適度な運動をすることが老化防止につながる?
食事からできる予防法も紹介

最近は、便利な暮らしや生活様式の変化の影響により、運動不足になっているという人は多いのではないでしょうか。しかし、運動不足は老化を加速させる原因の一つです。

40歳を過ぎると体力や気力、見た目に年齢を感じることが増えていきますが、年齢に負けない体を作るにはどのような運動をしたらよいのでしょうか。

今回は、老化防止につながる適度な運動、老化を予防する食べ物を紹介します。老化の予防法について理解を深めて、いつまでも若々しい体を目指しましょう。

1.老化とは

私たちの体は、生まれてから死ぬまで常に変化し続けています。ある時期までは「成長」と呼ばれますが、大人になりさらに成熟していくと、そこから先は「老化」と呼ばれるようになるのです。
これは、すべての人に起こる変化ですが、老化の進み具合には個人差があります。

ここでは、おもな老化の原因2つを紹介します。

1-1.体のサビ(酸化)によるもの

一つ目の老化の原因は、活性酸素による体のサビ(酸化)です。

酸化とは物質が酸素と結びつくことを指し、老化を進行させます。活性酸素は体内に侵入したウイルスなどの外敵から体を守る働きがありますが、増え過ぎると体に害をおよぼすのです。活性酸素が発生するおもな要因は以下のとおりです。

  • ・呼吸により吸い込んだ酸素の約2%が活性酸素に変わる

  • ・たばこ

  • ・紫外線

  • ・車の排気ガス

  • ・栄養バランスの悪い食事

  • ・精神的なストレス

  • ・激しい運動

1-2.体のコゲ(糖化)によるもの

二つ目の老化の原因は、体のコゲ(糖化)です。糖化は、食べた糖質とタンパク質が結びつき、タンパク質が劣化する反応を指します。

糖化によって作られた悪玉物質のことをAGEs(終末糖化産物)といい、老化の原因になってしまうのです。

AGEsは、加齢とともに体内に蓄積していきます。また、血糖値が高いほどAGEsが増えやすいので、血糖値を必要以上に上げない食生活を心がけるとよいでしょう。

うどんやパンなどの小麦製品、砂糖を多く含む清涼飲料水やお菓子は血糖値を上げやすいため、注意が必要です。

また、調理方法によってAGEsが多く含まれている食べ物もあります。例えば、ホットケーキの焦げ目の部分は、ホットケーキに含まれる砂糖が卵や牛乳などのタンパク質と結びつき、加熱することで性質が変化しています。これも糖化現象であり、AGEsが大量に作られてしまうのです。

その他、皮がパリッとした焼き餃子やカラッとジューシーな唐揚げなど、焼き色が付いている食べ物には、AGEsがたくさん含まれています。

2.老化予防には適度な運動をすることが大切

老化を予防するには、筋肉量と筋力を落とさないための適度な運動が大切です。また、適度な運動は、骨と筋肉を強化して、肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の予防・改善の効果が期待できます。
ここでは老化予防に効果的な運動を2つ紹介します。

2-1.レジスタンス運動

加齢によって筋肉量が減っていく老化現象のことを「サルコペニア」といいます。筋肉が衰えることで、歩いたり立ち上がったりするのが辛くなるため、高齢者の活動能力低下の大きな要因になっているのです。そのまま放置しておくと、歩くことすら難しくなってしまいます。

サルコペニアの進行を食い止めるには、「レジスタンス運動」が有効です。レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行なう運動のことです。例えば、ダンベル運動や腕立て伏せ、スクワットなどがあります。

スクワットであれば、机に手をついて行なう・しゃがみ込む深さを浅くするなどして、筋肉への負荷のかけ方を調節しながら自分に合った方法で行なうとよいでしょう。

レジスタンス運動は部分的な筋肉に負荷をかける運動のため、疲労した筋肉を回復させてあげる時間も必要です。毎日ではなく2~3日に一回ほどの運動ペースが推奨されています。無理をせず、習慣的に行なうことが重要です。

2-2.ウォーキング

老化防止にはウォーキングも効果があります。ウォーキングは、酸素を体に取り入れながら行なう有酸素運動で、脂肪燃焼や心肺機能の老化防止、骨粗しょう症の予防にも有効です。

ウォーキングは快感ホルモンの分泌を促すため、どんよりした気分や敵意などマイナスな感情を減らし、前向きな感情をアップさせる効果もあります。

適度な運動は活性酸素の発生を抑え老化を防止しますが、激しい運動は活性酸素を増やし老化を招いてしまうため、やり過ぎには注意しましょう。

3.食事からも老化を予防しよう

年齢に負けない若々しい体をキープするためには、食事も大切です。ここからでは、老化を予防する食事の食べ方を2つ紹介します。

3-1.しっかりと食べる

老化を予防するには、食事をしっかりと食べて低栄養を防ぐことが重要です。低栄養は、老化のスピードを加速させてしまいます。

最近は、中高年の肥満が増えていることから、肉や脂肪を控えた低カロリーの食事が注目されがちです。しかし、食が細くなっている方は低栄養状態に陥るおそれがあるため、注意しなければなりません。

低栄養状態に陥ると骨や筋肉は衰え、血管の壁がもろくなり、免疫力が低下してしまうのです。シニア世代は特に、いろいろな食材をしっかり食べることを意識しましょう。

3-2.血糖値を上げにくい食べ物を食べる

老化防止には、血糖値を上げにくい食べ物を食べることが大切です。前述したとおり、糖化反応により作られるAGEsと呼ばれる悪玉物質を減らすことで、老化を防止できます。

体内で作られるAGEsの量は高血糖状態が長時間になるほど多くなり、加齢とともに蓄積されます。そのため、なるべく血糖値を上げない食品を食べることが大切です。

血糖値の上昇をゆるやかにするには、最初に食物繊維の多い野菜などから食べるとよいでしょう。最初に食物繊維が多い食品を食べると腸壁を食物繊維がコーティングしてくれるため、そのあと糖が入ってきたときに糖の吸収を穏やかにしてくれます。

また、精製度が低い食品を選ぶことも重要です。主食であれば、玄米や雑穀米、麦ごはんなどがおすすめです。

運動や生活習慣の見直しで老化を予防しましょう

老化を予防するには、酸化と糖化を防ぐ生活と、適度な運動が効果的です。また、シニア世代からは低カロリーなものよりも、いろんな食べ物をしっかり食べることを意識しましょう。

年を重ねるにつれ、体力や気力、見た目に年齢を感じることが増えていきます。しかし、生活習慣の見直しによって老化の進行を遅くすることも可能です。

今回紹介した老化の予防方法を実践して、いつまでも若々しい毎日を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医