1.発熱をともなう体がおもいと感じるおもな原因
発熱をともなって、体がおもい・だるいと感じる場合は以下の要因が考えられます。
1-1.急性疾患
風邪をひいたときや、インフルエンザ、急性肝炎などの急性疾患が原因でだるさを感じることがあるでしょう。風邪の場合は、どのウイルスに感染したかによって、症状の強度も異なり感じるだるさは変わります。
発熱をともなう場合には、その他に頭痛・咳・吐き気・のどの痛み・鼻水・下痢・関節痛・寒気がないかどうかなどの症状を確認し、場合によっては医療機関に相談しましょう。
1-2.熱中症
熱中症も発熱にともなうだるさを感じます。特に夏場は脱水と体温の上昇を起こしやすいため注意が必要です。熱中症の初期症状はだるさのほかに、めまい・頭痛・吐き気・筋肉痛・こむら返りなどを生じます。屋外だけでなく、屋内にいる場合でも熱中症になりうることもあるため、注意しましょう。
2.発熱はないが体がおもいと感じる場合
2-1.疾患
発熱がない場合でも体のおもさやだるさを感じる場合、何かの疾患が関わっている可能性があります。例えば貧血や糖尿病などです。以下にだるさ以外の症状や改善法を解説します。
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貧血
貧血にはさまざまな種類がありますが、特に多いのは鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」です。鉄が不足すると、全身に酸素を運ぶ役割を持つ血中のヘモグロビンの質や量も低下し、だるさのほかに疲れやすさ、立ちくらみ、息切れ、頭痛などを引き起こします。
貧血を予防するには、日頃の食事から「鉄」とヘモグロビンの材料になる「たんぱく質」、鉄の吸収を助ける「ビタミンC」をしっかり摂ることが大切です。
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糖尿病
糖尿病とは、血糖値が慢性的に高値になる病気で、日本人の糖尿病患者の約9割は肥満や運動不足によって引き起こされる「2型糖尿病」です。
糖尿病を発症しても初期はほとんど自覚症状がありませんが、進行していくとのどの渇きや多飲・多尿、体重減少、視力低下、だるさなどの症状が現れます。
糖尿病を予防するためには、過食をせずに野菜・海草・きのこや大豆製品を意識して摂ること、運動習慣をつけること、節度ある適度な飲酒量を心がけること、たばこを吸わないことなど生活習慣の見直しが大切です。
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その他の疾患
肝障害・甲状腺・副腎・腎障害の疾患などもだるさの要因となります。だるさのほかにも何らかの症状が出るケースが多いため、異常を感じたら医療機関へ相談しましょう。
2-2.生活習慣の影響
忙しい日々で食事を抜いたり、栄養バランスを考えない食事を続けたりしてしまう人は少なくないでしょう。しかし、そのような食生活を続けると体調を崩しやすくなります。
また睡眠時間が短い日が続くと疲れがたまっていき、だるさにつながるため注意が必要です。
2-3.精神的なストレスによる自律神経の乱れ
自律神経は、呼吸や血液の循環など体のさまざまな働きをコントロールしています。精神的なストレスが大きいと自律神経のバランスが悪くなり、疲れやだるさを感じやすくなるでしょう。リラックス方法を見つけてストレスをためすぎないように心がけることが大切です。
2-4.ホルモンの変化
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女性ホルモンの影響
女性の場合、個人差はありますが月経前には体調の変化が起こりやすくなる傾向があります。女性ホルモンの乱れにより、肌が荒れやすかったりイライラしやすかったり、また、だるさを感じるという人もいます。
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40歳以降のホルモン変化
40歳を過ぎると、性ホルモンの分泌量が低下してくることで体にさまざまな症状が現れやすくなります。更年期障害では顔のほてり・頻脈・息切れ・耳鳴り・頭痛・めまいなどの体の症状に加えてイライラや不安感・不眠などの精神的症状もあります。
初期症状としてはだるさや睡眠障害などの曖昧な症状が出やすいため、なかなか発症に気付かない人も多いようです。
体のおもさを感じたら体の声を聞き生活習慣を見直そう
体がおもく感じるときは、さまざまな要因が考えられます。食生活の乱れや睡眠不足が原因である場合は、生活習慣を見直すことで改善が期待できるでしょう。
しかし、糖尿病など、意外な疾患が原因となっているケースもあります。そのため、体調の変化に気を付けながら日々を過ごすことで、些細な変化を見逃さないことが大切です。体調に違和感を覚えたら、無理をせずに病院へ相談することを検討しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。