1.女性のほうが男性よりもストレスを感じやすい
厚生労働省が行なった調査で、普段の生活でストレスを感じているのは、男性7割に対して女性は約8割と、女性のほうが男性よりもストレスを感じやすいとわかりました。
これは、月経前不快気分障害や出産前後のうつ症状など女性ホルモンの分泌量の変化によって起こる症状などに加えて、結婚や出産などのライフイベントによる環境や役割の変化によるものと考えられています。
2.女性のストレスの原因は?
ストレスとは外的刺激によって緊張している状態です。外的刺激には、環境的・身体的・心理的・社会的要因があります。就職や結婚など、一般的にはうれしいこととされる変化もストレスになりかねません。
例えば出産を例にとっても、出産後に理由もなく涙が出て止まらなくなるマタニティーブルーや、産後うつなどを経験する女性もいます。
また、「就労女性のメンタルヘルスに及ぼす職業ストレスに関する調査研究」でも、男性よりも女性のほうが仕事でストレスを感じる割合が多いという結果が出ています。ストレス原因の調査では、男性は「仕事の量・質」でストレスを感じるのに対し、女性は「コントロール」「仕事への適合性」がストレスとなることがわかりました。
この研究では、職場におけるメンタルヘルスへのさらなる取り組みや、女性が満足し、健康に働ける職場の環境を整えることが必要であると結論づけられています。
出典:「就労女性のメンタルヘルスに及ぼす 職場ストレスに関する調査研究」
3.女性のストレス症状について
ストレスで体に現れる症状についても、男女で差があります。例えば、ストレスで急に痩せたり太ったりすることがありますが、女性のほうが太りやすく、男性のほうが痩せやすい傾向にあることがわかっています。これは、厚生労働省の報告によるとストレスを感じたときに女性は過食する割合が多く、男性は逆に食事が減る傾向にあるためです。
その他に、ストレスを感じた際の代表的な症状にはイライラしたり、怒りやすくなったりするなどが挙げられます。また、人によってはなかなか寝付けなくなり、熟睡ができなくなることもあります。
4.ストレスに対する適切な対処法
ストレスの原因に対して上手に適応やコントロールができないと、体にさまざまな不調が現れてしまいます。ストレス症状や心の不調がなかなかおさまらず、普段の生活に影響が出る場合は、早めに対処することが大切です。
4-1.ストレスサインを見逃さない
早めにストレスに対処するためには、ストレスを感じているときに現れる変化を見逃さないことが重要です。ストレスを感じた際に現れるサインはさまざまなものがあります。そのため、自分の状態を定期的に観察し、自分のストレスサインを把握しましょう。
おもなストレスサインには次のようなものがあります。
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・気持ちが沈んで憂うつな気持ち
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・なかなか元気が出ない
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・イライラして、怒りっぽくなる
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・胸がどきどきして、息苦しさがある
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・食欲がない
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・なかなか寝付けず、ぐっすり眠れない
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・睡眠中に何度も目が覚める
自分のストレスサインに早く気付くことで、気分転換をしたり、休息を取ったりするなどのすみやかなセルフケアが可能になります。
4-2.専門機関を受診する
ストレスによる症状が続いたり生活に支障が出たりする場合、専門機関やかかりつけ医に相談しましょう。特に気分の浮き沈みやイライラを感じたり、食欲の低下、不眠、幻聴などを自覚したりした場合は専門機関へ受診するサインです。
ストレス症状が現れた場合は早めの対処が大切
女性ホルモンの分泌量の急激な変化やライフイベントによる生活変化の関係で、女性は男性よりもストレスを感じやすいことがわかっています。
もしも、ストレスで苦しさを感じるようならば、専門家に早めに相談することが大切です。自分のストレスサインに気付いた場合は、いち早く対処を行ないましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。