ビオチンを多く含む食品とは?摂取量の目安やレシピも紹介

人間が生きていくうえで大切な栄養素にはさまざまありますが、その一つがビオチンと呼ばれるビタミンです。ビオチンが不足すると、皮膚や舌の炎症などが現れることがあります。

今回の記事では、ビオチンについて解説します。一日に摂るべき目安量や、効率良くビオチンを摂れる食材、おすすめのレシピも紹介します。

1.ビオチンとは?

人間の体の機能を正常に維持するために欠かせない有機化合物を、ビタミンと呼びます。

ビオチンはビタミンB群と呼ばれる栄養素の一種で、水に溶けやすい性質を持つ水溶性ビタミンです。ビオチンは体のなかで、糖質や脂肪酸、アミノ酸の分解・代謝をサポートしています。そのため、糖質やアミノ酸が体内に多い状態であったり、空腹で血糖値が下がっていたりする際に、特に必要となります。

また、ビオチンはその性質により、アビジン(卵白に含まれる糖たんぱく質)と一度結び付くと、もとには戻りません。アビジンはビオチンの吸収を阻害することになるため、食事をする際は食べ合わせには注意したほうがよいでしょう。ビオチンが不足すると、皮膚や舌の炎症、食欲不振や吐き気などを引き起こすおそれがあります。

しかしビオチンは、体内では腸内細菌から作られており、食品にも幅広く含まれているため、基本的に不足する心配はないでしょう。

2.ビオチンを含む食品と摂取量の目安

健康な生活を送るうえで、ビオチンは大切な役割を果たしている栄養素です。

それでは、一日にどのくらいの量のビオチンを摂取したら良いのでしょうか。また、効率良くビオチンを摂るには、どのような食品を選んだら良いのかを見ていきましょう。

2-1.ビオチンの一日摂取量の目安

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビオチンの食事摂取基準は成人で一日50μgです。妊婦や授乳婦も同程度が目安とされています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

上述のとおり、不足した場合には皮膚や舌に炎症が現れたり、食欲不振・吐き気などが生じたりする場合があります。一方、通常の食事をしている人で、ビオチンを摂り過ぎて健康に影響が出たという報告は見られていません。

2-2.ビオチンを多く含む食品

ビオチンを多く含む、おもな食品は次のとおりです。

食品名 100gあたりの成分量
まいたけ(乾) 240μg
落花生(いり) 110μg
ピーナッツバター 79μg
鶏卵(卵黄・生) 65μg
バジル(粉) 62μg
焼きのり 47μg
しいたけ(乾) 41μg
黒砂糖 34μg
大豆(乾) 34μg

参考:文部科学省「食品成分データベース

乾燥まいたけや乾燥しいたけなどのきのこ類のほか、落花生や大豆などの豆類にもビオチンが多く含まれることがわかります。

ビオチンをしっかり摂りたいと考える方は、これらの食材を日々の食事メニューに組み込んでみてください。

3.ビオチンが摂れるおすすめレシピ

ここでは、ビオチンを多く含む食材を使ったおすすめ料理のレシピを2つ紹介しますので、ぜひご家庭でも作ってみてはいかがでしょうか。

3-1.シンプルきのこ鍋

干ししいたけの戻し汁を使うことで、ビオチンをたっぷり摂れるレシピです。薄味ですが、その分、きのこの風味を味わえます。

食材を入れる際は、火が通りにくいかぼちゃを一番下にして、風味を引き出すきのこ類を真ん中にしましょう。ごぼうを上のほうにのせるとアクが出にくくなります。そして、味がしみこみやすい油揚げは最後に入れます。

【材料】(2人分)

  • ・干ししいたけ 30g

  • ・戻し用の水 900ml

  • ・みそ 45g

  • ・えのき 200g

  • ・しめじ 150g

  • ・まいたけ 100g

  • ・かぼちゃ 300g

  • ・油揚げ 1.5枚

  • ・ごぼう 1本

【作り方】

  • 1. 戻し用の水を入れたボウルに、手で干ししいたけを小さくちぎりながら入れます。そのボウルにラップをかけて、冷蔵庫で24時間寝かせます。

  • 2. 1のしいたけの戻し汁にみそを加えて溶かし、鍋に入れます。

  • 3. きのこ類は軸を切り落として小さく分け、かぼちゃは5cm角の乱切りにします。ごぼうは5cmの長さで5mm角に、油揚げは5mm幅に細く切ります。

  • 4. 下から順にかぼちゃ、きのこ類、ごぼうと油揚げを鍋に入れ、火をつけます。具材に火が通ったら完成です。

3-2.きくらげのピリ辛炒め

ビオチンが豊富なきくらげを使った、ビールや焼酎などのつまみにもなる一品です。豆板醤の量は、お好みで調節してください。

【材料】(2人分)

  • ・きくらげ 30g

  • ・豆板醤 小さじ1/2

  • ・ごま油 大さじ1/2

【A】

  • ・酒 小さじ1

  • ・しょうゆ 大さじ1

  • ・みりん 大さじ2/3

  • ・白ごま 大さじ1

【作り方】

  • 1. 水で戻したきくらげを、細切りにします。

  • 2. フライパンでごま油を熱して豆板醤を炒め、良い香りがしてきたらきくらげを加えて炒めます。

  • 3. 4~5分きくらげを炒めたら、【A】を入れて水分がなくなるまでさらに炒めます。最後に白ごまをふりかけて完成です。

ビオチンはイキイキとした毎日を応援するビタミン

糖質や脂肪酸、アミノ酸の分解や代謝をサポートするビオチンは、元気な毎日に欠かせないビタミンです。成人は、一日50μgを目安に摂ると良いとされています。

ビオチンは、まいたけやしいたけなどのきのこ類、乾燥大豆などに多く含まれています。ビオチンを効率良く摂取するには、これらの食品を使った料理がおすすめです。

体の調子を整えるビオチンをしっかり摂って、イキイキとした日々を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。