1.精神が不安定なときに現れる症状
ストレスを受けている状態だと、体や心にさまざまな変化が現れます。不安が強いときに起きる心身の変化を3つのカテゴリで見てみましょう。
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・体の変化:呼吸が速くなる・心拍数が増える・汗をかく・体が震える など
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・思考の変化:不安が強くなる・混乱をともなう(パニックになる) など
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・行動の変化:怒りっぽくなる・他人と喧嘩する・他のことで気を紛らわそうとする・過食 など
ここで挙げたのはあくまで一例です。ストレスサインは人それぞれのため、自身のストレスサインを知っておくとよいでしょう。
2.ストレス解消に効果的な栄養素と食べ物とは
ここでは、心や体のストレスや疲れを和らげる栄養素と、その栄養素を多く含む食品を紹介します。
2-1.カルシウム
カルシウムは身体機能の調節・維持に必要なミネラルの一つで、興奮した脳神経を抑える作用があります。カルシウムは牛乳、ヨーグルト、チーズといった乳製品をはじめ、小魚や豆腐や納豆、海藻などに多く含まれています。特に乳製品は、他の食品と比較して効率良くカルシウムが摂れる食品です。
2-2.ビタミンB群
ビタミンB1はエネルギーの産生に必要なビタミンで、不足すると食欲不振や疲労、だるさなどの不調が現れます。ビタミンB1を多く含む食品は、かつお節や豚肉などです。
ビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれ、発育促進の重要な役割を担います。ビタミンB2を多く含む食品は納豆、チーズ、卵です。
ビタミンB6はアミノ酸の代謝を助け免疫力をサポートするほか、皮膚を健やかに保ち、神経伝達物質の合成に携わります。ビタミンB6を多く含む食品は、にんにくやブロッコリー、ゴマです。
ビタミンB12は、たんぱく質の生合成やアミノ酸・脂肪酸の代謝に関わるビタミンで、しじみやあさりなどに多く含まれています。
2-3.ビタミンC
ビタミンCには、ストレスへの抵抗力を高める作用があり、不足するとイライラするなどの症状がでやすくなります。ビタミンCを多く含む食品はアセロラやいちご、赤ピーマン、ジャガイモなどです。
3.精神安定が期待できる食べ物を使用したストレス解消レシピ
心身を穏やかにしてくれる効果が期待できる、栄養素と食品について見てきました。ここでは、これらの食品を使ったストレス解消レシピを2品紹介します。
3-1.ポテトサラダ ゴマ風味
まず紹介する「ポテトサラダ ゴマ風味」は、マヨネーズにコクのあるゴマを加えることで、野菜をおいしく食べられるレシピです。
抗酸化力が強いゴマは体を若々しく保ち、悪玉コレステロールの合成やシミ、シワ予防をサポートします。
じゃがいもはリンゴの4倍近いビタミンCを含んでいます。調理をしても壊れにくいため、効率良くビタミンCを摂取できる食品です。ブロッコリーはビタミンCやカロテン、鉄分、食物繊維を含みます。
【材料】4人分
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・じゃがいも 4個
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・ブロッコリー 1/3個
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・人参 1/4本
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・ロースハム 2枚
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・マヨネーズ 大さじ4
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・すりゴマ(白) 大さじ4
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・しょうゆ 大さじ1
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・塩・こしょう 少々
【作り方】
3-2.豚ヒレ肉のゴマ2色揚げ
次に紹介するのは、ビタミンB1が豊富なゴマと豚ヒレ肉を使った「豚ヒレ肉のゴマ2色揚げ」です。豚ヒレ肉は脂質の量がロース肉の1/10以下とヘルシーなため、中性脂肪が気になっている方にもおすすめの食材です。
【材料】4人分
【A】
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・梅干(大粒) 2個
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・えのきだけ 30g
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・大葉 3枚
【B】
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・みそ 大さじ1
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・酒 小さじ1
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・えのきだけ 30g
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・青ねぎ 1本
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・いりゴマ(白・黒) 適量
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・塩・こしょう 少々
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・サラダ油 適量
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・卵白 適量
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・レタス 適量
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・かいわれ大根 適量
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・ラディッシュ 適量
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・プチトマト 1個
【作り方】
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1. 1cmの厚さにスライスした豚ヒレ肉を、半分の厚みになるようにポケット状に切れこみを入れてたたき、軽く塩・こしょうします。
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2. 種を取り除いた梅干しを包丁で叩きます。えのきだけを1cmの長さに切り、大葉は粗みじん切りにして梅干しに混ぜ入れます。
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3. 酒でやわらかくしたみそに、1cm幅で切ったえのきだけと、小口切りにした青ねぎを加えて混ぜます。
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4. 2と3で作った梅しそとねぎみそを、豚ヒレ肉の切り込みにそれぞれ塗ります。卵白をつけ、梅しそを塗った豚肉には白ゴマを、ねぎみそを塗った豚肉には黒ゴマをまぶして揚げます。
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5. レタスは千切りにして、根元を切り落としたかいわれ大根、ラディッシュ、プチトマトと一緒に器に盛り付けて完成です。
精神安定をサポートする食べ物を取り入れて心穏やかな日々を過ごしましょう
ストレスが積み重なると、とりわけ不安感やイライラを感じやすくなります。そのような場合は、心を穏やかにしてくれる栄養素を積極的に摂ることがおすすめです。
心身の疲れを和らげる栄養素には、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCがあります。
栄養バランスの良い食事をはじめ、適切な運動や十分な睡眠を取り、ストレスに打ち勝つための体づくりを意識していくとよいでしょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。