血行不良のおもな原因とは?症状、改善方法やおすすめの食べ物を紹介

血行不良は、体にさまざまな不調をもたらします。
例えば、末端の冷えやむくみ、眼精疲労などを普段から感じている場合、それは血行不良から起こっている可能性も考えられます。

しかし、逆にいえば血行不良を改善することで、これまでに感じていた不調の回復が期待できるかもしれません。

今回は、血行不良とその対策を詳しく解説します。

1.血行不良が起こるおもな原因

体が冷えることによって血行不良が起こるのですが、その他にも血行不良には以下のような原因があります。

  • ・運動不足

  • ・水分不足

  • ・きゅうくつな衣類や靴による圧迫

  • ・貧血や低血圧などの血管系の疾患

  • ・ストレスや不規則な生活による自律神経の乱れ

2.血行不良が引き起こすおもな症状

血行不良の影響で冷えが起こるのはもちろん、ほかにも身近な症状が血行不良によって引き起こされている可能性があります。

2-1.むくみ

むくみやすい場所として代表的な部位は、脚です。ふくらはぎの筋肉は血液を心臓へ押し戻すポンプのような役割を果たしています。しかし、運動不足によってふくらはぎのポンプ機能が働かなくなると血行不良が生じ、むくみの原因となるのです。

2-2.抜け毛

血行が悪いと、毛根や頭皮にとって必要な栄養素が届かなくなるため、抜け毛の原因になりえます。

2-3.眼精疲労

一定の距離にあるものを集中して見続けていると、目の周囲の筋肉が緊張状態になり、血行不良につながります。そこから目の疲れや痛みが起こるとされています。

3.血行不良が引き起こすおもな疾患

むくみや眼精疲労などの軽い症状だけであれば、血行不良についてあまり気にしない人も多いでしょう。しかし、血行不良を侮ってはいけません。なかにはリスクの高い注意したい疾患もあります。

3-1.エコノミークラス症候群

食事や水分を十分に摂らず、車や飛行機などの狭い空間で長時間座って同じ姿勢のままでいると、血行不良が起こり血液の固まりができやすくなります。その結果、肺塞栓などを起こす恐れがあります。

3-2.下肢静脈瘤

ふくらはぎの筋肉のポンプ機能が低下したり、静脈の逆流防止弁の機能が衰えることで、心臓への血液の戻りが悪くなった状態が続くと、静脈内に血液がたまります。それによって足の静脈が太くなりコブ状に浮き出て見える状態が、下肢静脈瘤です。下肢静脈瘤は、患部の痛みやかゆみのほか、停滞した血液がもとで感染や炎症が起こったり、さらには皮膚がもろくなって出血しやすくなったりするなどの症状が見られます。

4.血行不良を改善する方法

血行不良を解消するためには、普段の生活習慣を見直すことが大切です。以下では、血行不良を改善する方法を紹介します。

4-1.適度な運動習慣

適度に体を動かすことは、血液の流れを良くします。無理なく継続しやすいジョギングやウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。

4-2.きゅうくつな衣類を避ける

衣類で締めつけることで血行不良になることもあるため、余裕のある服装を心がけ、ベルトもきつく締めつけないようにしましょう。

4-3.入浴して体を温める

入浴によって体を温めることで血液の循環も良くなります。また、入浴には自律神経のスイッチの切り替えが期待できるため、自律神経に負担をかけないように入浴することが大切です。38~40度のお湯へ10~15分を目安に肩まで浸かることがポイントとなります。

入浴後は湯冷めをしないように早めに体を拭き、衣類を着て保温しましょう。

4-4.水分を摂る

水分を十分に摂らないと、血行不良になって血液が固まりやすくなります。血行を良くするためにも、こまめな水分摂取をしましょう。

4-5.禁煙

喫煙も血液が固まりやすくなるため、禁煙することも大切です。

4-6.食事の改善

栄養バランスの良い食事を基本とし、にんじんやごぼうなど、冬に旬を迎える野菜は体を温める食材のため、これらも多く取り入れましょう。また、血流の改善が見込めるビタミンEが含まれる食材(タラコやアボカド、アーモンドなど)を取り入れるのもおすすめです。

5.血行不良を改善する食べ物

血行不良が気になるときは、体を温める食材を積極的に摂ることが大切です。
その他にも、料理に使いやすく血行促進につながる食材はたくさんあります。

5-1.にんにく、ニラ、ねぎ

にんにくやニラ、ねぎには血行促進作用があるアリシンが含まれます。血栓がつくられにくくなる効果もあるため、循環器疾患へのリスクを減らすことも期待できるでしょう。

5-2.生姜

生姜に含まれる辛み成分には、体を温めたり発汗を促したりする作用があります。体が温まることで血行が良好になるでしょう。

適度な運動と食事が血行不良改善のカギに

最近は年中寒暖差があるうえ、運動不足も重なり血行不良の人が男女問わず増えています。

血行不良は、むくみや眼精疲労など比較的軽度な不調をもたらすだけでなく、エコノミークラス症候群や下肢静脈瘤など、リスクの高い疾患の原因になると考えられています。そのため、日頃から血行不良への対策を心がけることが大切です。

入浴で体を温めるのはもちろん、ふくらはぎを動かすような適度な運動や、体を温める食材・薬味を使った料理を食べるなど、ちょっとした生活の見直しが、血行不良の改善につながるでしょう。

ぜひ毎日、体の外側からも内側からも温める生活を心がけてみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医