1.ニンニクに含まれるおもな栄養成分
ニンニクには健康に役立つさまざまな栄養素や成分が含まれています。
1-1.ニンニクに含まれるおもな成分
(※可食部100gあたり)
栄養素・成分 |
含有量(※) |
栄養素・成分の働き |
炭水化物(糖質・食物繊維) |
27.5g |
糖質と食物繊維からなり、糖質は体のエネルギー源となり、食物繊維は便通を整えて便秘を防ぐ。糖質のなかでも特にオリゴ糖が豊富に含まれている。 |
タンパク質 |
6.4g |
筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体を構成する重要な成分。ホルモン・酵素・抗体などの調整にも関与。 |
脂質 |
0.9g |
体内で効率の良いエネルギー源となる。細胞膜を作る材料となる。 |
リノール酸 |
260mg |
血圧を下げる、LDL(悪玉)コレステロールを減らす。 |
α-リノレン酸 |
30mg |
血圧を下げる、中性脂肪を低下させる、血栓を防ぐことから高血圧などの予防が見込まれる。 |
アルギニン |
1,100mg |
血液の巡りに関わるNO(一酸化窒素)の産生を助ける。 |
グルタミン酸 |
1,000mg |
神経伝達物質を構成し、記憶や学習に重要な役割をする。 |
アスパラギン酸 |
430mg |
アスパラガスから発見された成分で、新陳代謝の活性化や、疲労回復効果がある。 |
ロイシン |
220mg |
体内で作ることができない必須アミノ酸の一つで、筋肉を増強し、筋肉のエネルギー源となる。 |
(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)
1-2.ニンニク独特の香りの正体とは?
ニンニクを切ったり潰したりすると独特の香りが生じます。これはアリシンという成分が発生するためです。
本来は、害虫や草食動物から自らを守るための仕組みですが、人間はこの香り(臭い)で食欲を増幅させます。料理などでニンニクを潰したりきざんだりするのは、食欲をそそる香りを際立たせる知恵といえるかもしれません。
2.ニンニクが便秘解消に役立つとされる理由
ニンニクに便秘解消の効果があることは、意外に思われるかもしれません。ここではニンニクに便秘解消の効果がある理由を解説します。
2-1.便秘をもたらす腸内環境とは?
腸内には、およそ1,000種類、100~1,000兆個の細菌がいるとされ、それらを「腸内フローラ」とも呼びます。
腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、いずれかの優勢なほうに加勢する日和見菌の3つに大きく分類されるものです。
健やかな腸内環境は善玉菌が優勢で、弱酸性に保たれています。腸内を酸性に保つことは、悪玉菌の増殖を抑え、有害物質の生成を防ぐことにつながるのです。
一方、食べるものや生活習慣、ストレスなどが原因で悪玉菌が増殖し、腸内環境が悪化していくと、便秘や下痢などの腹部の不調が現れます。
2-2.ニンニクに含まれるオリゴ糖の働き
ニンニクには糖質の一種「オリゴ糖」が多く含まれています。オリゴ糖は消化・吸収を経ることなく大腸までとどき、腸内にもともと存在する善玉菌の栄養源となりその数を増やす作用があるとされています。また、善玉菌には便通を整える作用もあるため、便秘の解消も期待できるでしょう。
オリゴ糖は、ニンニクのほかにも、ごぼう、大豆、たまねぎ、アスパラガス、バナナなどに多く含まれます。
3.便秘解消のためにニンニクを取り入れるときのポイント
ここでは、ニンニクの便秘解消の効果をさらに高める方法や注意点を解説します。
3-1.プロバイオティクスを一緒に摂る
ビフィズス菌や乳酸菌は「プロバイオティクス」と呼ばれ、善玉菌を増やし、腸内環境を改善する働きがあります。
ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品に多く含まれるため、ニンニクとともに毎日続けて食べるとさらに効果的でしょう。
3-2.ニンニクの食べすぎには注意
ニンニクは、適度な量であれば、まず問題はありませんが、摂りすぎると、体臭や口臭、腹痛、吐き気などが現れ、場合によってはニンニクアレルギーを発症することもあります。
快便は健康の柱 生活習慣も大事
便秘の解消は、質の良い食事や睡眠と並び健康的な生活を支える3つの柱の一つといえるでしょう。
なお、便秘状態から快便へと改善するために役立つ要素となるのが、オリゴ糖です。オリゴ糖は、ニンニクに多く含まれており、腸内で善玉菌の増加や整腸の作用があるとされています。普段から便秘気味の方は、オリゴ糖を豊富に含んだニンニクのほかにも、相乗効果が期待できる納豆や漬物などの発酵食品とともに継続的に食べてみましょう。
なお、便秘解消のためにはニンニクを食べることだけでなく、生活習慣の改善が基本です。規則正しい生活を心がけることで自律神経が整い、快便につながります。
そして、便意を我慢しないこと、適度な運動を行い腸の動きを促すこと、便をやわらかくして排便しやすくするため、水分をしっかり摂ることなども心がけるとよいでしょう。
監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。