ラクトフェリンとは?ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果も解説

ラクトフェリンは、健康に気を使う方であれば耳にしたことがあるかもしれません。しかし、効果や摂取する方法などを詳しく知らないケースも多いでしょう。

今回は、ラクトフェリンの成分・効果を解説します。併せて、効率良く体内に取り入れる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1.ラクトフェリンとは

ラクトフェリンとは、鉄に結合する性質をもつ糖タンパク質の一種で、ほ乳類の乳汁や涙、唾液、膵液などに含まれる成分です。

ラクトフェリンが含まれるのは、おもにほ乳類の乳汁ですが、牛乳と人の母乳で含有量を比較すると、後者のほうに多いといわれています。母乳は、赤ちゃんにとって「完全栄養食」といっても過言ではありません。その母乳のなかでも、ラクトフェリンは特に初乳に多く含まれるとされています。

初乳とは、出産後の数日間に分泌される母乳です。ちなみに初乳に多く含まれる免疫グロブリンIgAという成分は、新生児の未発達な腸管に付着して感染を防ぐ役割を担っています。

2.ラクトフェリンの効果

鉄に結合する性質をもつラクトフェリンは、周囲にある液体から鉄イオンを奪うことによって、抗菌作用を発揮します。ラクトフェリンは消化されるとラクトフェリシンという、ラクトフェリンよりもさらに強力な抗菌作用をもつ成分になることも特徴の一つです。ラクトフェリンの抗菌作用は、胃炎などの原因であるピロリ菌に対して有効性があると報告されています。具体的には、ピロリ菌に対する標準的な治療法を7日間行なった際、一日400mgのラクトフェリン摂取を追加すると除菌率が上昇したとのことです。

また、女性の長距離走者を対象とした実験では、トレーニング期間中にラクトフェリンと鉄を8週間摂取したグループは、鉄だけを摂取したグループと比べて赤血球数の減少が抑えられたとする報告があります。赤血球数の減少は貧血につながるため、ラクトフェリンには貧血の予防効果があると考えられるでしょう。

さらにマウスを用いた実験では、ラクトフェリンの摂取によってコレステロール濃度が低下傾向を示すことがわかりました。これにより、メタボリックシンドロームと関係が深いコレステロール代謝の改善効果が期待されています。

その他、ラクトフェリンはC型肝炎ウイルスへの「抗ウイルス作用」や、「免疫調節作用」を持つとの報告もあります。ラクトフェリンは、母乳を飲んで成長する赤ちゃんだけでなく、外部からさまざまな刺激を受ける大人にとっても大切な成分です。

3.ラクトフェリンを体内に取り入れる方法

ラクトフェリンはさまざまな健康効果が示唆されており、日々健康に過ごすために積極的に摂りたい成分の一つです。

しかし、ラクトフェリンは加熱処理された乳製品や牛乳からは摂ることができません。わざわざ、加熱処理をしていない乳製品や牛乳を探すのも大変です。効率良く摂取するには、サプリメントを利用するとよいでしょう。

ラクトフェリンは、米国FDAにより「一般的に安全と見なされた物質」を示すGRAS認定を受けており、通常の食品に含まれる量程度の摂取であればほぼ安全と考えられています。サプリメントを活用する際は、摂り過ぎないよう必ず目安量を守りましょう。

未知なる可能性を秘めるラクトフェリン

人の母乳に多く含まれるラクトフェリンには、殺菌作用や抗ウイルス作用、脂質代謝の改善作用といった、さまざまな健康効果が示唆されています。

母乳は赤ちゃんの元気の源です。生後間もない赤ちゃんは、母乳しか飲んでいないのに、筋肉も内蔵も骨も、ぐんぐん成長していきます。

母乳に多く含まれるラクトフェリンを普段の生活で摂取すれば、大人の健康維持にも役立つでしょう。ストレスが溜まっていたり、不規則な食事や運動不足などで生活習慣が乱れていたりすると、体の正常な働きが弱まっているかもしれません。

ストレスや生活習慣の乱れ、加齢などで健康が気になるときは、早めに対策するのがおすすめです。対策の一つとして、ラクトフェリンのサプリメントを活用してみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。