「休養」の意味とは?不足した場合の影響や
休養をとる際の睡眠・生活習慣で意識することについて

日ごろから、しっかり休養をとれているでしょうか。

休養には2つの側面があり、横になって体を休めるだけが休養ではありません。本当の休養とはどのようなものなのか、曖昧な方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、休養の意味と休養をとる際のポイントについて解説します。

1.「休養」の意味とは?

休養には「休む」ことと「養う」ことの2つの側面があります。

休むとは、心身の疲労を癒して、元気な状態に回復させることです。一方で養うとは、鋭気を養って身体的・精神的・社会的な面で健康になることを指しています。

そのため、横になって過ごすことだけが、休養ではありません。静かに自分を見つめ直す時間をとったり、運動をしたりすることも休養になります。

このような休養のことを積極的休養と呼び、上手に活用することでしっかり休養をとれるようになるのです。

2.休養が不足するとどうなる?

十分に休養がとれていないと疲れがたまっていき、QOL(生活の質)や仕事の効率が低下し、怪我や病気を引き起こすこともあります。特に、自律神経といった体の機能面が低下しやすくなるため、注意が必要です。

休養が十分かどうかは、身体的・精神的ストレス反応で測定できます。次のチェックリストに半分以上当てはまった方は、十分な休養をとれていない可能性が高いでしょう。

  • ・朝起きても疲れがとれていないと感じることが多い

  • ・十分に寝たはずなのに寝不足だと感じる

  • ・早朝に目が覚め、そのあと眠れない

  • ・慢性的な肩こりや頭痛がある

  • ・食欲または便通があまりない

  • ・楽しいはずのことが楽しめない

  • ・常にイライラする

  • ・仕事や家事に集中できない

  • ・仕事や家事をするのがおっくうに感じる

  • ・気分が落ち込んでいる

3.休養をとる際のポイント

休養をとる際には、睡眠と生活習慣を中心に意識すべきポイントを理解することが大切です。

3-1.睡眠で意識すること

睡眠をとる際には、まず寝る環境を整えましょう。具体的には、以下のようなポイントを意識してみてください。

  • 就寝前に強い光を浴びない

    明るすぎる光は、自律神経を興奮させたり、入眠に関係するホルモンのメラトニンの分泌を妨げたりして、入眠しにくくなります。
    そのため、就寝時間の1時間前には、強い光を発するテレビやスマートフォンの使用は控え、部屋の照明を暗くしましょう。

  • 同じ時間に起床する

    朝は起床する時間を決めて、太陽の光を浴びることが大切です。太陽の光を浴びてから14~16時間後に眠くなるため、朝に太陽光を浴びることは快適な睡眠にとって重要です。

  • 運動で体温を上げる

    体温が低下すると眠気を感じやすくなります。そのため、運動の効果をうまく取り入れるのもおすすめです。例えば、夕方に30分程度の軽めの運動をして体温を上昇させると、発汗などによって体温は低下します。そうすることで、寝る前には体温が下がった状態になり、寝つきが良くなるのです。

  • ぬるめのお湯に浸かる

    ぬるめのお湯(38~39度)に、就寝の約4時間前に30分程度入浴すると、体温が下がりやすくなるため、スムーズに入眠準備ができます。42度以上のお湯に浸かってしまうと交感神経が優位に働いてしまい眠気を邪魔してしまいます。そのため、入浴の際はお湯の温度に注意しましょう。

  • カフェイン・タバコを控える

    カフェインが含まれるコーヒーや紅茶は、寝る4~5時間前から控えるようにすると、寝つきが良くなります。タバコは、入眠の1時間前から吸わないようにすることがポイントです。

3-2.生活習慣で意識すること

忙しい平日に休養をとる場合は、短時間でも自分の時間を作り、リラックスすることが大切です。ゆっくりお風呂に浸かったり、好きな音楽を聴いたりするなどして、忙しい日々から離れる時間を持ちましょう。そうすることで気分転換ができるため、仕事の効率も向上します。

また、週末の休みは趣味やスポーツなどに取り組み、活発的に過ごすのもおすすめです。しかし、疲労の度合いによって活動量は調整しましょう。

体が疲れ切っている場合は、無理に動くと疲れが増す可能性があるため、激しい運動や体に負担のかかる活動が避けることが大切です。ゆっくりウォーキングしたり自宅で好きな音楽を聴いたりして、リラックスできる時間を過ごすとよいでしょう。

疲れが少したまっている場合は、疲労感を和らげるために、ハイキングや水中歩行などの軽い運動をおすすめします。帰宅後に疲れを感じない程度の運動がポイントです。

疲れを感じていない場合は、旅行やボランティアなど刺激的で新しいことに挑戦するとよいでしょう。人脈や可能性を広げるために、積極的に行動することがより良い生活に効果的です。

適切な休養をとって自分をいたわろう

休養には心身の疲労を癒す面と鋭気を養う面の2つの要素があり、どちらも健康的な生活を送るために重要です。休養が足りなくなると、疲労が蓄積され心身の不調を引き起こします。

そのために、睡眠と生活習慣のなかで休養のポイントを理解して、心身の疲れに合わせて適切な休養をとることが大切です。しっかり休養をとって、自分をいたわりましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。