目次
1.加齢による膝の痛みについて
加齢による膝の痛みは40~50代頃に自覚する方が多く、例えば、階段の上り下りや歩き始めなどで痛みを感じることがあります。これは、加齢によって膝関節の軟骨がすり減ることがおもな原因とされています。
年齢を重ねるごとに、立ち上がるときや階段の上り下りをするときなどに痛みを感じるようになったという方も少なくないでしょう。膝の痛みは、おもに加齢によって関節軟骨がすり減ることが原因とされ、放っておくと歩行が困難になることもあります。
歩行困難にならないためにも、加齢にともなう膝の痛みには予防が大切になります。本記事では、加齢によって膝が痛む原因や関節軟骨のすり減りに対する予防法などについて解説します。
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加齢による膝の痛みは40~50代頃に自覚する方が多く、例えば、階段の上り下りや歩き始めなどで痛みを感じることがあります。これは、加齢によって膝関節の軟骨がすり減ることがおもな原因とされています。
40~50代で感じる膝の痛みは、おもに変形性膝関節症が原因です。ここでは、変形性膝関節症の症状や原因などを解説します。
変形性膝関節症では、膝に違和感や痛みが現れることがほとんどです。女性のほうが男性よりも発症するケースが多いとされ、高齢者になるほど発症率が高くなります。
変形性膝関節症のおもな症状は以下のとおりです。
• 膝関節のこわばり
• 階段の上り下りで膝が痛む
• 立ち上がる、一歩踏み出すなど、動作の最初に膝が痛む
• 膝関節が腫れて痛む
• 膝に水が溜まる
初期であれば、痛みが出ても休めば改善されることが多いでしょう。しかし、症状が進行して中程度以上になると正座や階段の上り下りが難しくなり、さらに症状が進むと安静にしていても痛みが続くことがあります。
また、末期では膝関節の変形が強く現れるケースも多いため、膝を真っ直ぐ伸ばせなくなり歩行自体が困難になる可能性も考えられます。
変形性膝関節症の発症には、以下のような原因が挙げられます。
• 関節軟骨の老化
• 肥満
• 遺伝
• 半月板や靭帯の損傷、骨折などの外傷
• 化膿性関節炎といった感染症の後遺症
特に、関節軟骨の老化が原因となることが多いでしょう。関節軟骨は、骨と骨の摩擦を和らげるクッションのような役割を持つのが特徴です。この関節軟骨が老化にともない変性することで弾力性を失ったり、使い過ぎて徐々にすり減ったりすることで関節の変形につながります。
関節軟骨のすり減り方は、外側がすり減るタイプと内側がすり減るタイプの2種類です。関節軟骨の外側がすり減るおもな原因は、けがや病気が考えられます。一方、内側がすり減っている場合は、加齢・肥満・O脚などが原因とされています。
なお、膝関節にかかる体重の負担は、内側が7割、外側が3割です。そのため、膝関節の内側がすり減る方のほうが多いといわれています。
変形性膝関節症は激しい痛みをともなうケースもあれば、病気が進行しているのに痛みをあまり感じないケースもあります。そのため、痛みが弱いからといって放置すると、膝関節の変形がどんどん進んでしまうことも考えられるため注意が必要です。
関節軟骨は、一度すり減るともとの状態には戻りません。少しでも膝に違和感を覚えたら医師に相談し、必要であれば治療を開始しましょう。
すり減った関節軟骨は基本的に回復しないため、いかに関節軟骨をすり減らさないようにするかが重要です。ここでは、加齢による膝の痛みを予防するポイントを解説します。
変形性膝関節症を予防するポイントは、膝関節に負担をかけないことです。手軽にできる予防法として、膝の曲げ伸ばしがおすすめです。
関節は動かさないと硬くなり、うまく機能しなくなるため、意識的に膝関節の屈伸運動を行なって柔軟さを保ちましょう。ストレッチするようにゆっくり曲げ伸ばしをして、膝関節に負担をかけないことがポイントです。
特に長時間座っている方は膝関節を動かす機会が少なくなるため、屈伸運動を積極的に行ないましょう。
また、太ももの前側にある大腿四頭筋と呼ばれる筋肉を鍛えたり、適正体重まで減量したりすることでも膝関節のすり減りを予防できます。
その他、以下のようなことも効果的です。
• O脚を改善する
• 姿勢を正して歩く
• 自分に合った靴を選ぶ
• 膝を温めて血流を良くする
• なるべく洋式トイレを使用する
膝関節は、歩く・立つ・しゃがむなど、避けることのできない日常動作でも酷使されています。そのため、その他のことで膝関節に負担をかけると、関節軟骨がさらにすり減ってしまう原因になりかねません。例えば、以下のような行動は控えたほうがよいでしょう。
• 正座
• 無理なウォーキングやランニング
• ハードなトレーニング
加齢とともに現れる膝の痛みは、多くの場合、膝関節の軟骨がすり減ることで起こります。膝の痛みを予防するためには、日常的な屈伸運動が有効です。膝関節に負担をかけないように注意しながら、優しくストレッチをしましょう。
変形性膝関節症の進行度合いと痛みは比例しないケースがあるため、たとえ痛みが弱くても早めに整形外科を受診することが大切です。日常生活で行なえる対策と医療機関の治療をうまく組み合わせ、膝をいたわりながら活動的な日々を送りましょう。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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