1.不眠は原因を考えることが大切
不眠の原因や症状はさまざまなので、まずはご自身の不眠がどのタイプに該当するかを知ることが大切です。
不眠の原因には、以下のようなものがあります。
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・咳や頻尿など身体的なもの
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・ストレスやうつなど精神的なもの
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・カフェインやニコチンなど刺激物によるもの
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・夜勤などの生活リズムによるもの
また、症状については、寝付くのに時間がかかる入眠障害、眠りが浅くて夜中に起きてしまう中途覚醒、早朝に目覚めてしまう早朝覚醒、ぐっすり寝た実感が得られない熟眠障害の4つが代表的なものとして挙げられます。これらが1カ月以上続き、日中に倦怠感や集中力低下などが起こると不眠症と診断されます。
2.不眠の改善に効果的な方法
ここでは不眠の具体的な対処方法を紹介します。
ご自身に合っていそうな方法から、無理のない範囲で生活に取り入れてみてください。
2-1.規則正しい生活を送り、光を浴びる
睡眠は体内時計の影響を大きく受けます。そのため、寝る時間と起きる時間を休日や平日に関係なく、一定に保つことが大切です。
人間の体内時計は、光を浴びた14時間後から眠くなりやすいよう調整されています。そのため、朝の間に光を浴びるようにして、夜はできるだけ強い光を避けるようにしましょう。
2-2.適度な運動習慣を取り入れる
体をある程度疲れさせると良い眠りにつながります。短い時間で激しい運動や負荷の高い動きをすると目が覚めてしまうため、午後から有酸素運動(ジョギングやヨガ)などのような負荷が小さめの運動を行なうとよいでしょう。
2-3.ストレスをためない方法を見つける
ストレスや緊張が睡眠不足の原因となることがあります。体を動かしてみたり、本を読んでみたり、日頃から自分に合った趣味に触れておきましょう。
2-4.入浴などで就寝前に体温を上げる
深い眠りのためには体温を上げることが良いと考えられています。
0.5度の上昇でも入眠に良いとされていますので、38度くらいのお湯であれば25~30分ほど、ゆっくり浸かるとよいでしょう。
ぬるいお湯に浸かると副交感神経が優位になるため、良い睡眠につながると考えられています。
2-5.睡眠時間はこだわらない
人それぞれで必要な睡眠時間は異なります。6時間は一つの目安ですが、睡眠時間にはこだわりすぎないようにしましょう。
眠れないまま布団で過ごすとぐっすりと寝た感じがしない場合もありますので、どうしても眠れない時は一度起きることも一つの手段です。
2-6.睡眠環境を整える
寝具には保温と、体に負荷がかかりにくい寝相をキープするという2つの役割があります。
温度や湿度については寝室の環境からも整えましょう。
寝具は敷布団と後頭部の間を丁度良く埋められる枕や、柔らかすぎず硬すぎない敷布団を選んで、良い寝相を保つことが大切です。
2-7.就寝前は刺激物を避ける
カフェインには覚醒作用があります。摂取後は5時間ほど時間をおいてから寝るようにして、その間はコーヒーや緑茶などを控えましょう。
タバコも同様に、ニコチンが体への刺激になるため就寝前は控えることが大切です。
2-8.どうしても治らない場合は専門医に相談する
どのような方法でも改善がみられない場合は、医師に相談することも視野に入れましょう。
精神科や心療内科に行くことが難しく感じる場合は、まずかかりつけ医への相談でも問題ありません。
一人で考え込むと不眠の悪化や、精神的な負担が増してしまうことにつながります。
不眠について相談するだけでも心が軽くなることがありますので、医師への相談も一度検討してみてはいかがでしょうか。
不眠の改善は少しの工夫から始められる
不眠の原因や種類、改善のためにできることを紹介しました。
不眠の原因や症状はさまざまなため、まずはどのような状態が不眠につながっているのか原因を理解することから始めましょう。
本記事を参考に該当しそうな原因が見つかったら、原因別の対処法を実践してみてください。
なかなか不眠が改善せず、日常生活に支障をきたすようであれば、一人で悩まずに専門医やかかりつけ医に相談してみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。