糖尿病とは?糖尿病の危険因子と症状を解説

糖尿病が怖い病気であることはよく知られていますが、その症状や原因について詳しく知らない方も多いでしょう。

糖尿病は、知らない間に症状が進行し、気付いたときには重い合併症が起こっていることもある病気です。

そこで本記事では、糖尿病とは何か、その基本や症状、糖尿病となる要因などを詳しく解説します。

1.糖尿病とは

糖尿病は、高血糖の状態が慢性的に続く病気です。糖尿病になると血管が傷つき、ほかの病気につながる恐れがあります。腎不全などになるほか、場合によっては失明することもあります。

また、糖尿病の初期は、血糖値が高いことを自覚しづらいという面もあります。目立った症状が出ないまま悪化するのも糖尿病の怖さです。

糖尿病で血糖値が高いままとなる原因は、血糖値を下げる成分として体内で分泌されるインスリンが不足するほか、効きが悪くなるためです。

なお、糖尿病は以下で説明する「1型」と「2型」におもに分類されます。詳しく見ていきましょう。

1-1.1型糖尿病

1型糖尿病はインスリンの分泌量が低下するタイプの糖尿病です。

体内では膵臓のβ細胞がインスリンを分泌していますが、1型糖尿病はこのβ細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなってしまいます。

しかし、1型糖尿病の原因についてはよくわかっていないのが現状です。
理由として推測されているのは、自己免疫が正常に働かないことにより、自分の免疫が間違ってβ細胞を攻撃していることが関係しているということです。

また、1型糖尿病は全世界の糖尿病患者の割合で見ると約5%と少ない傾向にありますが、中高年に多い2型糖尿病とは違い、幅広い年代で発症することがわかっています。特に痩せ型の人は1型糖尿病が多い傾向があります。

1型糖尿病の治療には、インスリン注射が使われます。これは、1型糖尿病の発症後はインスリンを出す力が弱まり、体内で作ることが難しくなるためです。

1-2.2型糖尿病

2型糖尿病は、食べ過ぎや運動不足のほか肥満などの要因によってインスリンの効きが悪くなるタイプの糖尿病です。要因の一つとして、遺伝的な影響であるケースもあります。

正常な身体は分泌されたインスリンが細胞に働きかけ、血中の糖を取り込みます。
一方、2型糖尿病になると、インスリンが細胞に働きかけても糖が細胞内に入りません。結果として、血中に糖が残ったままになり、高血糖の状態が続きます。

インスリンの分泌は正常に行なわれているものの、うまく機能が働かない状態を「インスリン抵抗性」と呼び、この状態により2型糖尿病で血糖値が高くなります。

2型糖尿病は、遺伝的な要因もありますが、主に食べ過ぎや運動不足、肥満といった生活習慣や環境が関係しています。

2.糖尿病のおもな症状

糖尿病は初期では症状がないため、気付かない人が多くいます。

進行して血糖値がかなり高くなると、喉が渇いたり、疲れやすくなったりするほか、尿の回数が増える人や体重が減る人もいます。

気が付いたときにはかなり症状が進行している場合もあるため、健康診断などを定期的に受けることが大切です。

また、症状がかなり進行した場合、意識障害が出ることがあります。なかには合併症が現れた際、はじめて糖尿病であることがわかる場合もあります。

3.糖尿病を引き起こす生活習慣

ここでは2型糖尿病を引き起こす生活習慣について説明します。

まずは、食べ過ぎと運動不足による肥満です。肥満になるとインスリンが細胞へ正常に作用せず、血糖値が下がりにくくなってしまいます。

また、喫煙は交感神経を刺激することにより血糖値を上昇させ、インスリンの働きも弱めてしまいます。糖尿病患者が喫煙を続けると糖尿病性腎症などのリスクも上げるため、たばこも注意が必要です。

日頃からストレスのケアをしっかり行なうことは、糖尿病の観点からも大切なことです。

4.その他の糖尿病を引き起こすもの

糖尿病を引き起こすほかの要因としては、遺伝的要因や内分泌疾患、肝臓疾患などの別の疾患によるもの、薬剤や自己免疫的な機序などがあります。

なお、遺伝的要因は、膵臓のβ細胞の機能に関係する遺伝子に異常があることや、分泌されたインスリンの作用機序に異常があることが考えられています。

また高血圧や脂質異常症は、糖尿病と同じく生活習慣病に分類されます。

生活習慣の見直しが糖尿病の対策に

1型糖尿病を未然に防ぐのは難しいですが、2型糖尿病であれば生活習慣に注意することが一つの対策になります。

糖尿病は症状が進行していても自覚症状が出にくいため、体調不良でなくとも、食べ過ぎや運動不足が続いている方は注意が必要です。
日頃から生活習慣を整え、糖尿病を未然に防いでいきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。