1.精力が衰える理由
精力の衰えは、男性ホルモンであるテストステロンの低下によって起こる、男性の更年期障害にともなう症状です。
テストステロンは95%が精巣で作られ、生殖機能の維持や筋肉・骨格を作る役割があります。テストステロンの分泌量は、加齢によって減少するのが特徴です。30歳以降で減少し始め、40歳代になるとホルモンの低下に加えストレスなども重なることで、更年期障害のような症状が現れる傾向にあります。
更年期障害のおもな症状は、次のとおりです。
テストステロンの減少率は個人差が大きく、テストステロン値が正常範囲内の人でも約30%には更年期障害の症状が現れます。
男性の更年期障害は、女性と比べるとわかりにくいのが特徴です。女性は、50歳頃に卵巣の機能が低下し閉経するため、更年期障害に気付きやすいです。しかし男性の場合は、50歳以降も精巣機能は残っており、少しずつ機能が低下することになります。
しかし、性機能に関する症状のなかには、糖尿病や泌尿器科の病気などが隠れているケースもあります。違和感を覚えた場合は、医師に相談するのがおすすめです。
2.精力を高めるおもな方法
加齢にともなう男性ホルモン量の減少は避けられません。しかし性機能障害は、泌尿器科を受診することで治療することができます。病院で問診や検査を行ない、更年期症状などをチェックし、治療法を選択して対応するのが一般的です。
治療方法には、カウンセリングや薬による治療が考えられるでしょう。薬による治療もさまざまな選択肢があります。また、メンタル面の不調もともなっている場合は、生活習慣や人間関係の改善、抗精神病薬の使用などで改善するケースもあります。
特に生活習慣の改善は、最も手軽で能動的に行なえる、更年期障害を緩和するための方法といえるでしょう。
3.精力アップが期待できる生活習慣の改善法
精力アップが期待できる生活習慣の改善方法には、食事の見直しや適度な運動などがあります。
ここでは、それぞれについて詳しく解説しましょう。
3-1.バランスの良い食事を意識する
食事の内容は、肉より魚を摂取し、野菜中心のメニューを意識しましょう。さらに、ビタミンやミネラル類を積極的に摂ることも大切です。
ミネラルは体を構成するための重要な栄養素ですが、体内では作ることができません。特に、ナトリウムやカルシウムなど、16種類の必須ミネラルの摂取をおすすめします。
また、塩分は控え目にして薄味を心がけることがポイントです。お酒を飲む場合に関しては節度ある適度な量を心がけましょう。
3-2.外食の頻度を見直す
外食が多い方は、一日1回程度に抑えるようにしましょう。外食のデメリットは栄養素が偏りやすくなることです。脂質や塩分の量が多く、ビタミンやミネラル、食物繊維などが摂取しにくい傾向にあります。
外食をする場合、少しでも栄養バランスを整えるためにメニュー選びを工夫しましょう。
例えば、主食・主菜・副菜がそろっている定食メニューであれば、バランス良く栄養が摂れます。副菜が付いていないメニューであれば、単品で追加して補うことも大切です。さらに、脂質の多いものは控えましょう。
3-3.ストレスや疲れを取り除く
疲労をため込まないために、しっかり休むことが大切です。睡眠時間をしっかり確保したり、入浴で心身の疲労を取ったりするとよいでしょう。
またストレスを感じていないか、振り返ることも疲れないために重要なことです。悩みがある場合は、体を動かして気分転換することをおすすめします。
3-4.朝日を浴びる
毎朝、朝日を浴びる生活を意識しましょう。太陽の光で体のリズムを整えることで、体内時計がリセットされ、自律神経のバランスを調整する効果も期待できます。
3-5.適度な運動をする
適度な有酸素運動をすることもおすすめです。例えば、週に3回、一日合計30分のウォーキングから始めるとよいでしょう。運動をすることで、男性ホルモンであるテストステロンの増加が期待できます。
精力アップでいつまでも元気な自分に
精力の低下は、加齢による男性ホルモンの減少によって引き起こされます。
老化は止められませんが、生活習慣の改善、薬による治療などで更年期障害による性機能の改善は可能でしょう。
しかし、性機能に関する症状のなかには、糖尿病や泌尿器科の病気などが隠れているケースもあります。そのため、体に変化を感じたら医師に相談することが大切です。きちんと対応して、いつまでも元気な自分を目指しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。