1.アミノ酸とは
たんぱく質は生体の乾燥重量の約50%を占め、皮膚や毛髪、筋肉や臓器などの身体を構成する成分であり、生命の維持に欠かせないものです。アミノ酸とは、そのたんぱく質を構成するために必要不可欠な有機化合物となっています。
アミノ酸は20種類あり、どれか一つでも不足しているとたんぱく質を合成することができません。
また、アミノ酸は、神経伝達物質やビタミン、そのほか大切な生理活性物質の前駆体としての役割もあります。さらに、酸化された際にはエネルギー源としても利用されるなど、さまざまな場面で必要とされているのです。
1-1.たんぱく質とアミノ酸の関係
アミノ酸を語るうえで、たんぱく質との関係は避けて通れません。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
たんぱく質の種類は無数に存在し、人の体内にあるたんぱく質だけでも約10万種類あるといわれています。一方で、たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類しかありません。20種類のアミノ酸があらゆる組み合わせで配列を変え、鎖状に結合し作られたものがたんぱく質です。
一般的に、アミノ酸が50個以上つながったものがたんぱく質と分類されることが多く、2個以上、100個以下のものはペプチドとされ、別に分類さています。
1-2.ペプチドとアミノ酸
ペプチドは、アミノ酸が2個以上、100個以下が集まったものを指すことが多い物質です。たんぱく質と比べて小さいのが特徴です。
ペプチドには血圧やコレステロールの上昇を抑えるもの、抗酸化作用のあるもの、脳神経系に作用し不安を和らげるものなど、健康に寄与するものが多く見つかっています。
1-3.アミノ酸の種類
アミノ酸は、体内で合成できない「必須アミノ酸」と体内で脂質や糖質から生成できる「非必須アミノ酸」に分類されます。
体内で合成できない必須アミノ酸は、日常的に食事などからたんぱく質として摂取する必要がありますが、通常の食事を摂っていれば不足しにくいとされています。
必須アミノ酸(9種類) |
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン(スレオニン)、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン |
非必須アミノ酸(11種類) |
グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリン |
2.アミノ酸が含まれているおもな食品
必須アミノ酸は日々の食事などから摂取しなければなりません。たんぱく質を多く含む食品のなかでも、必須アミノ酸をバランスよく摂ることのできるものを知っておく必要があります。
たんぱく質の栄養価を評価する方法として有効なのが「アミノ酸スコア」です。「アミノ酸スコア」は、その食品のなかに含まれる必須アミノ酸の含有量のバランスを評価する指標で、100に近いほど「良質なたんぱく質」と位置づけることができます。
2-1.アミノ酸スコアが高いとされるおもな食品
アミノ酸スコアは、9種類の必須アミノ酸のうち最も含有量が少ないアミノ酸が基準となります。つまり、一つでも含有量の少ないアミノ酸がある食品はアミノ酸スコアが低くなります。
9種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれていることでアミノ酸スコアが高値となり、「良質なたんぱく質」といえるのです。
おもな食品のアミノ酸スコアは以下のとおりです。
食品 |
アミノ酸スコア |
食品 |
アミノ酸スコア |
食品 |
アミノ酸スコア |
鶏卵 |
100 |
あじ |
100 |
精白米 |
61 |
牛乳 |
100 |
いわし |
100 |
パン |
44 |
牛肉 |
100 |
さけ |
100 |
じゃがいも |
73 |
鶏肉 |
100 |
まぐろ |
100 |
とうもろこし |
31 |
豚肉 |
100 |
|
出典:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム
2-2.アミノ酸を摂取する際のポイント
今回ご紹介したアミノ酸スコアは、良質なたんぱく質であるかを判断するのに役立ちますが、スコアが低いからといってその食品を摂っても意味がない、ということではありません。
アミノ酸スコアが100に満たない食品であっても、ほかの食品と摂ることで足りない必須アミノ酸を補い合い、アミノ酸スコアを向上させることも可能です。
アミノ酸をバランスよく摂取するポイントは多様な食品を組み合わせることです。多様な食品を一緒に摂取することで、アミノ酸スコアの向上が期待できるだけでなく、たんぱく質以外の糖質、脂質、ビタミン、ミネラルといった必要な栄養素もバランスよく摂取することができます。
必須アミノ酸は食事などからとる必要がある
アミノ酸は、人体を構成する要素であるたんぱく質を構成する重要な成分です。
アミノ酸は全部で20種類あり、どれか一つでも欠けると、たんぱく質を作ることができないとされています。さらに、20種類のうち9種類の必須アミノ酸は体内で合成できないので、食事などから摂る必要があります。
必須アミノ酸を多く含んだ食品選びに役立つ指標が「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアを意識して、良質なたんぱく質をバランスよく摂取することを心がけましょう。
監修者情報
氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。