精神安定する方法とは?体・思考・行動を変えて感情を調整しよう

気持ちが落ち込んでモチベーションが上がらなかったり、質の良い睡眠がなかなかとれない日々が続いたりすることはないでしょうか。それらは、強いストレス状態に陥り、「もう心も体も頑張れない」というサインかもしれません。

そもそもストレスとは、外部の刺激によって心が緊張状態になっている状態を指します。ストレスを溜めすぎると、上記のように精神的に不安定になりやすく、体にもさまざまな不調を引き起こすため、しっかり対策することが大切です。

そこで今回は、精神安定する方法について、体・思考・行動の側面から詳しく解説します。

1.精神が安定しない原因

先述のように、ストレスとは、外部からの刺激によって緊張を感じている状態のことです。その外部から受ける刺激には、おもに次の4つが考えられます。

  • • 環境的要因:天候の変化や周囲の騒音

  • • 身体的要因:病気や睡眠不足など体に負担がかかるもの

  • • 心理的要因:さまざまな不安や悩み

  • • 社会的要因:人間関係の問題やハードな仕事

このような、日常生活で感じうるさまざまな変化や刺激がストレスの原因になり、精神不安定を引き起こします。また就職や結婚など、一般的には幸福とされる変化も、ストレスになります。

2.精神が安定していないときに起こる体・思考・行動の変化

精神が安定していないときには、体や考え方、行動にさまざま変化が起こります。

  • • 体の変化:耳鳴りやめまいがする・頭痛や肩こり、腹痛などの痛みが出る・眠れなくなるなど

  • • 思考の変化:不安感が強くなる・モチベーションが低下するなど

  • • 行動の変化:怒りっぽくなる・急に泣き出したりする・過食傾向になるなど

上記のような症状があるだけで精神的に弱かったり、病んでいたりするというわけではありません。ストレスを感じたときに自分にはどのような症状が出やすいか、自身で把握しておくことが大切です。そうすれば、ストレスへ早めに対応できるようになるでしょう。

3.体・思考・行動で精神安定を目指す方法

精神安定していないときの体・思考・行動の変化を理解したところで、ここでは精神安定を目指す方法について解説します。

3-1.体を使って精神安定を目指す方法

体を使って精神安定を目指すには、次のような方法があります。

  • • 集中呼吸法

  • • ヨガやストレッチ

  • • 自身で行なう健康計画

  • • あらゆる感覚を使ってリラックス

集中呼吸法では、体に現れるストレス症状の軽減に役立ちます。
例えばゆっくり腹式呼吸をしてみてください。腹式呼吸とは、3秒かけて口から息を吐き、同じように3秒かけて鼻から息を吸う呼吸法で、息を吐くとお腹がへこみ、吸うとお腹が膨むことがポイントです。

呼吸が速くなったり心臓がドキドキしたりする場合は、この腹式呼吸で深い呼吸を意識すると、リラックスできるでしょう。

また、自身の管理によって、健康的な体を取り戻す方法を模索するのもおすすめです。
例えば、健康的な食事・十分な睡眠・適度な運動などを心がけることで、ストレスへの対応が容易になってきます。

感覚を使ってリラックスする方法では、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のいずれか一つに感覚を集中させることで精神を安定させます。
視覚であれば、樹木を眺めたりぼんやり窓の外を眺めたりして、嗅覚であれば、アロマの香りを嗅ぐことなどがおすすめです。

3-2.思考を変えて精神安定を目指す方法

思考を変えるおもな方法には、次のようなものがあります。

  • • 他のことに注意を向ける

  • • ポジティブなイメージを思い浮かべる

  • • 肯定的な言葉を自分にかける

「しなければならない」といった固定的な考えに縛られると、思うように物事が進まなかった場合に強いストレスを感じます。楽しいことやうまくいっていることに注意を向けることが効果的です。

例えば、次のようなことに意識を向けてみましょう。

  • • 家の掃除

  • • 友人との会話

  • • 休暇の計画を立てる

  • • 楽しいことを思い出す

また、前向きなイメージを思い浮かべることも有効です。
気分を良くするような環境や出来事を、場所やにおいなど鮮明にイメージしてみましょう。

さらに、自分に対して前向きな言葉をかけることも大切です。
自分を否定してしまいがちな場合、肯定的な意見を考えて対抗しましょう。「うまくできていない」という考えには、「自分にできることは確実にやっている」と自分に言い聞かせます。

3-3.行動で精神安定を目指す方法

行動を変えて、精神安定を目指す方法もよいでしょう。
例えば次のような方法が可能です。

  • • 休息をとる

  • • ストレスの原因からしばらく離れる

  • • 別の行動に置き換える

  • • ほかの人に助けを求める

  • • 楽しく過ごせる活動を増やす

強いストレスを感じている場合、一定期間離れることも精神安定に役立ちます。
例えば、けんかした相手と距離を置くために散歩に出かけ、気分を落ち着かせてから再度向き合えば、建設的な話し合いができるでしょう。

さらにストレスによって過食などの行動をしている場合、別の行動に置き換えてみましょう。
ジョギングや家の掃除など、楽しいことや中立的なことを見つけて、行動を変えます。

有意義に過ごせる活動を日常的に増やすことも大切です。楽しめる活動を増やすことで、ポジティブな感情が増え、ネガティブな気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。

家族や友人など、ほかの人に悩みやつらいことを相談することも重要です。話すだけで精神的に落ち着いたり、悩みの解決策が見つかったりすることもあります。

出典:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター「感情調整の方法

感情を調整して精神安定を目指そう

ストレスが溜まって精神が安定しない場合は、リラックスするために普段の行動や考え方を変えることが大切です。家の掃除や楽しいことの回想、休息をとるなど、できることから行なってみてください。リフレッシュやポジティブな考え方などによって、ネガティブな気持ちを落ち着かせると、ストレスを軽減しやすくなります。

精神的に不安定だと感じたら、体・思考・行動を変えて感情をうまくコントロールしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医