男性ホルモンとは?男性ホルモンが体に与える影響を解説

男性ホルモンには、さまざまな役割があり、性ホルモンが低下すると体にさまざまな問題が生じてしまう場合があります。

今回は、男性ホルモンに焦点を当て、その概要や働き、身体に与える影響を解説します。

1.男性ホルモンとは

男性ホルモンでは、テストステロンと呼ばれるものが有名です。テストステロンの95%は精巣、5%は副腎で作られ、生殖機能や筋肉、骨格などの成長に関わります。思春期はテストステロンの分泌が増加することで、第二次性徴を促進させ、肉体的な影響だけでなく精神的にも影響を与えます。

また、男性ホルモンの分泌が多くなると、集中力ややる気の向上、精神状態の安定などが見られたり、内臓脂肪を低下させたりするなど、成人後も心身への影響に関与するとされています。そのため、男性ホルモンの分泌を維持することが健康維持に重要です。

なお、女性にも男性ホルモンは少量ながら分泌されますが、小学校高学年ぐらいから、分泌量の差が大きくなります。

2.男性ホルモンの働き

男性ホルモンは、健康を維持するために重要なホルモンです。ここでは、男性ホルモンの具体的な役割について解説します。

2-1.筋肉量と骨密度を保つのに必要

男性ホルモンの分泌は、筋肉量と強度の維持、骨密度の維持に関与しています。そのため、女性と比べて筋肉がつき、骨格も大きくなるのです。

2-2.内臓脂肪を減らす

男性ホルモンの分泌によって筋肉量が増えると、基礎代謝量が増えます。基礎代謝量が増えると、内臓脂肪が減少して脂肪がつきにくくなり、太りにくい身体の維持が可能です。

2-3.造血作用

男性ホルモンの分泌によって、造血作用が促進されます。65歳以上の男性が訴える貧血のうち、20~30%が男性ホルモンの分泌の低下によるものとされ、そのことからも、男性ホルモンは血液を作るうえで大切な役割を果たしているのです。

2-4.性欲を起こす

男性ホルモンの分泌が多くなると、性欲を起こす作用があります。しかし、男性ホルモンの分泌は20代をピークに徐々に低下するため、性欲も加齢とともに減少するとされています。

3.男性ホルモンが減ることで生じる疾患

男性ホルモンが低下することで、健康的に問題が生じることがあります。男性ホルモンが低下することで起きる症状を紹介します。

3-1.男性更年期障害

男性更年期障害は、男性ホルモンの分泌が低くなることで起きる症状であり、LOH症候群とも呼ばれます。男性更年期障害には、いらだちや不安感、不眠、性欲の減少などの精神・心理症状、筋力の低下や関節痛、疲労感、性機能低下などの身体症状が見られます。

3-2.糖尿病

インスリンは、上昇した血糖値を減少させる働きを持つホルモンです。男性ホルモンが低下するとインスリンが働きにくくなるため、血糖値が下がらずに糖尿病のリスクを上昇させます。

3-3.勃起障害

男性ホルモンは、性機能に対しても重要です。男性ホルモンの減少によって、性欲の減少、性交時の障害、勃起不全に陥りやすい傾向が見られます。

3-4.メタボリック症候群

メタボリック症候群は、内臓脂肪型肥満を機に、高血圧や高血糖、中性脂肪が上昇した状態です。男性ホルモンが低下すると内臓脂肪が増加傾向となることから、メタボリック症候群のリスクを上昇させます。

4.男性ホルモンを活性化させる方法

健康的で活力のある生活をするためには、男性ホルモンの維持が重要です。ここからは、男性ホルモンを活性化させるための方法を紹介します。

4-1.ストレスをためない

男性ホルモンの分泌にはストレスも強く影響するため、普段からストレス対策を行なうことが重要です。

4-2.質の良い睡眠

睡眠不足は、男性ホルモンが減少する原因になります。睡眠は、時間よりも質が重要です。就寝前にテレビやスマートフォンなどを見ていると脳が興奮状態になるため、睡眠の質が低下します。睡眠の質を高めるため、就寝前に、お風呂でぬるい温度のお湯に浸かったり、部屋を暗くしてリラックスしたりできる状態にしたほうが良いでしょう。

4-3.栄養バランスの良い食事を心がける

筋肉や身体の組織を作るためには、さまざまな栄養素が必要です。男性ホルモンの生成に関わるビタミンやミネラル類、身体の組織を作るアミノ酸も積極的に摂取しましょう。また、根菜類やねぎ類、大豆製品などは性ホルモンの働きをサポートします。男性ホルモンの分泌量の維持には、これらの栄養素・食材を中心に、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。

4-4.適度な運動をする

男性ホルモンの維持には、適度な運動も必要です。普通の散歩よりも坂道や階段にのぼるなど脚の筋肉を使うような、比較的負荷の高めの運動をしてみると良いでしょう。

生活習慣の改善し男性ホルモンを活性化させましょう

男性ホルモンは、思春期になると分泌量が上昇し、筋肉の増量や内臓脂肪の減少、集中力の上昇、性機能などの健康維持にも重要な役割を果たしています。個人差はありますが、一般的に20代をピークにその分泌量は減少傾向に転じ、ホルモンの低値が顕著になる高齢期になると、心身の不調を感じたり、男性の更年期障害に陥ったりする可能性もあるのです。

男性ホルモンの分泌を活性化させるためには、ストレス対策や質の良い睡眠の確保、栄養バランスの良い食事、適度な運動など生活習慣の改善が有効です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医