する

上記のような天然由来のギャバ(GABA)含有食品からギャバを摂取できる量は、1食に換算するとわずか数mg程度です。ギャバを濃縮しているサプリメントやギャバを添加している機能性食品を活用することで効率的に摂取できます。

ギャバ(GABA)のある生活で健康的な毎日を

ギャバ(GABA)は、タンパク質の素にはならないアミノ酸の一種であり、人間をはじめとした哺乳類動物の脳や脊髄に多く存在しています。

ギャバ(GABA)には、ストレスや疲労感の緩和・睡眠の質の改善・血圧を下げる働きなど、現代人の健康維持に効果的な働きが多く報告されています。このようなことから、近年ギャバ(GABA)が添加されたチョコレートやドリンク、サプリメントなどが数多く登場しているのです。

発芽玄米やお茶などの食品にも天然由来のギャバ(GABA)が含まれていますが、食事から摂取できる量は、1食で数mgほどしかありません。過剰摂取は禁物ですが、効率的かつ手軽に摂取するには、ギャバが濃縮されたサプリメントやギャバ高配合の機能性食品がおすすめです。ぜひ、あなたの生活にギャバ(GABA)を積極的に摂り入れて健康的な毎日を目指しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。