【40代】疲れやすい理由とは?
疲労の種類と疲れにくい体を作る方法を紹介

忙しい毎日を送っていると、疲れによって体にだるさを感じたり、集中できなくなったりしてしまうこともあるでしょう。かつては乳酸がたまることが疲れの原因と考えられていました。しかし、実はエネルギー源であることや、疲れには活性酸素が深く関わっていることが近年わかってきています。

今回の記事では、40代に起こりやすい疲労の種類や疲れにくい体を作るためのポイントを解説します。

1.40代の疲労の種類とその特徴

疲れは限界になる前に体が発する「休みなさい」という警告で、生きていくために重要な機能の一つです。日常的に感じる疲れにはさまざまな種類があり、大まかには肉体疲労、精神疲労、脳疲労の3つに分けられます。

1-1.肉体疲労

肉体疲労とは、筋肉を動かすエネルギー不足で起こる疲れを指します。そして、肉体疲労に深い関わりがあるとされるのが活性酸素です。

筋肉を動かすためのエネルギーは細胞内で栄養や酸素を燃やして作られますが、このときに活性酸素も発生します。通常であれば、体の抗酸化作用により余分な活性酸素を取り除くことが可能です。

しかし、筋肉をたくさん動かすと、細胞はより多くのエネルギーを生み出そうとします。その結果、発生した活性酸素と体が持つ抗酸化力のバランスが崩れ、細胞の酸化につながります。酸化した細胞はエネルギーを作る機能が低下してしまうため、エネルギー不足よる疲れを感じるようになります。

1-2.精神疲労

精神疲労とは緊張状態が長時間続くことで感じる疲労で、会社や学校、家庭での悩みといったストレスが原因の一つとされています。

2019年に厚生労働省が行なった調査では、「日常生活での悩みやストレスがある」が47.9%、「ない」が50.6%でした。性別で見ると、悩みやストレスがある男性は43.0%、女性は52.4%で、女性のほうがストレスを感じる方が多いことがわかります。また、多くストレスを感じる世代は、男女ともに30~50代でした。

精神疲労は、肉体的な疲労と同じくさまざまな症状があり、体の症状として現れることもあります。体のだるさを感じるからといって肉体的な理由だけを探していると、精神疲労に気付かない可能性があるため注意しましょう。

1-3.脳疲労

脳疲労とは、神経や脳の使い過ぎで起こる疲労です。テレビやパソコン、スマートフォンなどから入ってくる情報量が多過ぎると、脳に負担がかかって疲れを感じます。

そのため、脳疲労には睡眠をしっかり取って脳の疲れを癒すことが効果的です。慢性的な寝不足があると脳疲労をなかなか回復できず、会社での居眠りや作業中のミスにもつながるでしょう。

2.40代を過ぎると疲れやすくなる理由

一般的に、若者は疲れにくく回復も早い傾向にあり、年齢を重ねるにつれ疲れやすく、回復が遅くなると考えられています。これは、加齢によって各器官の機能低下が進むことが原因の一つです。

また、40代は会社や家庭における社会的な責任が増加し、悩みやストレスを抱え込みやすくなるでしょう。加えて、睡眠不足も疲労の原因です。厚生労働省が2019年に行なった調査では、睡眠時間が6時間未満の40代男性は48.9%、40代女性は46.4%で、男女ともに4割を超えていました。

その他、40代以降から始まる更年期も、疲労を感じやすくなる理由として挙げられるでしょう。更年期は性ホルモンの分泌量が減少するため、だるさなどの体調不良が起こりやすくなります。

3.40代から始める!疲れにくい体を作るポイント

40代は若い頃に比べて疲れやすく、回復しにくいと感じる方が増えるでしょう。ここでは、毎日をアクティブに過ごすために、疲れにくい体を作るポイントを3つ紹介します。

3-1.睡眠をしっかり取る

睡眠は、体と脳を休めるために欠かせません。ただし、睡眠時間をしっかり確保することも重要ですが、質の良い睡眠を取る必要もあります。睡眠の質を高めるポイントは、以下のとおりです。

  • ・生活のリズムを整える

  • ・心地良い疲れを感じるくらいの運動を行なう

  • ・眠るときは自分に合った暗さに調節する

  • ・寝心地が良い寝具をそろえる

  • ・朝起きたら自然の光を浴びて、体内時計を調節する

睡眠環境を整え心身をリラックスさせることで、心地良い眠りにつなげましょう。

3-2.毎日の入浴

湯船に浸かると、水圧や温度の関係で血流が良くなることで疲労の回復が促されます。さらに、質の良い睡眠にもつながるため、できれば毎日入浴するのがおすすめです。

体と心をリラックスさせるには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったり、足浴をしたりするとよいでしょう。なお、足浴は普段の入浴より少し高めの温度がちょうど良いといわれています。

3-3.バランスの良い食事

疲労回復のためには、エネルギー源となる炭水化物のほか、ビタミンB1、ビタミンC、ミネラルなどをバランス良く摂取することが大切です。主食・主菜・副菜をそろえた栄養バランスの良い食事を、よく噛んで食べましょう。

また、抗酸化成分を含む食品を積極的に取り入れ、体の抗酸化力を高めておくのも効果的です。

それぞれの栄養素を含む食品は、下表を参考にしてください。

栄養素 多く含む食品
ビタミンB1 豚肉、うなぎ、大豆
ビタミンC パプリカ、いちご、キウイフルーツ
ミネラル類 魚、海藻、ナッツ類
抗酸化成分(ビタミンA,E,セサミンなど) ごま、緑黄色野菜

疲れに負けずに40代を元気に過ごす

会社や家庭で忙しく過ごすことが多い40代は、肉体的・精神的に疲れを感じやすい年代です。疲れを溜め込まず活動的に過ごすには、質の良い睡眠や心身をリラックスできる入浴習慣、栄養バランスの整った食事が大切です。

体をいたわる生活習慣を心がけ、疲れにくい元気な体を作りましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。