目次
1.40代の特徴と健康問題
40代は、社会的な責任が増す世代です。会社では中堅のポジションとして上司や部下との間で責任ある行動が求められ、家庭では子どもの教育や家族の介護など、さまざまな役割を担う時期です。また、体力の衰えを感じる時期でもあります。
何かと周りから頼りにされることが多く、忙しい日々を送る40代の特徴と健康問題についてご紹介します。
1-1.40代は疲れやすさやストレスなどを感じやすい
厚生労働省の「労働者健康状況調査結果」(2002年)によると、40代は「仕事でのストレスがある」と答えた人が他の世代に比べて2番目に多く、特に男性は仕事による身体的な疲れを訴える人が多いようです。
また、同じく厚生労働省による「社会生活基本調査」(2006年)では、40代は男女ともに仕事や家事の労働時間は他の世代に比べて長いのに対して、睡眠時間は短い傾向にあります。
さらに、40代からは自律神経が乱れやすいことで知られており、特に副交感神経の働きが低下しやすい傾向にあります。副交感神経は心身を休める働きがあり夜によく働くので、副交感神経の機能が低下すると、質の良い睡眠をとることや体を上手に休めることができなくなります。
つまり、40代は忙しく睡眠時間が短いうえに体を休める機能が低下しているため、疲れやすくなっているといえるでしょう。
1-2.40歳を過ぎると男女ともにホルモンバランスが乱れやすい
40歳以降では、更年期障害による体調不良や精神的な不調を訴える人が多くなります。これは、男女ともに性ホルモンの分泌量が低下することにより起こり、自律神経失調症と似た症状が現れるためです。
女性の場合は、閉経前後のおよそ10年間に卵巣ホルモンであるエストロゲンが急激に低下することが原因となります。
男性の場合は、30歳以降に睾丸ホルモンであるテストステロンが低下し始め、40代後半で症状が現れることがありますが、更年期障害としては認識されない人が多いようです。これは女性に比べるとホルモンの分泌量の変化がゆっくりであるため、加齢による老化現象として見過ごされることが多いからだと考えられます。
閉経前の女性の場合は、身体的な症状として顔の火照りやのぼせ・動悸・息切れ・脈が速くなる・異常に汗をかく・血圧が上下する・頭痛・めまい・耳鳴りなどが発症するケースが多いです。精神的な症状としては、イライラや不安感、不眠・うつ・興奮亢進などがあります。
閉経後には、上記の症状に加え、目やのどなど粘膜の異常・尿失禁や膀胱炎・膝や腰の関節痛といった身体的な症状と無気力感などの精神的な症状として現れることが多い傾向にあります。
男性の症状としてはEDと呼ばれる機能不全が、女性は生理不順が現れることもあります。
1-3.仕事や子育てに忙しい
40代は家庭を持ち、子育てに忙しいという方も多いのではないでしょうか。
現代の女性の場合、結婚や出産が遅く、40代で子どもを授かるケースが増えています。
産後の女性は、生涯で一番急激なホルモンバランスの変化が起こるだけでなく、育児中心の生活となり、大きなストレスをともなうものです。夜間も授乳のため、こまめに起きなくてはならず睡眠不足になります。
また、最近では夫婦共働きの世帯が増えており、子育て世代の女性が育児と仕事を両立していくのは非常に困難なことです。
日本ではまだまだ、子育て中の女性が働きやすい環境が整っている企業は少数だといえます。また支援制度が整っていたとしても、就労継続がしづらい職場の雰囲気などにより、心が折れてしまう女性も多いようです。
仕事以外にも、結婚生活などのストレスを抱える人も多くいます。
2.40代の不調を改善するには?
疲れやすさを感じたとき、生活習慣の改善が必要だと感じる方も多いでしょう。ぜひ自分自身の健康に関心を持ち、生活習慣を振り返ることをおすすめします。
規則正しい生活習慣を送ることで自律神経のバランスが整い、老化や病気の原因となる活性酸素から身を守る力を高めることにつながるのです。
そのために、まずはバランスの良い食事を心がけましょう。一日をイキイキと過ごすためのエネルギーをしっかり補給し、玄米やゴマ・緑黄色野菜などの抗酸化成分を多く含む食材を積極的に摂るようにしましょう。
また、適切な睡眠時間と質の良い睡眠を確保することも忘れてはいけません。睡眠は体や脳に休息をもたらす効果があるため、寝室の明るさや枕の高さを自分に合わせるなどして、心地良い睡眠をとれるように工夫するとよいでしょう。
そして、ウォーキングなど無理のない運動をすることも大切です。適度な運動は神経の緊張をほどよく緩めて、副交感神経の働きを活発化するため、リラックスしやすい体をつくることができます。
40代に起こる体の変化を知って早めの対策を
40代は、職場では責任のある立場につき始め、家庭では家事や子育てに忙しくなり、何かとストレスと抱えがちな世代です。
そのようなストレスからくる自律神経の乱れや更年期障害など、40代には体に不調を起こす因子を多く抱えています。さらには、うまく体や心をコントロールできない自分への不満によりストレスが増し、精神的症状を悪化させてしまうこともあるでしょう。
まずは、40代に起こる生理的な体の変化や精神への影響を理解して、早めに対策をすることが重要です。
ご自身の生活習慣を見つめ直して、イキイキとした毎日を目指しましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医
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