ビタミンAが豊富な食べ物(野菜)とは?働きやレシピも紹介

ビタミンは、体の調子を整えるなど健康のために必要不可欠な栄養素です。そのなかでも「ビタミンA」は、バリア機能をサポートして感染症から身を守る役割を担っています。
今回は、そんなビタミンAの働きやビタミンAを含有する食品などについて解説し、効率よく摂取できるレシピを2品ご紹介します。

1.ビタミンAとは?

ビタミンAは、人間の体内でレチノール・レチナール・レチノイン酸といった3つの形で存在している、脂溶性ビタミンの一つです。脂溶性ビタミンは油によく溶ける性質があるため、油と一緒に摂ることで体への吸収率がアップします。

ビタミンAのおもな働きは、皮膚や目・鼻・のどなどの粘膜を丈夫に保ち、ウイルスや細菌といった外敵が体内へ侵入するのを防いだり、目の障害や視力の低下を予防したりすることです。

食品におけるビタミンAの含有量は、厚生労働省による食事摂取基準によって「レチノール活性当量(RAE)」という単位で示されます。

通常の食事では過剰摂取の心配はありませんが、万が一ビタミンAを摂り過ぎてしまうと脱毛・食欲不振・吐き気などを招く恐れもあるので注意が必要です。なお、厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)によると、健康障害を生じないとされる摂取量の上限量は健康的な成人・高齢者で2700µgRAE/日とされています。
推奨量は、成人男性は850~900 µgRAE/日、成人女性は650〜700 µgRAE/日です。

2.ビタミンAを多く含む野菜

ビタミンAは、色が鮮やかな「緑黄色野菜」に多く含まれています。
緑黄色野菜の定義は、厚生労働省によって「カロテン含有量(可食部100gあたり)が600µg以上の野菜」とされているものです。例外として、ピーマンやトマトはカロテン含有量(可食部100g あたり)が600µg未満であるものの、食べる量や頻度が多いため、緑黄色野菜として扱われます。

カロテンは動物や植物における赤色や黄色の色素です。代表的なものにβカロテンがあります。βカロテンは「プロビタミンA」と呼ばれ、体内で必要な分だけビタミンAに変換される性質があるため、プロビタミンAによるビタミンAの過剰症は生じません。つまり、野菜によるビタミンAの過剰症の心配はほぼないと考えてよいでしょう。

食品由来のβカロテン12µgはレチノール1µgに相当する量(レチノール活性当量:RAE)として換算されます。

【ビタミンAが豊富な野菜と可食部100g あたりの含有量(レチノール活性当量)】

食品名 レチノール活性当量(µg)
しその葉(生) 880
にんじん(皮付き・生) 720
パセリの葉(生) 620
モロヘイヤ(生) 840
西洋かぼちゃ(生) 330
春菊(生) 380
ほうれん草(生) 350

参照:文部科学省 食品成分データベース「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

にんじんは皮に近いほどカロテンを多く含んでいるため、皮付きのまま調理することで効率よく摂取できます。

3.ビタミンAを多く含む野菜以外の食べ物

ビタミンAは、うなぎなどの動物性食品にも多く含まれています。こちらは、毎日大量に食べ過ぎると過剰症になる可能性があるので、適度に食卓に取り入れるのがおすすめです。

【ビタミンAが豊富な野菜以外の食品と可食部100g あたりの含有量(レチノール活性当量)】

食品名 レチノール活性当量(µg)
うなぎの蒲焼き 1500
無塩バター 800
有塩バター 520
マスカルポーネチーズ 390
チェダーチーズ 330
モッツァレラチーズ 280
鶏卵 210

参照:文部科学省 食品成分データベース「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

4.ビタミンAが豊富な食べ物を使ったおすすめレシピを紹介

ビタミンAが多い食品について理解を深めたところで、おいしくビタミンAを補給できるレシピを2品ご紹介します。

4-1.「かぼちゃのクリームシチュー」

【材料】(2人分)

  • ・かぼちゃ 8分の1個

  • ・玉ねぎ(小) 1個

  • ・にんじん 3分の1本

  • ・パセリ 適量

  • ・鶏もも肉 1枚

  • ・バター 20g

  • ・小麦粉 20g

  • ・水 350~400ml

  • ・顆粒コンソメ 大さじ1

  • ・牛乳 200ml

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

【作り方】

  • 1. かぼちゃ・玉ねぎ・にんじんは一口大に切る。パセリはみじん切りにする。

  • 2. 鶏もも肉は一口大に切り、塩・こしょうで下味をつける。

  • 3. 鍋でバターを熱し、玉ねぎを炒める。玉ねぎが透きとおってきたら、にんじん・鶏もも肉を加えてさらに炒める。

  • 4. 鶏もも肉の色が変わってきたら、かぼちゃを加えて炒める。全体に油がなじんだら、小麦粉を振り入れてさらに炒める。

  • 5. 粉っぽさがなくなったら、水・顆粒コンソメを加えて材料がやわらかくなるまで煮る。

  • 6. 仕上げに牛乳・塩・こしょうを加えて味を調える。

  • 7. 器に盛り付け、パセリのみじん切りを散らす。

4-2.「ほうれん草とチーズのラビオリ風」

【材料】(2人分)

  • ・ほうれん草 50g

  • ・モッツァレラチーズ 100g

  • ・塩 適量

  • ・粗挽き黒こしょう 適量

  • ・ワンタンの皮 16枚

  • ・トマトソース(市販品) 適量

  • ・イタリアンパセリ(みじん切り) 適量

  • ・粉チーズ 適量

【作り方】

  • 1. ほうれん草は塩ゆでをして水気をしっかりと絞る。根元を切り落として5mm幅のザク切りにする。モッツァレラチーズは5mm角に切る。

  • 2. 1を混ぜ合わせて、塩・粗挽き黒こしょうで下味をつける。

  • 3. ワンタンの皮の中央に2を適量のせて、ふちを水で濡らして三角形に折る。

  • 4. 小鍋に湯を沸かし、沸騰した湯に3を入れ、浮き上がって30秒経ったら取り出す。

  • 5. 温めたトマトソースを皿に敷き、4をのせる。イタリアンパセリのみじん切り・粉チーズを振りかける。

ビタミンAを取り入れて外敵に負けない体づくりを

ビタミンAは皮膚や粘膜・目の健康を保ち、ウイルスなどの外敵から身を守るために欠かせない栄養素です。βカロテンが豊富な緑黄色野菜をはじめ、うなぎや鶏卵といった動物性食品からも摂取することができます。

ただし、動物性食品では、食べ過ぎるとビタミンAの過剰摂取になる可能性もあることから、食べる量には注意が必要です。

ぜひ、今回ご紹介したビタミンAが豊富な食品やレシピを毎日の食事に取り入れて、外敵に負けない体を目指しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。