高血圧の症状や原因、血圧が高い場合の対処法とは?

血圧は、加齢とともに上昇しやすくなるといわれています。乱れがちな食生活や運動不足で、血圧に不安を抱える人も多いのではないでしょうか。しかし、初期の高血圧は自覚症状がない場合も多く、健康診断などで高血圧を指摘されても放置してきたという人もいるかもしれません。

高血圧は脳や心臓、腎臓などの病気を引き起こすため、放置するのは危険です。なかでも、高血圧が引き起こす頭痛には命に関わるものもあるので、きちんと対処する必要があるでしょう。

今回は高血圧の症状や原因、予防と改善の方法について解説します。

1.高血圧による症状とは?

高血圧とは、血圧が慢性的に高い状態にあることです。具体的には、病院で測る最大血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、または最小血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上にある場合を指します。自宅で測る場合は、基準を病院での測定値より5mmHg低くして考え、収縮期血圧135mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上の場合に高血圧が疑われます。

冒頭で触れたとおり、初期の高血圧には自覚症状がないことが大半です。しかし、高血圧を放置すると血管が詰まりやすくなり、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。

2.高血圧になる原因とは?

高血圧の原因には、塩分の摂りすぎや運動不足、肥満、喫煙、ストレス、野菜・果物不足によるミネラルの欠乏などが挙げられるでしょう。

特に、日本人の食生活は食塩を摂りすぎる傾向があり、塩分の過剰摂取は日本人にとって最大の危険因子といわれています。生活習慣のほかに、遺伝的要因や加齢も高血圧に影響していることがわかっています。

3.高血圧を予防・改善する方法

高血圧の原因となる生活習慣の問題点を取り除くと、高血圧の予防・改善へとつながるでしょう。具体的な方法について解説します。

3-1.食事で予防・改善する方法

日本人の高血圧において、最大の原因は塩分の過剰摂取ともいわれていることから、減塩が高血圧対策で非常に重要だといえるでしょう。

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩の目標量は成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満と設定されています。しかし、実際の平均摂取量は男女とも2g以上オーバーしているのが実状です。


参照:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」

減塩する際には、味付けを薄くして食材の持ち味を活かす、麺類の汁やみそ汁を飲み干さない、外食や加工食品を控える、しょうゆ・ソースはかけずに付けるといった工夫をすると、効果的に行なえるでしょう。

減塩するだけでなく、ミネラル豊富な野菜や果物、血液サラサラにおすすめの青魚などを積極的に摂ると、相乗効果で血圧を下げる効果が期待できます。

また、飲酒は節度ある適度な量に留めましょう。節度ある適度な量としては純アルコールで一日約20g程度が目安といわれています。

3-2.その他の予防・改善方法

運動をすると血管内皮機能が改善され、降圧の効果があるとされています。

高血圧の予防・改善には1回30分以上、ジョギングや水中運動などの有酸素運動を定期的に行なうことが推奨されています。できるだけ毎日運動すると効果的です。その際、虚血性心疾患などの持病がある方は、事前に医師に相談しましょう。

また、禁煙や肥満解消なども高血圧対策として有効とされています。ストレスを溜めこまずに休養を取ったり、十分な睡眠時間を確保したりといった、生活習慣を整えるための基礎を意識するのも欠かせません。

日頃の生活習慣を見直して、高血圧に対処しよう

高血圧の自覚症状は少ないため、自分でも気付かないうちに進行している場合があります。気になる症状がある場合は、医師に相談しましょう。

高血圧の予防・改善には、減塩や運動不足の解消など、日頃から意識していく姿勢が大切です。無理なく行なえることから一つずつ生活習慣を見直して、高血圧に対処していきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。