1.体の不調のおもな原因
一口に「体の不調」といっても、その原因や症状はさまざまです。ストレスによる不調は頭痛や腰痛、疲労感といった症状が見られ、放置すると自律神経失調症など心身の病気につながりかねません。
また、低血圧が体の不調を引き起こすこともあります。低血圧は心臓から血液を押し出す圧力が弱い状態を指し、最高血圧が100mmHg未満であれば低血圧症と判断されることが多いでしょう。
おもに立ちくらみやめまい、全身のだるさ、朝起きられないなどの症状が見られますが、なかにはまったく症状が出ない方もいます。
不調の原因が貧血の場合は、頭痛や息切れがしたり、疲れやすくなったりといった症状が見られるのが特徴です。
2.体の不調の原因の一つ、自律神経失調症とは?
体の不調を感じる原因の一つに自律神経失調症があります。自律神経失調症とは、ストレスやホルモンの乱れなどで自律神経のバランスが崩れた結果現れる、さまざまな不調の総称です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、体温を調節したり、代謝をコントロールしたりする役割を担っています。それぞれ反対の働きをしている交感神経と副交感神経は、常にバランス良く働いている状態が理想です。
しかし、何らかの原因で両者のバランスが崩れると、自律神経失調症になることがあります。
2-1.自律神経失調症のおもな症状
自律神経失調症の症状は、全身的・器官的・精神的の3つに分けられます。それぞれのおもな症状は以下のとおりです。
【全身的症状】
【器官的症状】
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• 動悸
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• 息切れ
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• 頭痛
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• めまい
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• 立ちくらみ
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• のぼせ
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• 下痢や便秘
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• 冷え
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• しびれ
【精神的症状】
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• イライラ
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• 気分の落ち込み
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• 不安感
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• 情緒不安定
2-2.自律神経失調症のおもな原因
自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが原因とされています。自律神経のバランスが崩れる要因としては、以下が考えられるでしょう
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• 不規則な生活
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• ストレス
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• 更年期におけるホルモンの乱れ
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• 先天性要因
ストレスが交感神経と副交感神経のバランスを崩す要因となるのは、ストレスを感じた際に身を守ろうと防衛反応が起こり、交感神経の活動が活発になるためです。
交感神経が優位になると、末梢血管の収縮によって冷えを感じたり、より多くの血液を送り出そうと心拍が増加し、動悸がしたりすることがあります。
3.【体の不調】自律神経失調症の改善方法
自律神経失調症は、ホルモン剤を使って症状を和らげることもできますが、第一に考えるのは、ストレスのコントロールと生活習慣の改善です。
生活するうえで、ストレスが完全になくなることはありません。そのため、ストレスと上手に付き合えるよう、ストレスを感じていることに気付いてセルフケアをすることが大切です。
ストレスの対処には「3つのR」を実践するようにしましょう。3つのRとは、レスト(Rest)・リラックス(Relax)・レクリエーション(Recreation)の頭文字を取ったものです。具体的には、しっかり休息を取る、音楽を聴いたり、ストレッチをしたりして落ち着く時間を確保する、スポーツや外出をしてリフレッシュするなどが挙げられます。
また、自分が物事をどのように受け止めているかを理解して、ネガティブな考え方をしないように心がけることも有効です。
普段の生活では、食事内容にも気を配りましょう。油が多い食事はできるだけ避ける、野菜を多く取る、肉より魚を積極的に取り入れるなどがポイントです。さらに、適度な運動習慣を付け、夜ふかしせず、しっかりと睡眠をとることも生活習慣の改善につながります。
ただし、体の不調がなかなか改善されないときには、我慢せず医療機関へ相談してください。
自律神経失調症は生活習慣の改善とストレスコントロールがポイント
自律神経失調症では、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることでさまざまな症状が現れます。自律神経失調症の原因の一つとしてストレスが挙げられますが、現代社会においてストレスをなくすことは難しいでしょう。
そのため、自律神経失調症の予防と改善には、ストレスのコントロールが大切です。また、生活習慣の改善で自律神経のバランスが整うこともあります。
だるさや不眠といった体の不調に悩んでいる方は、この機会に自分のストレス状態を確認したり、生活習慣を見直したりしてみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医