1.そもそもヨガとは?
ヨガとは、およそ4500年前に栄えたインダス文明から続く、悟りを開くための修行法を起源とする運動法です。ヨガという言葉には、「結び付ける」「つなぐ」といった意味があります。
元来、ヨガは瞑想を通して行なう心身の鍛錬法として、実践されていました。そのため、単なる運動法ではなく、自分を見つめ直したり悟りの境地を開いたりして、心身を健康に導く手法といえるでしょう。
ヨガには数多くの流派が存在しますが、運動法として現在実践されているヨガのベースになっているのは「ハタ・ヨガ」です。これは「ヨガ・スートラ」というヨガの経典に基づいて13世紀頃に考案された流派であり、以下の3つの要素から構成されています。
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・瞑想(ディアーナ)
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・ポーズ(アーサナ)
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・呼吸法(プラーナーヤーマ)
その他、体操のような動き(ビンヤサスタイル)で柔軟性と筋力を高める「パワーヨガ」、温度や湿度の高い環境下で実践する「ホットヨガ」など、多くの種類があります。
ヨガに対して、「ポーズをとるのが難しい」「マットがないと行なえない」と考える方もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。椅子に座って取り組むものや壁を使って取り組むものなどもあるので、誰でも安全かつ気軽に実践できます。
最近ではオンライン形式のヨガレッスンもあるため、忙しくてなかなか時間がとれない方でも取り組みやすいでしょう。
2.ヨガの呼吸法について
ヨガというと、バリエーション豊かなポーズ(アーサナ)があることが印象的ですが、そのポーズと同じくらい、大切に考えられているものが呼吸法(プラーナーヤーマ)です。ヨガでは、単にポーズをとるのではなく、呼吸を意識しながら体を動かす必要があります。
また、呼吸時は体内にエネルギーを溜めるイメージでゆっくりと息を吸い、感情も一緒に流すイメージで深く吐き出すことがポイントです。ポーズの動きと呼吸を通じて、深い瞑想を導き出します。
ヨガの呼吸法により、交感神経や副交感神経のバランスが調整され、結果としてストレス緩和や気分の向上、心身の調和などにつながります。
3.ヨガを行なうことで期待できる効果
ヨガを実践すると、日常生活ではあまり使わない筋肉も含めて全身が動くため、体の柔軟性が向上します。体のコリをほぐせるほか、体力・筋力・バランス能力なども高まることが見込めるでしょう。
ヨガのポーズを血流改善によって代謝機能が向上したり、瞑想や呼吸法を通じて呼吸機能を保ったりするなど、体の内部にも働きかけることができます。
また、高齢者がヨガを実践すると、上記のような効果を得ることで、加齢とともに心身が衰える「フレイル」を予防できる可能性もあります。
ヨガは心身の健康状態を高める運動法
ヨガはもともと瞑想を中心とする修行法でしたが、長い年月を経て気軽に取り組める運動法へと進化しました。瞑想・ポーズ・呼吸法という3つの要素を意識しながら実践すれば、体に加えて心の健康状態も整えることができます。
特に、呼吸法はヨガの効果を大きく左右するといっても、過言ではありません。そのため、ヨガを行なう際には、意識的に呼吸することを心がけましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。