記憶力低下の原因とは?
認知機能を低下させないための対策方法を紹介

年齢とともに、「人の名前を思い出しにくくなる」「もの忘れがひどくなったりする」といった経験がある方は多いのではないでしょうか。

記憶力低下の原因はどのようなものがあるのか、知らない方も多いでしょう。

今回は、記憶力低下の原因、認知機能を低下させないための対策方法を紹介します。

1.記憶力が低下する5つの原因

そもそも、なぜ記憶力は低下するのでしょうか。4つの原因を解説します。

1-1.加齢によるもの

記憶力が低下する原因の一つは、加齢による「認知機能」の低下です。

認知機能とは、理解力や判断力、記憶力や言語を理解する能力など、日常生活を送るうえで重要な能力です。

認知機能が低下することで起こる症状の一つに「記憶障害」があります。

私たち人間は、個人差はありますが、60歳を過ぎたあたりから少しずつ認知機能が衰えるといわれています。

1-2.朝食を食べない

忙しい朝は、つい朝食を抜いてしまうことはありませんか。

しかし、朝食を抜くことで、脳のエネルギーが足りなくなり、集中力だけでなく記憶力の低下にもつながります。

脳が活動するためのエネルギー源はおもにブドウ糖が担っていますが、ブドウ糖は体内に多く溜めておけないため、すぐに不足しがちです。つまり、空腹状態の脳はエネルギー欠乏状態にあるため、しっかりと朝食を食べましょう。

1-3.睡眠不足

慢性的に睡眠が不足していると、日中の眠気や意欲低下だけでなく、記憶力の低下を引き起こすことがわかっています。

私たち日本人、特に子どもや働いている人の睡眠時間は世界で最も短いといわれているのです。できるかぎり睡眠時間を確保しましょう。

睡眠状態に不安がある方は、専門医へ相談することも検討してみてください。

1-4.薬による影響

抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬(睡眠薬)などの薬の影響で、記憶力の低下を引き起こす場合があります。

そのため、身近な人の記憶力低下を感じたら、薬を飲んでいるかどうか、どのような薬を飲んでいるのかをチェックして、かかりつけの医師に相談してください。

2.記憶力が低下しないための対策方法

認知機能を保つためには、生活習慣病を予防することや持病を悪化させないことが大切です。

ウォーキングやエアロビクスなどの有酸素運動など、適度な運動習慣を身に付けることで認知機能の維持につながります。

食事面では、塩分を控えて、野菜・果物・魚介類をバランス良く豊富にとることを心がけましょう。抗酸化物質や抗炎症物質として知られるポリフェノールや、EPA・DHAの摂取も予防効果があるとされています。

社会活動に積極的に参加することもよいでしょう。家族も含め、人とのコミュニケーションをとることで、脳の活性化が期待できます。

記憶力や認知機能の低下は早めの対策が大切

記憶力低下の原因の一つは、認知機能の低下です。

認知機能の低下を防ぐためには、食事内容や適度な運動習慣を身に付けるなど、生活習慣を見直すことが大切です。

症状が軽いうちに適切な治療を受ければ、症状の進行を遅らせたり、症状を改善したりすることもできますので、1人で悩まずに医療機関などの専門家に相談しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。