ビタミンB12が豊富な食べ物とは?
一日の摂取目安量・おすすめレシピを紹介

ビタミンB群は体内において、代謝に必要な酵素の働きを補う重要な栄養素です。

今回はビタミンB群の一種である、ビタミンB12の働きや一日の摂取目安量を解説します。併せて、ビタミンB12が補給できる食材やおすすめレシピも紹介するので、参考にしてみてください。

1.ビタミンB12の働きについて

ここでは、ビタミンB12の体内での働きや、一日の摂取目安量などを紹介します。

1-1.ビタミンB12の働きについて

ビタミンB12は水溶性ビタミンの一種で、たんぱく質や核酸などの代謝を助ける働きをもつ栄養素です。コバルトを含む化合物で、「シアノコバラミン」と呼ばれることもあります。

1-2.ビタミンB12の一日の摂取量

ビタミンB12の摂取について、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに、一日の上限量や目安量を紹介します。

  • 上限量

    日本では、過剰摂取による健康障害を防ぐことを目的として、栄養素の上限量が設定されています。

    ビタミンB12の場合、過剰摂取によって健康に何らかの障害が現れた根拠がないため、年齢や性別に関係なく、上限量は設定されていません。

  • 目安量

    ビタミンB12の摂取目安量は、18歳以上の成人男女ともに、一日あたり2.4μgです。また、妊婦の場合は+0.4μg、授乳婦の場合は+0.8μgを、上記の量に追加することが推奨されています。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ビタミンB12を含めた水溶性ビタミンは、体内では血液などに溶け込み、過剰分は体外へ尿として排出されます。さらに、ビタミンB12は内臓の機能により食品からの吸収量が調節されているため、過剰摂取になることはほぼないでしょう。

2.ビタミンB12を豊富に含む食べ物

ビタミンB12は、おもに魚介類や肉類、卵に含まれている栄養素です。それぞれ、どういった食品に、どのぐらいの量のビタミンB12が含まれているのかを紹介します。

2-1.魚介類

魚介類のなかで、ビタミンB12を多く含む食品は次のとおりです。

食品名 100gあたりの成分量
しじみ水煮 81.6μg
カタクチイワシの田作り 64.5μg
あさり水煮 63.8μg
味付けのり 58.1μg
かつお節 21.9μg
まさば水煮 19.0μg
まいわし水煮 17.7μg
いかの塩辛 16.7μg

2-2.肉類・卵

肉類・卵のなかで、ビタミンB12を多く含む食品は次のとおりです。

食品名 100gあたりの成分量
牛タン 5.4μg
牛ヒレ肉(焼き) 4.9μg
ビーフジャーキー 3.5μg
うずらの卵水煮 3.3μg
卵黄(生) 3.0μg
ショルダーハム 1.9μg
ローストビーフ 1.6μg

参考:文部科学省「食品成分データベース」

3.ビタミンB12をおいしく摂れるレシピを紹介

ビタミンB12が摂れるメニューを2品紹介します。ぜひ日々の料理に取り入れてみてください。

3-1.いわし缶のポテトサラダ

いわしでビタミンB12が摂取できる一品です。じゃがいもは熱いうちにすし酢で味付けすると、味がなじみやすくなります。

【材料】(2人分)

  • ・じゃがいも 3個

  • ・いわしの水煮缶 1缶

  • ・きゅうりのピクルス 30g

  • ・すし酢 小さじ2

【A】

  • ・粒マスタード 小さじ1

  • ・マヨネーズ 大さじ1と1/2

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

【作り方】

  • 1.じゃがいもをしっかりと洗い、1つずつラップで包んでやわらかくなるまで電子レンジで加熱します。熱いうちにじゃがいもの皮をむき、1cm角に切ってすし酢で味付けをします。

  • 2.きゅうりのピクルスをタテ半分に切り、2mmほどの厚さに切ります。

  • 3.いわしの水煮は食べやすい大きさにほぐします。

  • 4.1、2、3と【A】をしっかりと混ぜ合わせたら完成です。

3-2.牛肉と里いもの芋煮風

牛肉やかつお節から、ビタミンB12の摂取が期待できるレシピです。牛肉は加熱しすぎると硬くなるため、一度取り出してから最後に混ぜ合わせるとよいでしょう。

【材料】(2人分)

  • ・牛肉 80g

  • ・里いも 6個

  • ・新ごぼう 2本

  • ・糸こんにゃく 100g

  • ・干ししいたけ 2枚

  • ・白ねぎ 1/2本

  • ・太白ごま油 大さじ1

  • ・だし昆布(5cm角) 1枚

  • ・かつお節 10g

  • ・酒 大さじ1

【A】

  • ・砂糖 大さじ1/2

  • ・みりん 大さじ1/2

  • ・しょうゆ 大さじ2

  • ・塩 小さじ1/2

【作り方】

  • 1.干ししいたけは200mlの水で戻しておきます。500mlの水と昆布を鍋に入れて、30分ほど経ったら中火にかけ、沸騰する直前でかつお節を入れて2分ほど煮出します。昆布とかつお節を取り出し、しいたけの戻し汁と混ぜ合わせてだし汁にします。

  • 2.ごぼうをたわしで洗って大きめのささがきにし、水に15分ほどさらしたら、水分を切っておきます。しいたけはそぎ切りにします。

  • 3.里いもは皮をむいて、洗っておきます。糸こんにゃくはアク抜きのために10分ほどゆでてから、食べやすい長さに切り、白ねぎは一口大に切ります。

  • 4.太白ごま油を鍋で熱し、一口大に切った牛肉を中火でさっと炒めたら、一度取り出します。その鍋に、2と3の野菜を入れて炒めます。

  • 5.油がなじんだら、1のだし汁と酒を入れて中火で熱します。このとき、出てきたアクはこまめに取り除きます。

  • 6.里いもがやわらかくなったら牛肉を再度入れて、【A】で味付けをします。5分ほど煮て野菜に味が染み込んだら、完成です。

ビタミンB12が不足しないよう、日頃から摂取しよう

ビタミンB12は、たんぱく質や核酸などの代謝を助ける栄養素です。

食べ物からの吸収量が内臓で調整されていたり、過剰分は尿に排出されたりするため、過剰摂取については心配する必要がないでしょう。

ビタミンB12は魚介類や肉類、卵などに多く含まれています。これらの食品を摂るほか、今回紹介したビタミンB12が補給できるレシピを、ぜひ試してみてください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医