栄養バランスの良い食事を目指すには?
必要エネルギー量や食事バランスの考え方

家事や育児、仕事、勉強、趣味など、忙しくも充実した毎日を乗り切るためには健康な体の維持が欠かせません。特に、栄養バランスの良い食事は、体の健康維持にとって重要なポイントです。

今回は、栄養バランスの良い食事を目指すために必要な知識や、「食事バランスガイド」を活用した栄養バランスの考え方について解説します。

1.栄養バランスの良い食事とは?

日々の「食事」は、ただお腹を満たすだけでなく、健康を増進し生活習慣病の発症や重症化の予防にもつながります。そのため、栄養のバランスを考えることが大切です。

栄養バランスを考えるうえで重要なのが、体内でエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物です。これらの栄養は「エネルギー産生栄養素」とも呼ばれています。栄養バランスの良い食事を目指すには、エネルギー産生栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物をバランス良く摂取することが重要になります。

例えば、健康に良いイメージがあるからと、野菜だけを食べていてはたんぱく質や脂質が足りません。さまざまな栄養素をバランス良く摂取するためには、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を一日2回以上取るとよいでしょう。

2.一日に必要なエネルギーの量

一日に必要なエネルギー量は個人差が大きいため、なんとなく周りと同じ量を食べている場合、自分にとっての適正量を超えていることがあるかもしれません。

一日に摂取するカロリーの目安は年齢、性別、身体活動レベルなどによって決まります。身体活動レベルとは、一日の間にどの程度体を動かしているかを表すものです。日常生活や運動などの活動量によって3段階に分けられますが、通常の生活では「低い」あるいは「ふつう」に該当する方がほとんどでしょう。

身体活動レベル 日常生活や運動などの活動量
高い 移動が多い仕事や立ち仕事、あるいは活発な運動習慣を持つ
ふつう おもに座り仕事だが、散歩や軽い運動などをする
低い 一日の大部分を座って過ごしている

自分の身体活動レベルがわかれば、一日に必要なカロリーを推測できます。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による、一日の推定エネルギー必要量は下表のとおりです。

性別 男性 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い 低い ふつう 高い
18-29歳 2300 2650 3050 1700 2000 2300
30-49歳 2300 2700 3050 1750 2050 2350
50-64歳 2200 2600 2950 1650 1950 2250
65-74歳 2050 2400 2750 1550 1850 2100

引用:「日本人の食事摂取基準(2020年版)

まずは表を参考に、いつもの食生活で摂取しているカロリー量が適切かどうか振り返ってみましょう。

3.食事バランスガイドを活用してみよう

一日に必要なカロリーがわかっても、毎日の食事で何をどれだけ食べたら良いのか、具体的に考えるのは難しいかもしれません。その場合は、食事バランスガイドを活用してみましょう。

3-1.食事バランスガイドとは

食事バランスガイドは健康的な食生活の実現を目的として、厚生労働省と農林水産省により策定されました。毎日の食事で「何を」「どれだけ」食べたら良いかの目安として、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物といった食事の内容をコマの絵で表したものです。

一日の食事として理想的な組み合わせと量が一目でわかり、誰でも簡単に自分に合った食事内容を知ることができます。また、コマの軸として「水・お茶」が、コマを回すヒモとして「菓子・嗜好飲料」が描かれていることで、それぞれの役割が感覚的にわかるようにもなっています。

3-2.まずは今の栄養バランスの把握から

さっそく、食事バランスガイドを活用して、自分が今取っている食事の栄養バランスを把握してみましょう。

まずは、一日の朝・昼・夜の食事内容を書き出します。そして、自分の年齢、性別、日常の活動量に合わせて主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物の5つのグループごとに、過不足をチェックしてみましょう。

足りなかったり、多すぎたりするグループがある場合は、食事内容の見直しが必要です。

3-3.栄養バランスの良い食事の例

食事バランスガイドに沿った、一日2200kcalの食事例を紹介します。

【朝食】

  • • ごはん(大盛り)

  • • 切り干し大根の煮物

  • • アスパラガス入り炒り卵

  • • 野菜スープ

  • • 牛乳

  • • いちご


【昼食】(弁当)

  • • 菜めし

  • • 鶏肉の照り煮

  • • じゃがいもと人参のサラダ

  • • 小松菜の胡麻和え

  • • ミニトマト

  • • 巨峰


【夕食】

  • • きのこごはん

  • • 里いもと白菜のみそ汁

  • • 水菜とベーコンのサラダ

  • • さけのちゃんちゃん焼き

  • • ヨーグルト

出典:「食事バランスガイド」食事例

健康のためには、主食、主菜、副菜2品に汁物を加えた「一汁三菜」が理想とされています。しかし、毎食を一汁三菜にするのは、作ることはもちろん、準備や片付けも大変です。

その場合は、主食、主菜、副菜を組み合わせた料理を上手に活用しましょう。例えば、以下のような料理が挙げられます。

  • • チキンスープカレー+ライス

  • • ミートソーススパゲティ+サラダ

  • • ロコモコ丼

なかには、朝食を食べない方もいるかもしれません。しかし、一日2食で必要な栄養素を摂ろうとすると、1食あたりの量が多くなってしまうので、無理なく必要な栄養素を摂取するため、3食しっかり食べましょう。

栄養バランスの良い食事で健康な毎日を

栄養バランスの良い食事は、健康の基本です。まずは、食事バランスガイドを参考にして、日頃の食生活を見直してみましょう。一汁三菜の和食形式が健康的とされていますが、難しければ主食、主菜、副菜を組み合わせた料理を取り入れるのもおすすめです。

これから先を元気に過ごすため、栄養バランスの良い食事について、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。