1.血行不良が起きる原因
血行不良が起こる要因には、長時間同じ体勢でいることや、糖質の多い食事、水分不足、タバコからのニコチン摂取、衣服による締め付けなどがあります。
1-1.長時間同じ体勢でいる
食事や水分を十分に摂らず長時間同じ体勢でいると、血行不良につながります。血管のなかでは血行不良によって、血液の塊である血栓が発生します。血栓が飛ぶと肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)などを起こすおそれもあるため注意が必要です。
1-2.食事の問題
糖質や脂質の多い食事や水分不足も血行不良に関与しているとされています。
また、水分不足は血液が濃くなる原因になり、血管が詰まりやすくなることにつながります。
1-3.喫煙
タバコに含まれるニコチンには、血管収縮作用があるため血行不良の代表的な原因です。
血管収縮によって招かれた血行不良から、血圧の上昇などに繋がります。
1-4.締め付けの強い衣服や靴
衣服や靴も、体を強く締め付けるものは血行不良の原因になるため注意が必要です。
2.血行不良を改善する方法
ここからは血行不良の改善のためにできることを紹介します。
2-1.水分をこまめに摂る
人間の体は体重の60%以上が水分でできています。栄養を運んだり体温調整をしたりと、さまざまな生命機能がこの水分によって維持されているため、水は人間が生きていくために欠かせないものです。一日に必要な水分は約1.5リットルとされていますが、一度に多量を飲むのではなく、朝起きたときや運動をしたあとなど、こまめに分けて飲むのがよいでしょう。
2-2.食事の内容に気を付ける
血液の状態は普段から口にしている食べ物で決まります。糖質の摂りすぎや偏食に注意し、野菜やタンパク質など栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
また、DHAやEPAには血液をサラサラにする効果があるとされています。これらは青魚に特に多く含まれる栄養素のため、青魚を積極的に食事に摂り入れるのもおすすめです。
2-3.湯船につかる
お風呂に入ると温熱作用により血管が拡張し、血流が良くなります。入浴の際は、特に半身浴がおすすめです。
足からみぞおち付近までの半身浴は、お湯につかっている範囲に水圧がかかるため、足の静脈から心臓への血流が増えます。そのため、心臓から送り出される血液量も増え、結果的に全身の血行改善が期待できるでしょう。
ただし、42度以上のお湯は交感神経を刺激し血圧が上昇してしまう可能性があります。そのため、お湯の温度は38~39度ぐらいに抑えましょう。
2-4.運動習慣を身に付ける
血行を良くするためには運動も効果的であると考えられています。しかし、運動習慣のない方の場合、いきなり体を動かすとかえって負担になりかねません。そのため、まずは立つ機会を増やしたり、簡単なストレッチを行なったりするとよいでしょう。
また、体の筋肉の7割が下半身にあるため、ストレッチやトレーニングをするときは下半身を意識することがポイントです。
2-5.禁煙する
タバコのニコチンは血管を収縮させるため血行に悪影響となります。そこから血管が硬くなることや高血圧などへのきっかけを作ってしまうことになりかねないので、禁煙することが望ましいでしょう。
また、喫煙は血管への悪影響以外にも、糖尿病や呼吸器系の疾患のリスクを高めることにもなるので、その点から見ても禁煙に取り組むことが大切です。
血行は少しの工夫で改善できる
血行不良は、同じ姿勢で長時間過ごすことや糖質の多い食事、喫煙などから引き起こされるものです。
血行不良を放置していると血栓ができ、エコノミークラス症候群などをはじめ、思わぬ疾患につながる可能性があります。それらを回避するためには、水をこまめに飲むことや運動習慣を身に付けること、また、禁煙への取り組みが大切です。
日常に無理なく取り入れられることから、血行の改善策を始めてみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。