1.眠れなくなってしまうおもな原因とは?
眠れなくなってしまう原因は、ストレスや体の病気、薬や嗜好品などの影響、生活リズムの乱れ、環境によるものなど多岐に渡ります。
例えば、ナーバスで真面目なタイプの人は、ストレスをより感じやすく眠りやすさに影響が出てしまうようです。関節リウマチ、呼吸器疾患、高血圧、腎臓病、前立腺肥大、アレルギー疾患などの、痛みや苦しさ、頻尿、かゆみなどをともなう病気は睡眠が妨げられやすくなります。
また、服用している治療薬や、コーヒー・紅茶、タバコなどの嗜好品が原因になることも。それだけでなく、不規則な仕事によって決まった時間に寝起きできないなどの体内リズムの乱れ、光や温度、湿度、交通量が多い道路の沿道に位置することによる騒音などの環境が原因となるケースもあります。
2.眠れないときに実践したい対処法
眠れなくなる原因はさまざまであるため、原因に応じた対処法が必要だといわれています。さらに、自分のなかで眠りやすい方法を工夫することも大切です。
まずは、規則正しい生活を送るように心がけましょう。体の中にある体内時計は、睡眠のタイミングを決める他にも、ホルモンの分泌や生理的な活動をコントロールすることで睡眠に備える役割をしています。
この体の働きは自分の意志でコントロールできるものではなく、規則正しい生活を送ることにより機能するものです。平日・週末に関わらず同じ時刻に起床し、就寝するように習慣付けるとよいでしょう。
どうしても日中に眠気が出る場合は、15時前までの昼寝がおすすめです。その際は30分以内に抑えることが効果的だとされています。
また、規則正しい生活を送るためにも、朝起きたら太陽の光を浴びるようにしてください。太陽光には体内時計を調整する働きがあるため、光を浴びてからだいたい14時間後に眠気が生じるようになります。このことによって早い時間に眠りにつきやすくなり、翌日も早く起きる習慣づくりにつながるのです。
休日に遅くまで寝床で過ごしてしまうと、眠りにくくなってしまい、翌朝にも影響が出て生活リズムが崩れる原因となってしまいます。
その他に、適度な運動を生活に取り入れることもおすすめです。午後に軽く汗をかくくらいの有酸素運動が目安とされています。短期の運動だけでは睡眠への効果は弱いため、習慣的に続けることを意識しましょう。
ストレスは睡眠に影響を与えるとされています。音楽や読書、スポーツ、旅行などの自分に合った趣味をみつけて、気分転換をしてストレスをためないようにしてください。
これらを踏まえたうえで、眠る前にリラックスできる時間を設けるようにしましょう。ぬるめの湯船に入ったり、読書や好きな音楽・香りを楽しんだり、ストレッチなどをしてリラックスすることで副交感神経を優位にさせ、心身の緊張をほぐすことができます。
それらに併せて、眠りやすい環境づくりも大切です。快適な睡眠のため寝室の温度は20℃前後、湿度は40~70%ほどに保つようにしましょう。
3.眠れないとき・就寝前にしてはいけないこと
普段の生活習慣のなかには睡眠に悪影響を与えているものがあります。眠れないとき・就寝前にしてはいけないことをしっかり把握しておきましょう。
まずは、むやみに睡眠時間の目標を設定しないようにしてください。適切な睡眠時間には個人差があります。睡眠時間を多く取ろうとして横になる時間が長すぎると熟眠感が減ってしまい、これが夜の眠りにくさにつながるのです。
昼寝の時間が長い方も短時間に抑えるようにしましょう。昼寝のしすぎは体内時計を乱す原因となります。
また、就寝前にスマートフォンなどの光が出るものを操作することは、体内時計が遅くなる原因となるため禁物です。ライトに関しても白っぽい蛍光灯より、暖色系のものを使用するように心がけましょう。就寝前の運動も体を興奮させてしまうため控えるようにしてください。
さらに、就寝前の喫煙もタバコの成分により入眠を妨げるため避けるようにしましょう。
生活習慣や環境を改善してやすらかな眠りを
眠れないときにすると良いことと、不眠の原因や就寝前のNG行動についてお伝えしました。
眠れない原因は体の病気やストレス、薬の副作用などさまざまです。不眠が続くと、緊張や睡眠状態へのこだわりが生まれ、さらに不眠が悪化してしまうことになります。
睡眠は生活習慣と強く関係しているため、眠れないことが多い方は日々の生活を見直すことから始めるようにしましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医