1.50代の体の特徴
一般的に、年齢を重ねると代謝が落ちるといわれていますが、大きな要因として以下の2点が挙げられます。
1-1.基礎代謝量が低い
基礎代謝とは、生きるうえで最低限必要なエネルギーのことです。体を動かさず、安静にしている状態でも常に使用されるため、毎日消費する総エネルギーの7割程度を占めます。
基礎代謝が低下する要因はさまざまですが、加齢もその一つです。年齢を重ねるとともに体重が落ちにくくなったと感じるのは、基礎代謝の低下が大きく関わっています。
下表は、日本人の基礎代謝基準値を年齢・性別ごとにまとめたものです。表を見てわかるように体重あたりの基礎代謝量の代表値でもある基礎代謝基準値は、年齢を重ねるごとに落ちていきます。そのため、代謝が悪くなったと感じるのも仕方がないでしょう。
性別 |
男性 |
女性 |
年齢 |
基礎代謝 基準値 (kcal/kg/日) |
参照 体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
基礎代謝 基準値 (kcal/kg/日) |
参照 体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
18-29歳 |
23.7 |
64.5 |
1530 |
22.1 |
50.3 |
1110 |
30-49歳 |
22.5 |
68.1 |
1530 |
21.9 |
53.0 |
1160 |
50-64歳 |
21.8 |
68.0 |
1480 |
20.7 |
53.8 |
1110 |
65-74歳 |
21.6 |
65.0 |
1400 |
20.7 |
52.1 |
1080 |
75歳以上 |
21.5 |
59.6 |
1280 |
20.7 |
48.8 |
1010 |
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
1-2.内臓脂肪が蓄積しやすい
内臓脂肪を減少させるには運動が効果的ですが、体力につながる筋肉量は50歳頃から急激に減少する傾向があるため、運動量も低下していくと考えられます。さらに、上述のように基礎代謝も低下していくことで摂取エネルギーが過剰になり、内臓脂肪が蓄積しやすくなるのでしょう。
特に男性は、50代に入るとぽっこりお腹を気にされる方が多いようです。同じ年代の女性も、ホルモンバランスが変化することにより内臓脂肪が蓄積しやすくなるので、注意が必要です。
2.50代が取り組むべきダイエット
冒頭で述べたとおり、一般的には年齢を重ねるとともに基礎代謝は落ちます。しかし、正しい食生活や運動を心がけることで、基礎代謝の低下を緩やかにしたり、元に戻したりすることも可能です。
それでは、具体的にどのようなダイエットを取り入れると良いのでしょうか。50代の方に実践してほしい、効率の良いダイエット方法を紹介します。
2-1.筋肉・筋力を維持する運動
基礎代謝の向上に効果的とされているのは、筋肉を増やすことです。例えば、スクワットなどの「スロートレーニング」は、体のなかでも多くの筋肉がある太ももやお尻などの下肢全体をまんべんなく鍛えることができます。1往復10秒前後のゆっくりしたペースの運動を、軽い疲労感が残る程度の回数で行なうのが理想です。
2-2.筋肉・筋力の維持をサポートする食事
効率の良い筋力強化のためには、食事内容も重要です。
筋肉量の低下防止のためには、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を基本とし、良質なたんぱく質をしっかり摂取しましょう。特に、体内で合成できない分岐鎖アミノ酸が多く含まれる、以下のような食品がおすすめです。
例)鶏もも肉・サケ・サバ・卵・納豆 など
2-3.内臓脂肪を減らす運動
内臓脂肪を減らすには、ウォーキングやジョギング、水泳をはじめとする有酸素運動がおすすめです。できれば、息がやや弾む程度の運動を30~60分、2日に一度の頻度で行なうとよいでしょう。
さらに、筋トレも併せて行なえば、より高い運動効果が期待できます。筋トレを併せて行なう場合は、プラス30~60分を目安としてください。
2-4.内臓脂肪を増やさない食事
50代の方がダイエットを成功させるには、内臓脂肪を増やさない食事内容にすることが重要です。
内臓脂肪を増やさないためには、以下のポイントを意識してください。
-
・栄養素をバランス良く摂取する
-
・適量を心がけて食べすぎないようにする
-
・なるべく毎日同じ時間帯に食事する
-
・欠食しない
-
・脂っこい食事を控える
-
・飲酒は節度ある適度な量にする
このように、気を付けるポイントはたくさんありますが、できることから1つずつでも意識してみましょう。
50代のダイエットでは無理なく継続できる取り組みが重要
50代になると、基礎代謝や筋肉量の低下から、体型が気になり始める方もいるかもしれません。加齢とともに基礎代謝や筋肉量が減少してしまうのは避けられませんが、日常的な運動や食事習慣などで、減少を緩やかにすることは可能です。
今回、ダイエットのポイントをいくつか紹介したので、運動または食事面のどちらかでも、「これならできそう」と思える取り組みから始めてみてください。
ダイエットは無理な計画を立てると長続きしません。この先もいきいきと健康で過ごすためにも、ストレスにならない程度の取り組みをコツコツと継続していきましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医